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【カンヌ国際映画祭2025】早川千絵監督『ルノワール』ほか、今年の日本勢を総チェック!

コンペ部門から監督週間まで、今年はカンヌ入りする日本勢が多数。作品リストをおさらいしよう。

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いよいよ開幕した第78回カンヌ国際映画祭。まずは注目の日本勢作品を総まとめ! 映画祭の公式セレクションの中心となるコンペティション部門、ある視点部門は別に、独立部門としてカンヌ監督週間、批評家週間にも日本勢が出品されるので、あわせてチェックしよう。

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【コンペティション部門】早川千絵監督『ルノワール』

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カンヌ国際映画祭コンペ部門出品!早川千絵監督最新作『ルノワール』予告編/6月20日全国公開
カンヌ国際映画祭コンペ部門出品!早川千絵監督最新作『ルノワール』予告編/6月20日全国公開 thumnail
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まず注目したいのが、最高賞パルムドールを競うコンペティション部門に出品されている、早川千絵監督『ルノワール』。11歳少女の視点を通して、“大人の世界を覗きながら、人々の心の痛みに触れていくまでを繊細な筆致で描いた”という、ひと夏の物語。

主演は、12歳を迎えたばかりの鈴木唯。彼女を支えるのは、石田ひかり、リリー・フランキー、中島歩、河合優実、坂東龍汰というベテラン&実力派の盤石な面々だ。

早川監督といえば、長編デビュー作『PLAN 75』が第75回カンヌ国際映画祭でカメラドール特別賞を受賞したほか、世界各国の映画祭で話題を呼んだ。もしパルムドール受賞となれば、2018年に『万引き家族』で受賞した是枝裕和監督以来の快挙だ。

なお今年のコンペティション部門はダルデンヌ兄弟のような巨匠からウェス・アンダーソン、アリ・アスターらジャンル映画の鬼才、ビー・ガンのような強敵が揃い踏み。『ルノワール』が台風の目となることを期待したい! 

今年のコンペティション部門は22作品中、女性監督は早川監督含め7名。2023年の最多記録に並んだ。

『ルノワール』
6月20日(金)全国公開 
配給:ハピネットファントム・スタジオ

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【ある視点部門】『遠い山なみの光』石川慶

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『遠い山なみの光』特報解禁【9月5日(金)全国ロードショー】第78回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門正式出品作品
『遠い山なみの光』特報解禁【9月5日(金)全国ロードショー】第78回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門正式出品作品 thumnail
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独自で特異な作品群が紹介される「ある視点」部門は、コンペティション部門と並び、カンヌ国際映画祭を彩る重要な公式部門として知られている。

今年は、カズオ・イシグロのデビュー作を映画化した石川慶監督の『遠い山なみの光』が正式出品される。石川慶監督の作品がカンヌ国際映画祭に選出されるのは初。石川監督の前作『ある男』の大ファンだったというカズオ・イシグロ自身が、本作のエグゼクティブ・プロデューサーに名を連ねている。日本・イギリス・ポーランド合作の3か国共同製作。

作品の舞台は、戦後1950年代の長崎と1980年代の英国。環境や価値観が急激に変化し激動の時代だった当時の日本。そこに生きた人々のあいだに交錯する“記憶”の秘密を紐解いていくヒューマンミステリー。主演の広瀬すずほか、二階堂ふみ、吉田羊、松下洸平、三浦友和ら豪華キャストが顔を揃えた。なかでも吉田羊は、長崎を離れてイギリスで暮らす役づくりのため、英国現地ロケ前に単身短期留学&ホームステイしたというから、その演技も見逃せない。

長崎から英国へ。カズオ・イシグロが辿った道のりと重なる面もある原作を、この戦後80年、長崎の原爆投下から80年を迎える今、カンヌで上映される意味を噛みしめたい。

『遠い山なみの光』
9月5日(金)全国公開 
配給:ギャガ

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【ミッドナイト・スクリーニング部門】『8番出口』川村元気

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【映画『8番出口』】全世界向け 映画化発表映像 <2025年公開>
【映画『8番出口』】全世界向け 映画化発表映像 <2025年公開> thumnail
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2023年にゲーム制作者KOTAKE CREATEによってローンチされ、社会現象となった地下鉄駅の脱出ゲーム「8番出口」が、川村元気監督により実写映画化。主人公「迷う男」は二宮和也、地下道をずっと歩いている「おじさん」役は河内大和が担う。無機質な地下道を進み、異変があれば引き返し、異変がなければそのまま進むが、ミスると0番出口に後戻りするという無限ループ仕様。地下通路の閉塞感がなんともいえない不気味なムードを醸し出す。

