記事に移動

2025年に行くべき、アート・建築・デザインの展覧会

年末から来年に開催される予定の必見展覧会をアートライターがひと足早くおすすめ!

By
2025年 展覧会おすすめ 展覧会

年末から2025年に開催される、特に注目すべき展覧会をアートライターの小林沙友里さんに聞いた。

【2024年開催中】芸術の秋に行きたい、アート&デザインの展覧会13

1

坂本龍一 | 音を視る 時を聴く/東京・東京都現代美術館

坂本龍一
Photo by Neo Sora ©2017 Kab Inc.

音楽家でありアーティストである坂本龍一(1952〜2023)の最大規模の個展が東京都現代美術館で行われる。昨年惜しまれつつ逝去した坂本は、1978年にソロデビュー、また「Yellow Magic Orchestra」結成に参加し、1983年の散開後も音楽界にとどまらず多方面で活躍。2000年代以降は、さまざまなアーティストとの協働を通して、音を空間に立体的に設置する試みを積極的に思考し、実践してきた。

本展では、生前坂本が本展のために構想した新作と、これまでの代表作を美術館屋内外の空間にダイナミックに展開する。クロニクル展示もあり、坂本の先駆的・実験的な創作活動の軌跡をたどることができる。さまざまな感覚を刺激する大型インスタレーション作品に浸れる貴重な機会をお見逃しなく。

会期/2024年12月21日(土)~2025年3月30日(日)
会場/東京都現代美術館(東京都江東区三好4-1-1)
開館時間/10:00〜18:00(入場は閉館の30分前まで)
休館日/月曜日(1月13日、2月24日は開館)、12月28日~1月1日、1月14日、2月25日

公式サイト

2

マシン・ラブ:ビデオゲーム、AIと現代アート/東京・森美術館

ルー・ヤン(陸揚)《独生独死—自我》2022年
ルー・ヤン(陸揚)《独生独死—自我》2022年

AI(人工知能)やVR(仮想現実)といった新しいテクノロジーが急速に発展し、私たちの日常にも浸透しつつある。それらは人類のクリエーションに新しい可能性をもたらす一方で、生成AIの登場など脅威となり得るものもある。

本展では、そうした新しいテクノロジーを駆使した作品を紹介する。ビープル、藤倉麻子、ルー・ヤン(陸揚)、アニカ・イなど現代アートシーンで注目されるアーティストをはじめ、デザイン、ゲーム、AI研究などの領域で高く評価されるクリエイターも含めた12組の作品が一堂に会す。新しい美学や手法による多様な表現と、その根幹で掘り下げられている現代的な課題に触れ、不確実な未来をより良く生きる方法を想像してみよう。

会期/2025年2月13日(木)~6月8日(日)
会場/森美術館(東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階)
開館時間/10:00~22:00(火曜日は17:00まで。ただし4月29日、5月6日は22:00まで。入館は閉館の30分前まで)
休館日/会期中無休

公式サイト

ADの後に記事が続きます
3

ヒルマ・アフ・クリント展/東京・東京国立近代美術館

ヒルマ・アフ・クリント展
左:《10の最大物, グループⅣ, No.7 成人期》 1907年 ヒルマ・アフ・クリント財団 By courtesy of the Hilma af Klint Foundation 右:《祭壇画, グループⅩ, No.1》 1915年 ヒルマ・アフ・クリント財団 By courtesy of the Hilma af Klint Foundation

ワシリー・カンディンスキーやピエト・モンドリアンら同時代のアーティストに先駆け、抽象絵画を創案したスウェーデン出身のヒルマ・アフ・クリント(1862〜1944)。職業画家として伝統的な絵画を描き成功した彼女は、その一方で神秘主義に傾倒し、独自の抽象画を制作した。しかしそれらの作品が多くの人には知られないうちにこの世を去っている。そしてその後、男性優位の美術界で忘れ去られていたが、近年再評価されている。

アジア初となるこの大回顧展では、高さ3mを超える10点組の絵画《10の最大物》をはじめ、すべて初来日となる作品約140点を展示。代表的な作品群「神殿のための絵画」を中心に、彼女が残した資料や、同時代の神秘主義思想や女性運動といった制作の源の紹介を交え、その画業の全貌を展開する。

