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【ベネチア国際映画祭2024】 金獅子賞はアルモドバル監督作!受賞結果一覧。ニコール・キッドマンに女優賞!

あえなく受賞を逃したジョーカー続編は、「ジョーカーがジョーカーらしくない」!?

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現地時間8月28日から9月7日まで開催された第81回ベネチア国際映画祭。最高賞の金獅子賞など今年の受賞作品と、セレブトピックスを総まとめ。コロナ禍やストライキの影響でクワイエットなムードだった昨年とは対照的に、今年はとにかくチャッティ。注目作が目白押しなのはもちろんのこと、イザベル・ユペールの連日のドレスアップも、ブラッド・ピットやレディ・ガガがパートナーとレッドカーペットに登場したことも、話題には事欠かない年となった。日本からは北野武監督や黒沢清監督が現地入り。

>>【ベネチア国際映画祭2024】アンジーやイザベル・ユペールが話題!開幕トピックスをおさらい
>>【ベネチア国際映画祭2024】『ジョーカー』続編や北野武の新作も。注目トピックスを総まとめ

第81回ベネチア国際映画祭 コンペティション部門 受賞結果一覧

red carpet the 81st venice international film festival
Dominique Charriau//Getty Images

金獅子賞 『The room next door』ペドロ・アルモドバル監督(スペイン)

銀獅子賞(審査員大賞) 『Vermiglio』マウラ・デルペロ監督(イタリア、フランス、ベルギー)

銀獅子賞(最優秀監督賞) ブラディ・コーベット監督『The Brutalist』(英国)

女優賞 ニコール・キッドマン 『Babygirl』ハリナ・ライン監督(米国)

男優賞 ヴァンサン・ランドン 『Jouer avec le feu』デルフィーヌ・クラン監督、ミュリエル・クラン監督(フランス)

脚本賞 ムリロ・ハウザー&エイトール・ロレガ 『I'm still here(原題:Ainda Estou Aqui)』ウォルター・サレス監督(ブラジル、フランス)

審査員特別賞 『April』デア・クルムベガシュヴィリ監督(ジョージア、フランス、イタリア)

マルチェロ・マストロヤンニ賞 『Leurs enfants après eux』リュドヴィック・ブケルマ監督、ゾラン・ブケルマ監督(フランス)

金獅子賞『The room next door』ペドロ・アルモドバル監督

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The Room Next Door - Teaser Trailer - Warner Bros. UK & Ireland
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今年のコンペティション部門では、ペドロ・アルモドバル、ルカ・グァダニーノ、パブロ・ララインといった著名な監督たちの作品が競い合った。金獅子賞を受賞した『The room next door』は、プレミア上映時に17分のスタンディングオベーションを受けるなど現地での評価も高く、おおむね予想通りの結果に。

ペドロ・アルモドバル監督が長編23作目にして初めて全編英語で手掛けた作品。主演はティルダ・スウィントンとジュリアン・ムーア。ティルダ・スウィントンが演じるのは、深刻な癌に侵された従軍記者。ジュリアン・ムーア扮する旧友と久しぶりに再会し、死について対話する。

この深い感情描写の演技と感情に訴えるストーリーラインについてGuardian紙は「美しくも繊細な生と死の物語」、Variety誌は「死というテーマに向き合う、揺るぎない誠実さ。この映画は力強く生の側にある」と称えた。

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「世界中で安楽死が可能になるべき」

closing ceremony the 81st venice international film festival
Daniele Venturelli//Getty Images

ペドロ・アルモドバル監督がベネチアで金獅子賞を受賞するのは初めて。 受賞スピーチでは、「金獅子賞は自分の家族と、主演した2人のスターに捧げたい。全編英語で作ったが、作品の精神はスペイン的なものだ」とコメント。

先日、上映に際しての記者会見で監督は「この映画は安楽死を支持している。世界中で安楽死が可能になるべきだ」と語った。スペインでは安楽死が合法化されている。作品では主人公たちが安楽死について言及するシーンがある。

銀獅子賞(審査員大賞)『Vermiglio』マウラ・デルペロ監督

2024 winners photocall the 81st venice international film festival
Stefania D'Alessandro//Getty Images

『Vermiglio』家族と個人のアイデンティティ、移民問題をテーマとし、マウラ・デルペロ監督の独特な視点が評価された。







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銀獅子賞(最優秀監督賞)ブラディ・コーベット監督

the brutalist
courtesy of Venice Film Festival

批評家たちから好評で、銀獅子賞を受賞したのは、ブラディ・コーベット監督『The Brutalist』。第二次世界大戦後に移民として欧州から米国へ渡った建築家とその妻が主人公。それぞれジョエル・エドガートンとマリオン・コティヤールが演じる。

繊細な映像美と建築のメタファー的演出が注目されているほか、移民の不安と苦悩を描いた点で今の時代に刺さる一本と言える。





女優賞 ニコール・キッドマン 『Babygirl』は授賞式を欠席

81 venice international film festival 2024
Mondadori Portfolio//Getty Images

ニコール・キッドマン演じるCEOと、若いインターンが不倫に溺れるエロティックスリラー『Babygirl』。ニコールは、母が他界という急な知らせを受け取り、授賞式を欠席した。授賞式ではニコールからの手紙が代読された。「ベニスに到着してすぐ、勇敢で美しい母ジャネル・アン・キッドマンが亡くなったことを知りました。私を形作り、導いてくれた女性。人生と芸術の衝突に胸が張り裂けそうです」



