1. 朝井麻由美

ソロ活の火付け役が語る、本当に自分の好きなことを掘り下げる大切さ

mayumi asai
ライター、コラムニスト。ソロ活での飲み歩きが高じて『二軒目どうする?』に居酒屋専門家として出演中。自身のソロ活をまとめた『ソロ活女子のススメ』(大和書房刊)はTVドラマ化しており、4月からシーズン5が放送。@asaimayumi

「日本の学校教育は集団行動が基本になっていますよね。私自身、大学に入るまではグループでいることや誘いに乗ることが価値だと思い込んでいました」と語るのは、『ソロ活女子のススメ』の著者で、ソロ活ブームの火付け役ともいえる朝井麻由美さん。大学時代に多様な価値観に触れ、自由になってからは、自然とソロ行動をするようになっていった。

mayumi asai
ゆっくりとおいしい料理が出てくる贅沢感がたまらない「ひとりフルコース」。まずはランチから挑戦するのがおすすめ。

朝井さんが考えるソロ活とはソロ活とは、「自分にとって何が楽しいかを追求する行為」であり、自己分析につながる。数々のソロ活経験をもつ朝井さんが最も満足度が高いと感じたのは「食」だった。「フレンチのフルコースや懐石料理のソロ活は、食と完全に向き合う時間を誰にも邪魔されずにゆっくりと味わうことができて一番お気に入りです」

ほかに印象的だったのはひとりディズニー。「普段通らないような路地に入ってみても隅々まで作りこまれているので新鮮な発見ばかり。驚いたのは、ひとりのほうがジェットコースターのスリルをよりダイレクトに感じられたこと。ディズニーの乗り物を初めて怖いと感じました」

mayumi asai
「ひとりディズニー」では、ジェットコースターのスリルをよりダイレクトに感じるなどの発見も。
ひとりでいるという選択肢をもつと人間関係への執着がなくなる

コラムの執筆を通して「自分にとってソロとは何か?」を考え続けている朝井さん。「本当はソロのほうが心地いい人もいるはずなんです。人間関係に縛られる必要はないし、本当に気が合う人だけと関係を築けばいい。ひとりでいる選択肢が当たり前になったので、人の顔色を窺わなくて済むようになりました」

mayumi asai
『ソロ活女子のススメ』は中国版や台湾版でも大人気。

また、ありのままの自分でいいのだと、何よりも自分自身で認めることが重要だと語る。「“シングルポジティブ”って言葉があること自体が、まだ社会がひとりを特別視してる証拠ですよね。最終的には“ソロ活”という言葉すら必要なくなる社会が理想です」


2. カマタミワ

自由を享受しながらも自分自身をよく観察し、適度な「非日常活」で息抜きを

miwa kamata
ひとり暮らし歴20年超えのフリーランスイラストレーター、漫画家。『ひとりぐらしこそ我が人生』(KADOKAWA刊)など、女性のひとり暮らしのリアルな毎日を描いた漫画シリーズにファン多数。@kamata_miwa

ひとり時間こそが最高の贅沢だと語るイラストレーターのカマタミワさん。「ひとり暮らしって寂しくないの?」と幾度も聞かれてきた。カマタさん自身、ひとり暮らしとは関係なく理由もなく不安・寂しい気持ちになることはあった。「気分の落ち込みやモヤモヤを感じたときに、ふとカレンダーを確認したら、それが生理前に集中していることに気づきました。感情の波ってホルモンバランスの変化、セロトニン不足、睡眠の質の低下などに影響されるんですよね。原因がわかったら楽になりました」

ひとりだと不調に気づきにくいので日々意識して体調や気分を観察する

具体的な対策としては、「就寝時間を早めてしっかり眠る、生活リズムを整えるのが一番。フィジカルとメンタルはつながっているので軽く運動したり、岩盤浴で汗を流すのも」。とはいえ、気分が落ち込んでから動き出すのは難しいため、元気な時にあらかじめ準備しておくことも大切だと教えてくれたカマタさん。「そのためにも自分の体調や気分を普段からカレンダーに記録して観察するのがおすすめです。リズムの乱れや、眠れない時期が続いているなど不調に気づいたらすぐ病院に行ったほうがいいです。

miwa kamata
「あえて終電を逃してみる」という「非日常活」のエピソードを紹介した回からの一コマ。

カマタさんがそんなセルフケアを必要としたのは、仕事のストレスを抱えながらも長期休暇をとれず、何年も海外旅行に行けていなかった日々のため。忙しい人でも手軽にできるけど、非日常を感じられてリセット感のあるストレス解消法として編み出したのが「非日常活」だ。「例えば、外国人観光客になったつもりで東京のガイドブックを見ながら観光してみる。通勤や移動でいつも通り過ぎてる駅で途中下車してみる。視点を変えるだけで旅のリフレッシュ気分を味わえるんです」


3. まろ

自分を解放してやりたいことを思い切り楽しむ

maro
おひとりプロデューサー。ひとり時間の過ごし方を提案するメディア「おひとりさま。」の運営、執筆活動のほか、おひとりさま向けプランの企画・プロデュースを手掛ける。著書に『おひとりホテルガイド』(朝日新聞出版刊)。 @ohitorigram 日光の老舗「日光金谷ホテル」では、館内をじっくり散策してディテールを楽しむ。

新卒で入社した会社員時代、人と関わる時間が多く、どうしてもひとりの時間が欲しくなったまろさん。「リフレッシュしたい、という目的で初めてひとりでカフェに行きました。それがとても心地よくて、もっと長時間癒やし効果を味わいたいと思って始めたのが『ひとりホテル』でした。『ひとりホテル』は、空間そのものをじっくり味わえるのが醍醐味。家具のデザイン、窓からの景色、館内の音など、五感を研ぎ澄ませてじっくり感じられるのがいいんです」

maro
八ヶ岳の「ist」にて、山小屋で読書。旅先ではその土地の旅エッセイを読むのが好き。

ホテル選びで大切にしているのは、ひとりで過ごすイメージができること。「都会のブティックホテルから山奥の温泉旅館まで、気分やインスピレーション次第で自由に行き先を選べるのがひとりのいいところですね」。平日や閑散期がおすすめだという。「人が少なく、ひとりで静かに過ごせるのが魅力です。いきなりのひとり旅がハードルが高いなら、近所など親しみのあるエリア、今まで行ったことのあるよかった場所を再訪してみても。最近は比較的リーズナブルに宿泊できるひとり用宿泊プランも増えているので要チェックです」

maro
越後湯沢の「里山十帖」では雪景色の静かなひとときを堪能。
自分自身が満たされるから人との時間もより大切にできる

かといってまろさんは誰かと一緒に行く旅行を否定しているわけではない。「人といるとすぐ感動を共有できるし話していて刺激を受けることも多くてまったく別のよさがあると思っています。でもひとりの時間があるからこそ、人との時間が貴重に感じられる。そのバランスを上手にとることで、自分らしく生きられるんじゃないかなって思います」