2025年1月20日にドナルド・J・トランプが第47代アメリカ大統領に就任。国民の支持を得て返り咲きを果たしたトランプ大統領の持つ、圧倒的な権力に擦り寄る歌手や俳優、IT長者たち。人気長寿連載セレブウォッチャーPeachesが顔ぶれをチェック！
※ドル円表記は2025年1月24日現在の通貨レートで算出。
第47代アメリカ大統領にドナルド・トランプが就任
ついにドナルド・J・トランプが第47代アメリカ大統領に就任した。「アメリカの黄金時代を取り戻す」と燃えているトランプ大統領に擦り寄るセレブも増加中のよう。
スヌープ・ドッグ
大統領就任式に先立ってワシントンD.C.で開催されたイベント「Crypto Ball」でパフォーマンスを披露したのがスヌープ・ドッグだ。元ペイパルCOOでトランプ大統領から＜AI and Crypto Czar（AIと暗号の皇帝）＞に指名されたデービッド・サックスが主催したイベントは、公式サイトによると「アメリカ初の“暗号大統領”ドナルド・J・トランプ次期大統領、次期内閣および政権を称えることを目的とした祝賀の場」だった。奇しくも当日、仮想通貨＄Trumpが発行され（後日、メラニア夫人も＄Melaniaをローンチ?!）、仮想通貨界に旋風を巻き起こしている。公職を商売にするのはOKなのか謎だが、トランプ大統領はもはや法を超えた存在なのかもしれない。
さて、話をスヌープに戻そう。この日、スヌープとリック・ロス、そしてソウルジャ・ボーイがミニ・コンサートを行ったことが明らかになったのは、The Shade Roomがインスタグラムにビデオをアップしたため。さらに３人がヒット曲「Drop It Like It's Hot」や「Nuthin but a『G』Thang」などをパフォーマンスしたり、スヌープがDJとして会場を盛り上げる映像もSNSに流出した。チケットが2,500〜5,000ドル（日本円で約39,000円～78,000円）のこのイベントに集まったのは、ほとんどが白人ゲストで、ブラックタイ姿の観客を前にパフォーマンスするスヌープたちはかなり場違い。SNS上では「プレイリストからスヌープ・ドッグの曲をすべて削除した」、「奴は悪魔に魂を売った」、「文化的に恥ずかしい」、「絶対に許さない。MAGAワールドに居続けろ」などと批判の声が続々。なかには「ニプシーとパックだったら絶対にやらない」とスヌープの仲間だったニプシー・ハッスルと２パック・シャクールを引き合いに出して批判するファンもいた。
クリセッテ・ミッチェル
スヌープがこのように批判されるのは、彼が大統領選では民主党の候補だったカマラ・ハリス元副大統領を支持していたし（2016年の選挙ではヒラリー・クリントン候補を支持）、トランプ大統領を長年、批判し続けてきたからだ。しかも多くの大物アーティストが参加を断った2017年の就任式の際にスヌープ自身が「トランプのためにパフォーマンスするアーティストはどいつだ？」とMAGA派アーティストを小馬鹿にしていたのだ。ちなみに2017年の就任式でパフォーマンスを披露したR&Bシンガーのクリセッテ・ミッチェルは、人気が凋落。コンサート・チケットの売り上げはガタ落ちで、再起の可能性は低いようだ。
ソウルジャ・ボーイ
クリプト・ボールのパフォーマンスで批判されたスヌープは沈黙を保っているが、SNSにアップされたビデオでワシントンD.C.のホテルに到着した自身の姿をSNSにアップしていたロスは、「ダチのスヌープのために参加した」と発言。彼は過去にオバマ大統領を絶賛していて、民主党を支持していると思われるが、友情のためとはいえ危険な道を選択したものだ。また批判に対するインスタグラム・ライブで率直すぎる本音を漏らしたのがソウルジャ・ボーイだ。「奴らは俺に大金をくれた。オバマは俺のポケットに金を入れたことはない。カマラも俺のポケットに金を入れたことはない。トランプは俺のポケットに金を入れてくれた」とFワードやNワードをふんだんに盛り込みながら言い訳。
そしてインスタ・ライブの後半にはイベントの本質に関して「騙された」と感じていたと認めていたとはいえ、ソウルジャ・ボーイは“マネー・ファースト“発言で更なる批判を浴びてしまった。かなり苛ついたのだろう、発言の本意をメディアに求められたラッパーは、「大統領からの電話に出るなというのか？このN****はアメリカの大統領だ。トランプはそこ（クリプト・ボール）にいなかった。トランプのイベントですらなかった。暗号のための暗号舞踏会だった。俺は同じことをやるよ」と逆ギレとしか思えない返答している。
ネリー
スヌープたちが批判の嵐にさらされたのに怯えたのか、就任式後の「Liberty Ball」に出演することが発表されていたラッパーのネリーは、ラッパーのウィリーDがホストを務める「Willie D Live」に出演し、「街（国？）のために出演を決めた俺をみんなが支持してくれると思っていた。ファンの政治スタンスに同意しなければならないなんて知らなかった。重要なのは行動することであって、こうしろああしろと命令することじゃない。俺がやることを支持するのであれば、こんな議論にはならないだろう。トランプが勝った。彼は大統領だ」とパフォーマンスする理由を説明。さらに「兵士が大統領のために危険に身を晒すのなら、俺は大統領のためにパフォーマンスする」と国家のために命をかける兵士に自身をなぞらえてしまったから、批判がさらにヒートアップするハメに?!