今回、二宮和也と小松菜奈がカンヌ入り。ただし、小松の演じる役柄や、映画版のあらすじなど詳細は現時点で不明である。夜のワールドプレミアが待ち遠しい一作だ。

『8番出口』
2025年8月29日(金)全国公開予定
配給:東宝

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【カンヌ・プレミア部門】深田晃司監督『恋愛裁判』

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『恋愛裁判』特報<今冬劇場公開>
『恋愛裁判』特報<今冬劇場公開> thumnail
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2021年に新設されたカンヌ・プレミア部門は、コンペティションに選ばれなかった作品や、カンヌで馴染みの深い監督たちの新作などが上映される。今年は日本から深田晃司監督『恋愛裁判』が出品されることになった。

深田晃司監督は2016年にカンヌ国際映画祭のある視点部門審査員賞を『淵に立つ』で受賞している。

深田監督が構想10年かけて描いたという本作は、アイドルの恋愛は罪なのか、正面から斬りこむ。

人気急上昇中のアイドルグループでセンターを務めるという設定のヒロインを演じるのは、女性アイドルグループ日向坂46の元メンバー齊藤京子。ヒロインは同級生に再会して恋に落ちるが、ある事件をきっかけにその恋心が白日のもとにさらされ、所属事務所から 「恋愛禁止条項」の契約違反で訴えられるというストーリーだ。

カンヌには深田晃司監督と齊藤京子が現地入り予定。5月22日19時半(現地時間)にワールドプレミア上映を予定している。日本ならではの「アイドル恋愛禁止ルール」がカンヌでどんな反響があるか、注視したい。

『恋愛裁判』
2025年冬公開予定
配給:東宝

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【ラ・シネフ部門】田中未来監督『ジンジャー・ボーイ』

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『ジンジャー・ボーイ』 予告編
『ジンジャー・ボーイ』 予告編 thumnail
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映画学校の学生が製作した優れた映画を紹介するラ・シネフ部門では田中未来監督『ジンジャー・ボーイ』が選出された。








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【カンヌクラシック部門】押井守監督『天使のたまご 4Kリマスター』

40周年ロゴ
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映画修復に特化した特別部門のカンヌクラシック部門には、押井守監督のアニメーション作品『天使のたまご』公開から40周年を迎えることを記念して、『天使のたまご 4Kリマスター』が上映される。以上がカンヌ国際映画祭のオフィシャルセレクションに出品される作品となる。



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【カンヌ監督週間】李相日監督『国宝』 

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『国宝』予告【6月6日(金)公開!】
『国宝』予告【6月6日(金)公開!】 thumnail
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ここからは、運営が独立している監督週間、批評家週間それぞれに出品される作品をご紹介したい。どちらも若手監督の登竜門として知られ、映画祭期間中に同時開催される。

まず、フランス映画監督協会が主催するカンヌ監督週間は、作家性のある監督が手掛けたユニークで前衛的な作品を紹介してきた。昨年は山中瑶子監督の長編第一作『ナミビアの砂漠』が国際映画批評家連盟賞を、女性監督として史上最年少で受賞したことも記憶に新しい。

過去にはソフィア・コッポラ、スパイク・リー、ケン・ローチ、グザヴィエ・ドラン、日本からは大島渚、北野武、黒沢清、三池崇史、諏訪敦彦、河瀬直美、西川美和らが取り上げられてきた。

前置きが長くなってしまったが、今年のカンヌ監督週間には日本から2作がラインナップ。まずは、吉沢亮が主演を務め、横浜流星が共演する映画『国宝』。吉田修一による同名の小説を李相日監督が映画化。任侠の一門に生まれながらも、歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生を捧げた主人公の人生を描いた壮大なストーリーだ。華やかなフォトコールにも期待大。

『国宝』
6月6日(金)全国公開予定
配給:東宝

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【カンヌ監督週間】団塚唯我監督『見はらし世代』

©︎ 2025「見はらし世代」製作委員会
©︎ 2025「見はらし世代」製作委員会

もう一作は、団塚唯我監督の『見はらし世代』。1998年生まれの団塚監督は初長編作品にして、日本人監督史上最年少での「監督週間」正式出品となる。

ストーリーは、再開発が進む東京・渋谷を舞台に、母親の死後、残された父親と息子の関係性を描く。主人公を演じる黒崎煌代は映画初主演。遠藤憲一と井川遥が主人公の両親を、木竜麻生が演主人公の姉を演じる。フレッシュな監督と主演のふたりが、カンヌでどのような表情を見せてくれるのか大いに期待したい。

『見はらし世代』
2025年秋全国公開予定
配給:SIGLO

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【批評家週間】瀬戸桃子監督『Dandelion’s Odyssey』

jury photocall the 78th annual cannes film festival
Stephane Cardinale - Corbis//Getty Images

このほか批評家週間では、瀬戸桃子監督のアニメーション作品『Dandelion’s Odyssey』 がクロージングに上映される予定だ。

今年のコンペティション部門で審査員長を務めるジュリエット・ビノシュも会場入り。いよいよ華やかな映画の祭典が幕を開ける。

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