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東京名建築
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【東京】建築好きが行くべき、フォトジェニックな名建築20

誰もが知っている超有名作から今年完成した最新作まで。

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ディティールをじっくりと観察する。触れてみて素材を知る。スケールを体で感じる。街を散策して周辺環境との関係を考えてみる.....建築は足を運んでこそ、その魅力を存分に享受できるもの。自分だけのお気に入りポイントを見つけると写真の撮り方も変わってくるかも。本記事では、誰もが知る名作から最新建築まで、東京にあるアイコニックな20の建築をピックアップ。歴史や見どころも紹介しているので、ぜひ最後までチェックして。

【大阪】建築好きが行くべき、フォトジェニックな名建築20

【福岡】建築好きが行くべき、フォトジェニックな名建築20


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国立西洋美術館/台東区・上野

国立西洋美術館
写真提供:国立西洋美術館

上野公園には多くの名作建築が点在している。1959年に設立、開館した「国立西洋美術館」は、西洋美術全般を対象とする日本で唯一の国立美術館だ。設計は20世紀を代表する建築家のひとりであるル・コルビュジエ。建設にあたっては、彼の3人の弟子である坂倉準三、前川國男、吉阪隆正が協力し完成した。設立20周年の1979年には、前川國男によって新館が増築された。


国立西洋美術館
写真提供:国立西洋美術館

本館は2007年に重要文化財(建造物)に指定され、2016年に7カ国に点在する17の資産で構成される「ル・コルビュジエの建築作品―近代建築運動への顕著な貢献―」として世界文化遺産にも登録されている。日本で唯一のル・コルビュジエ建築作品である「国立西洋美術館」では、人体の寸法をもとにした寸法規格「モデュロール」や“近代建築の5つの要点”の一つである1階部分を吹き抜けとした「ピロティ」といったル・コルビュジエが提唱した建築的要素を存分に感じることができる。



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国立西洋美術館
写真提供:国立西洋美術館

ル・コルビュジエによる“無限成長美術館”の基本的な原理に基づいて設計されたのが本美術館だ。この構想は「中央のホールから螺旋状のように外側へ展示室を増築してゆく」というもの。建築中心におかれた19世紀ホールは、吹き抜け空間が2階や中3階と様々なところでつながった複雑な空間となっている。



国立西洋美術館
写真提供:国立西洋美術館

一部のエリアは安全上の配慮から非公開となっているが、建築の意図を伝えるべく2023年にはデジタルコンテンツ「ゆびさきでめぐる世界遺産-ぐるぐる国立西洋美術館-」が公開された。本館19世紀ホール「世界遺産コーナー」に設置された空間再現ディスプレイやスマートフォン用コンテンツで、主に非公開ゾーンを歩くように体験できるので、ぜひ試してみて。

国立西洋美術館
東京都台東区上野公園7-7
公式サイト

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2

東京カテドラル聖マリア大聖堂/文京区・関口

tokyo st mary's cathedral
Getty Images

丹下健三の代表作の一つ。1899年(明治32年)に建てられた最初の建築は木造のゴシック様式であったが1945年の戦災により消失。その後、カトリック東京大司教区主催で、前川國男、谷口吉郎、丹下健三の3名への指名コンペが行われ、丹下案が一等当選し、1964年に再建された。白鳥が羽ばたくようなフォルムが特徴的。上空から見ると十字架の形になっているのも驚きだ。ステンレス外装による輝きと美しい曲線は、訪れる人々を魅了する。

東京カテドラル聖マリア大聖堂

最頂部で40m近くに達する内部は、コンクリート打放しという静謐な印象を与える空間。8枚のHPシェルが十字架状のトップライトに向かって互いに支え合いながら縦使いされている。

ミサや催しのない時間で、9時から17時までの間は一般の見学が可能だが、聖堂内は原則撮影禁止。祈りの場であるため、ルールを守って静かに見学しよう。

東京カテドラル聖マリア大聖堂
東京都文京区関口3-16-15
公式サイト

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3

国立代々木競技場/渋谷区・神南

shibuya, tokyo, japan december 16, 2016 yoyogi national gymnasium is an arena located in yoyogi park, tokyo, japan which is famous for its suspension roof design
mizoula

「東京カテドラル聖マリア大聖堂」と同時期(1964年)に建てられたもう一つの丹下建築が「国立代々木競技場」。高度成長期、東京オリンピックの開催を控えた日本の活気あるムードを象徴する建築だ。第一体育館・第二体育館とプールなどで構成されており、両体育館には吊り構造の技術が採用され、主柱から大屋根全体を吊り下げることで無柱の大空間を実現。これにより、選手と観客の一体感を生み出している。構造設計は坪井善勝が担当した。2021年には、「ダイナミックな外観と壮大な内部空間を有する戦後建築の金字塔」として国の重要文化財に指定された。

国立代々木競技場
東京都渋谷区神南2-1-1
公式サイト

4

自由学園明日館/豊島区・西池袋

自由学園明日館
写真提供:自由学園明日館

池袋駅からほど近く、都会的な風景のなかに突如として現れる「自由学園明日館」。水平線が強調された“プレイリースタイル”の建築は、フランク・ロイド・ライトとその弟子の遠藤新が手掛けた。本建築は、1921年に創立された「自由学園」の校舎として建てられた。「簡素な外形のなかにすぐれた思いを充しめたい」という創立者の羽仁もと子、吉一夫妻の思いを見事に反映したデザインが大きな見どころで、広々とした玄関や気持ちの良い開口をはじめ、照明や椅子のデザインまでにこだわりが尽くされている。