キャリー・アンダーウッド
就任式で軍隊合唱団やアメリカ海軍士官学校グリークラブとともに「美しきアメリカ」をうたったカントリー歌手のキャリー・アンダーウッドも多少の批判にさらされたが、彼女のファンベースは保守層が多いので、人気が翳るということはなさそう。また就任式でパフォーマンスを披露したリー・グリーンウッドやビリー・レイ・サイラス、ジェイソン・アルディーンといったカントリー歌手、2016年の大統領選からトランプ大統領を熱く支持するキッド・ロックらにも同じことが言えるだろう。スヌープをはじめとするブラック・ミュージシャンたちに批判が集まったのは、白人至上主義者とも言われているトランプ大統領の軍門に降ったからとみなされたからなのだ。
ジョン・ボイド、シルヴェスタ・スタローン、メル・ギブソン
同じように多少の批判はあるものの、どちらかというと失笑されているのが、トランプ大統領から“Special Ambassadors of Hollywood”に任命されたジョン・ボイドとシルヴェスター・スタローン、そしてメル・ギブソンだろう。突然、大統領自身のSNSであるトゥルース・ソーシャルで発表された人事なので公式かどうかは不明だが、彼らの使命は「古き良き黄金時代のハリウッドを復活させること」という。選挙戦の後半にトランプ支持を表明し、11月のアメリカ・ファースト・ポリシー・インスティチュートのガラでトランプ次期大統領（当時）を「第二のジョージ・ワシントン」と持ち上げたスタローンが音頭を取った？ とはいえアクション映画に出演しながらアクション演技は共演者にお任せのスタローンと、現在はB級映画の悪役オファーしか来ないボイトとギブソンだから、3人寄っても文殊の知恵なんて出てこなさそう。それにハリウッドのAリストスターの大半はリベラル派なので、3人のスペシャル・アンバサダーに対してそっぽを向くに違いない。
写真：シルヴェスタ・スタローン
マーク・ザッカーバーグ
就任式で目立ったセレブといえば、実利的なプラスを目的としてトランプ大統領にすり寄っているIT実業家や富豪たちだった。トランプ大統領の側近であり、新設される政府効率化省（DOGE）の共同リーダーに抜擢されたイーロン・マスクがはしゃいでいたのは当然だが、マスクから一方的にライバル視されていたマーク・ザッカーバーグも就任式に出席。実はザックは、就任式のためにポケットマネーから100万ドルを寄付。過去には「俺が大統領に返り咲いたら、刑務所にぶち込む」と公言していたトランプ大統領との溝を修復するために、ザックはメタのファクト・チェック・プログラムを廃止した上、移民やジェンダー・アイデンティティといったトピックに関する議論の制限を減らすことを発表していた。大統領の友人スティーブ・バノンから「トランプの軍門に降った」とこき下ろされたのも納得の弱腰だ。
ジェフ・ベゾス
もちろん長いものに巻かれたIT実業家はザックだけではない。IT大手アマゾンを率いるジェフ・ベゾスは、リベラル派読者が多いメディア「ワシントン・ポスト」紙の社主であるが、ほかの主要紙が、それぞれ支持する大統領候補者を明らかにするなかで、「ワシントン・ポスト」は明確なスタンスを発信しなかった。ジェフ・ベゾスは、腰砕けの社主として大勢の読者から批判を浴びたばかりだ。
彼も就任式に100万ドルを寄付し、着飾った婚約者ローレン・サンチェスを伴って出席。存在感をアピールしていた。さらに、動画配信サービスPrimeVideoでは就任式の様子を配信。
ちなみに就任式直前には、「ワシントン・ポスト」紙のベテラン漫画家が辞職するというハプニングも。その理由が「IT実業家たちがトランプ次期大統領の足元に平伏する風刺画の掲載を拒否された」からベゾスと揉めたと報道されていて、権力に擦り寄る姿勢が浮き彫りになった。
ビル・ゲイツ
マイクロソフトCEOのビル・ゲイツは、就任式には出席しなかったが、直前にトランプ次期大統領とディナーを共にし、３時間にわたって会談したという。「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙によると、会談のメインテーマは、ゲイツが関心を寄せているグローバル・ヘルスだった。ゲイツはビル・ゲイツ財団を通じて何十億ドルもの資金を病気と闘うために投入していて、トランプ次期大統領との会談ではHIV治療やポリオ撲滅などの問題を提起した。ゲイツ自身は「トランプ大統領のポジティブな反応に感心した」と新聞記者に語っているが、アメリカ・ファーストのトランプ大統領が世界規模の健康問題に実際に取り組むと約束した訳ではないよう。実際、大統領就任直後には世界保健機構（WHO）からの脱退を表明していて、グローバルという感覚で健康問題に取り組むつもりはなさそうだ。
セレブの動向は、トランプ大統領次第？
就任以来、「性別は男女の２つだけ」方針や不法移民の取り締まり強化、関税引き上げなど初日から大統領令をバンバン連発するトランプ大統領。選挙で圧勝し、国民の支持を得た彼が持つ権力に擦り寄るセレブは今後もまだまだ増え続けるかもしれない。
