prince harry attends court for appeal over downgraded security
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ヘンリー王子(Prince Henry)

王室を離脱したのに伴い、イギリス国内で警察による警護の対象から外されたヘンリー王子。これを不服とし、決定した内務省に見直しを求めて裁判を起こしていた。今年初めに敗訴したが、王子はすぐに控訴していた。しかし先週、裁判所は王子の訴えを棄却。内務省の決定を支持する姿勢を示した。

この判断に王子は激怒。放送局「BBC」のインタビューに応じると「現時点では、妻と子どもたちをイギリスに連れて帰ることは考えられない」とコメント。さらに家族の一部とは「多くの不和があった」ことを認めつつ、「私はすでに許している」とも。「私は家族との和解を望んでいる。これ以上戦い続ける意味はない」と言い、仲直りできないのはロイヤルファミリー側にその気がないからだと仄めかした。さらに「生命は貴重なものだ。父の余命がどれほどかは知らないが、父は私と話そうとしないだろう」と爆弾発言を投下した。チャールズ国王ががんの治療中であることを踏まえ、イギリスマスコミはこの発言を「悪趣味」で「失礼」だと報じている。

2025 invictus games vancouver day one
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メーガン妃(Meghan, Duchess of Sussex)、ヘンリー王子(Prince Henry)

王子の発言が物議を醸す中、王室関係者が新聞「サン」に国王が裁判をどう見ていたかを語っている。関係者曰く「国王は、ヘンリー王子が警察の警護を求めたことや、その過程で納税者に負担をかけたことに苛立ち、動揺している」。王子から訴えられた内務省は裁判を戦わなくてはならなかったが、その裁判費用はもちろん税金から出されていた。そのため国民からは、王子に対する反発の声も上がっていた。

またインタビューで、王子は国王に対して内務省に働きかけるように求めたことはないと主張していた。しかし関係者は、王子が国王に裁判への介入を求めていたと匂わせている。「国王が裁判に口出しすることは憲法上不適切なことだった」「王子がその原則を尊重しないことに、国王は個人として苛立っている」と関係者。「また王子の支持者たちが、『国王は家族を気にかけていない』とか『介入すべきだ』と主張していることも国王の気に障っている」。政府が王子との裁判に多くのリソースと費用を費やしたことを「特に懸念している」とも。倹約家で知られる国王には、裁判に税金が使われることが許せないよう。

the royal family watch military procession to mark the 80th anniversary of ve day
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チャールズ国王(King Charles)

このインタビューが放送された直後、イギリスではヨーロッパ戦勝記念日の祝賀イベントが開催された。ロイヤルファミリーが勢揃いしたが、国王もカミラ王妃と揃って出席しパレードを観覧した。新聞「デイリーメール」によると。国王はパレード中、退役軍人や軍人たちに敬礼を続けていたという。王室レポーターのレベッカ・イングリッシュ曰く「国王は退役軍人に敬意を示す必要があると信じている。だから30分にわたって敬礼し続けた」。

その姿を国民に見せることは、体調が万全だと示す目的もあったとイングリッシュは示唆。ヘンリー王子の「余命がどれほどかわからない」発言を否定するためだったと見ている。国王はパレードの後、バッキンガム宮殿のバルコニーで空軍の儀礼飛行も観覧。その後は退役軍人たちの茶会を主催、王妃と共に退役軍人たちの話に耳を傾けるという精力的な1日を過ごしていた。

the royal family watch military procession to mark the 80th anniversary of ve day
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チャールズ国王( King Charles)、カミラ王子(Queen Camilla)
the king and the queen host veteran tea party to mark the 80th anniversary of ve day
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チャールズ国王(King Charles)

ちなみに国王は先週スウェーデンのカール16世グスタフ国王とシルヴィア王妃と対面、ウィンザー城で一緒に植樹も行った。イングリッシュは「公務をすると同時に毎週のようにがんの治療を受けていることを考えると、1週間の予定はぎっしり詰まっているはずだ」と国王の体調が良好である可能性を指摘、「王子の発言は非常に不愉快なものだと思う」と語っている。王室離脱以来、イギリス国内での好感度が低下の一途を辿っているヘンリー王子。今回の発言がその低迷にとどめを刺した可能性も高そう。