会期/2025年3月4日(火)~6月15日(日)
会場/東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー(東京都千代田区北の丸公園3-1)
開館時間/10:00〜17:00(金曜日・土曜日は20:00まで。入館は閉館の30分前まで)

公式サイト

4

アンゼルム・キーファー展/京都・二条城

アンゼルム・キーファー展

ドイツを代表するアーティスト、アンゼルム・キーファー(1945〜)の大規模個展が京都の世界遺産、二条城で開催される。終戦間際の混乱の中で幼少期を過ごし、法律とロマンス諸語を学んだキーファーは、その後芸術家を志し、巨匠ヨーゼフ・ボイスに師事した。ナチス式の敬礼を揶揄する作品を制作するなどタブーに挑戦する芸術家として注目を浴びる存在となった後も、詩的な声を発する作品を制作し続けている。

約10年前、絵画に金箔を使用し始めた彼は、狩野派の屏風に使われている金箔や、谷崎潤一郎の日本建築への深い洞察に魅了されたという。金箔が使用された二条城とキーファーの作品が互いをどう照らし合うのか、注目したい。

会期/2025年3月下旬〜6月下旬
会場/二条城(京都府京都市中京区二条城町541)

公式サイト

ADの後に記事が続きます
5

藤本壮介展/東京・森美術館

藤本壮介展
藤本壮介《ラルブル・ブラン(白い樹)》2019年 フランス、モンペリエ 撮影:イワン・バーン

「2025年大阪・関西万博」の会場デザインプロデュースを手掛けるなど、今最も注目されている日本人建築家の一人、藤本壮介(1971〜)の初となる大規模回顧展が開催される。藤本は東京とパリ、深圳に設計事務所を構え、個人住宅から複合施設まで、世界各地でさまざまなプロジェクトを展開。近年は集合住宅《ラルブル・ブラン(白い樹)》(2019年、フランス、モンペリエ)や音楽複合施設《ハンガリー音楽の家》(2021年、ブダペスト)といったプロジェクトを次々と完成させ、高い評価を得ている。

本展は活動初期から世界各地で現在進行中のプロジェクトまで主要作品を多数紹介し、彼の建築家としての歩みやその特徴、思想を概観。原寸大模型やインスタレーションなども展開され、藤本建築のエッセンスを体験できる現代美術館ならではの建築展となりそうだ。

会期/2025年7月2日(水)~11月9日(日)
会場/森美術館(東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階)
開館時間/10:00~22:00(火曜日は17:00まで。入館は閉館の30分前まで)
休館日/会期中無休

公式サイト

6

大ゴッホ展/兵庫・神戸市立博物館ほか

大ゴッホ展

フィンセント・ファン・ゴッホ(1853〜1890)の名作を集めた展覧会が神戸で2期にわたって開催される(2026年以降、福島と東京にも巡回)。本展は、神戸では阪神・淡路大震災から30年、福島では東日本大震災から15年という節目に合わせて企画されたもの。世界屈指のファン・ゴッホコレクションを誇るオランダのクレラー=ミュラー美術館所蔵の名品が公開される貴重な機会だ。

初期のオランダ時代から、多数の傑作を生みだした南仏アルル時代に至る、画家としての彼の前半生をたどる第1期は、人気作《夜のカフェテラス》をはじめとする作品約60点のほか、クロード・モネ、オーギュスト・ルノワールら同時代の印象派巨匠の名作も展示される。また、2027年スタートの第2期はアルル時代から晩年期に焦点を当て、約70年ぶりの来日となる《アルルの跳ね橋》が目玉となる。困難な人生を歩みながら創作し続けたゴッホの魅力をその作品の実物から感じてみては。

【神戸展】
会期:第1期 2025年9月20日~2026年2月1日、第2期 2027年2月~5月頃
会場:神戸市立博物館(兵庫県神戸市中央区京町24)
開館時間:9:30〜17:30(金曜日・土曜日は20:00まで。入場は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(祝日または祝日の振替休日となる場合は開館し、翌平日休館)、年末年始

【福島展】
会期:第1期 2026年2月21日~5月10日、第2期 2027年6月19日~9月26日
会場:福島県立美術館(福島県福島市森合西養山1)

【東京展】
会期:第1期 2026年5月29日~8月12日、第2期 2027年10月~2028年1月頃
会場:上野の森美術館(東京都台東区上野公園1-2)

公式サイト

ADの後に記事が続きます
Page was generated in 5.3018679618835