シリアルやサプリメント、薬品が並ぶアメリカのスーパーマーケットを模した空間に、フランス古典主義の画家ジャック=ルイ・ダヴィドの《ソクラテスの死》(1787)に描かれた構図を綿密に再現。右下には、同じくダヴィドによる《マラーの死》(1793)の引用も見える。 松山は、チームのメンバーたちと共に、スーパーマーケットが内包する情報量を、1枚のキャンバスの中に落とし込んだ。「シリアル1箱を描くのに1週間、値札には2カ月半をかけました」という言葉通り、緻密なディテールはすべて手描きによるもの。「欧米的なスケールと日本人特有の『執拗なまでの』ディテールへのこだわりを掛け合わせました」と語る。
松山は、さまざまな価値観が交差する現代社会を凝縮した作品を提示することで「より広い視点を提供したい」と鑑賞者に呼びかける。キャンバスからこぼれ落ちるような色彩の海に身を預け、「松山ワールド」を堪能してほしい。
<写真>〈First Last〉より《We The People》(2025)
松山智一展 FIRST LAST
会期/〜2025年5月11日(日)
会場/麻布台ヒルズ ギャラリー
住所/港区虎ノ門5-8-1 麻布台ヒルズ ガーデンプラザA MB階
時間/月・火・水・木・日10:00~18:00(最終入館17:30)金・土・祝前日10:00~19:00(最終入館18:30)
会期中無休
公式サイト