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男優賞 ヴァンサン・ランドン 『Jouer avec le feu』

2024 winners photocall the 81st venice international film festival
Ernesto Ruscio//Getty Images

ふたりの息子をひとりで育てている父親役を演じたヴァンサン・ランドン。親子関係の複雑さと葛藤をテーマとして作品で、ランドンの演技は役柄の葛藤や感情の機微を深く表現したことが評価された。








選外だが現地で終盤にかけて話題を呼んだ作品を紹介

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CAMPO DI BATTAGLIA di Gianni Amelio (2024) - Trailer Ufficiale HD
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ここからは映画祭で話題を呼んだトピックスを振り返ろう。まず、受賞にはもれたが注目を集めた作品から。

ジャンニ・アメリオ監督の『Campo di battaglia』は戦争をテーマにした社会派ドラマ。最前線の兵士たちと、彼らの帰りを待つ家族の視点が描かれる。

兵士たちが戦う理由とは? 生き残ることの意味とは? リアリティ溢れる戦場描写と俳優陣の演技はもちろんのこと、戦争の残酷さと個人の葛藤を丁寧に描き出したアメリオ監督の手腕に注目が集まった。

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『Queer』

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Queer new clip official - Venice Film Festival 2024
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『Queer』は、ルカ・グァダニーノ監督が作家ウィリアム・S・バロウズの小説を映画化。主演ダニエル・クレイグは1950年代のメキシコシティを舞台にアルコールや薬物中毒の性的マイノリティ男性を演じ、繊細なテーマと独自の映像美が光った。

衣装は『チャレンジャーズ』同様、ジョナサン・アンダーソンが手掛ける。SCREEN DAILY紙は「この135分間の冒険物語は、心の闇からバッドトリップに至るまでを描き、アートフィルム好きな層を魅了するだろう。しかし、LGBTQI+の観客に受け入れられる可能性は低い」と指摘。


『The Order』

81 venice international film festival 2024
Mondadori Portfolio//Getty Images

ジャスティン・カーゼル監督が手掛けた宗教的スリラー『The Order』は、主演ジュード・ロウの熱演が現地で絶賛され、7分間のスタンディングオベーション。









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and more! 『ジョーカー:フォリー・ア・ドゥー』

photocall the 81st venice international film festival
Stephane Cardinale - Corbis//Getty Images

ところで、終盤に上映されたレディー・ガガとホアキン・フェニックスの『ジョーカー:フォリー・ア・ドゥー』は、今年とびきり注目を集めた作品だった。

7分間のスタンディングオベーションだったが、ふたを開けてみると賛否両論。「ジョーカーがジョーカーらしくない」(Variety)、「陰鬱で期待外れ」(BBC)、「イライラさせられる続編」(The Hollywood Reporter)、「退屈で、平凡で、レディー・ガガを犯罪的に無駄遣いした」(Indie Wire)と酷評され、「わざと悪い感じにしたのでは?」と推測まで出る始末。

一方で、VarietyやThe Hollywood Reporterはレディー・ガガの演技や、映画の革新性、ホアキンとレディ・ガガのケミストリーなどの部分を評価。とにかくこれは自分で映画を観て、好きか嫌いか判断するしかないといえよう。

セレブ祭りの様相も

red carpet the 81st venice international film festival
Pascal Le Segretain//Getty Images

アウト・オブ・コンペティションで上映された、ブラッド・ピットとジョージ・クルーニーの共演作『WOLFS』。 ブラッド・ピットはパートナーのジュエリーデザイナー、イネス・デ・ラモンとレッドカーペットデビュー。









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Alessandra Benedetti - Corbis//Getty Images

レッドカーペットでは、ジョージ・クルーニーが突然報道カメラマンたちの中に飛び込んでいく。













red carpet the 81st venice international film festival
Pascal Le Segretain//Getty Images

撮る側、撮られる側の線引きをさっそうと飛び超えていくスターのパフォーマンス。 ついにはブラッド・ピットも隣へ。人たらしなスター2人は、報道陣を沸かせた。











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日本勢、北野武監督や黒沢清監督の姿も!

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さて、コンペティション部門には入らなかった良作を集めたアウト・オブ・コンペティション部門では北野武監督『Broken Rage』と黒沢清監督『Cloud クラウド』が上映され、両監督とも現地入りした。北野監督は照れ隠しなのか、約6分のスタンデイィングオベーションを自ら制する一幕も。








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10/4(金)公開 映画『HAPPYEND』本予告編_空音央(『Ryuichi Sakamoto | Opus』) 長編劇映画デビュー作
10/4(金)公開 映画『HAPPYEND』本予告編_空音央(『Ryuichi Sakamoto | Opus』) 長編劇映画デビュー作 thumnail
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日本勢ではほかに、作家性の強い作品の集まるベニス・デイズ部門に、五十嵐耕平監督『SUPER HAPPY FOREVER』、新たな潮流を感じさせる映画が集まるオリゾンティ・コンペティション部門に、空音央監督の『HAPPYEND』が出品された。












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Matt Winkelmeyer//Getty Images

コンペティション部門の審査員長を務めたイザベル・ユペール。連日がらりとスタイルを変えるドレスアップも映画祭を盛り上げた。

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