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自由学園明日館

学園として利用されたのは開校から13年という短い期間。大地震や空襲を生き延びてきた頑丈な建築であったが、老朽化が進み維持が困難に。保存を望む多くの声を受け、 1997年には国の重要文化財に指定された。その後、大規模な保存修理工事を経て修復がなされ、現在はセミナーやコンサート、結婚式場、各種イベントが積極的に行われており、使いながら保存するという「動態保存」のモデルとして運営されている。

<写真>前庭を望むホール。幾何学の窓枠があしらわれた大きな窓は明日館の顔。奥の壁画は当時の学生が描いたもの。

自由学園明日館

本館から道路を一本挟んだ向かいに位置する講堂は、テニスコートとして使用していた場所に増築する形で1927年に完成した。遠藤新の設計で、ライトのデザインを丁寧に踏襲しながらもフレキシブルに使える機能性も考慮されている。

コーヒーもしくは、紅茶と焼き菓子が付いた見学や、お酒が飲める夜間見学、スタッフによる解説付きの見学などが実施されており、じっくりと建築に浸ることができる機会が充実しているので、ぜひ訪れてみて。

自由学園明日館
東京都豊島区西池袋2-31-3
※不定休(訪問前はHPの確認を)
公式サイト

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5

東京駅丸の内駅舎・東京ステーションホテル/千代田区・丸の内

東京ステーションホテル

日本一のプラットホーム数を誇り、乗り換えなしで34都道府県を一本でつなぐ「東京駅」。普段何気なく利用している人も多いが、国の重要文化財に指定されている。誕生は、今から100年以上前の1914年。日本の近代建築のパイオニアである辰野金吾が設計を手掛けた。ロンドン出身の建築家ジョサイア・コンドルを師にもつ辰野。ドーム状の屋根や赤れんがなど西洋の様式を取り入れた独自のデザインがこの建築を特徴付けている。

東京駅

1923年の関東大震災では被害がなかったものの、1945年の戦災により一部が破損してしまった。戦後、2階建てとして応急的な改修がなされ、2012年には大規模な保存・復原工事が完了。3階建ての姿を取り戻した。

<写真>2012年に復原された丸の内北口のドーム。思わず見上げてしまうこの内装をよく見ると、天井には躍動感ある2mの鷲、8カ所のコーナーには干支など、さまざまな彫刻が設えられている。



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東京ステーションホテル

東京駅のなかに泊まることができるのが、駅の開業とほぼ同じ長さの歴史を誇る「東京ステーションホテル」だ。2012年に行われた駅の保存・復原工事に合わせ、リニューアルオープン。駅舎の2/3を占めるホテルは、ヨーロピアンクラシックに彩られた上品な内装が魅力。3階客室エリアの「アーカイブバルコニー」では、先に紹介したドームレリーフを最も間近に眺めることができる。

東京ステーションホテル
東京都千代田区丸の内1-9-1
公式サイト

6

国際文化会館/港区・六本木

国際文化会館
写真提供:公益財団法人国際文化会館

1955年に国際的な相互理解の増進をはかることを目的に開館した「国際文化会館」は、前川國男、坂倉準三、吉村順三という日本を代表する3人の建築家が共同で設計したモダニズム建築の傑作だ。1976年には前川國男によって本館の改修と西館(新館)の増築が行われた。本館は日本建築学会賞を受賞し、登録有形文化財としても認められている。


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国際文化会館
写真提供:公益財団法人国際文化会館

数々の名庭を手掛けてきた京都の造園家、七代目小川治兵衛による庭園(旧岩崎邸庭園)も見所の一つ。建築はこの庭園と調和するように設計されている。桃山時代〜江戸時代初期の色を留める近代庭園の傑作として知られており、2005年には港区の名勝に指定された。









国際文化会館
写真提供:公益財団法人国際文化会館

庭園を前にフレンチがいただける吉村順三設計のレストラン「SAKURA」とティーラウンジ「ザ・ガーデン」は非会員でも利用することができる。

<写真>レストラン「SAKURA」の屋上部分にも枯山水と庭園が。上階からの景色にも配慮している。

国際文化会館
東京都港区六本木5-11-16
公式サイト






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7

代官山ヒルサイドテラス/渋谷区・猿楽町

代官山ヒルサイドテラス

槇文彦の代表作の一つ。住居、店舗、オフィスからなる複合建築で、A棟からH棟、アネックスA・B棟、ヒルサイドプラザ、ヒルサイドウエストで構成されている。建設は、1969年から1998年にかけて段階的に進められた。30年という年月で変わりゆく街に対応しながら、デザイン上のテーマや原理を維持しつつ設計するという実験的な開発手法で、今の代官山の街を作り上げてきた。

代官山ヒルサイドテラス

「ミナ ペルホネン 」や「ザ・コンランショップ 代官山店」をはじめとするショップ、「アートフロントギャラリー」、カフェ、レストランなどが入居している。グルメやショッピングを満喫するだけでなく、各棟に施されたデザインの違いや建築的な繋がりの発見も楽しんで。

代官山ヒルサイドテラス
東京都渋谷区猿楽町18-8
公式サイト



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8

前川國男邸(江戸東京たてもの園内)/小金井市・桜町

前川國男邸(江戸東京たてもの園内)

「前川國男邸」は1942(昭和17)年に品川区上大崎に建てられ、1996年に移築された。 戦時体制下、建築資材の入手が困難な時期であったことに加えて100平米以下という限られた面積のなかで設計された。外観は切妻屋根の和風であるが、シンメトリーの意匠や空間構成は、師であるル・コルビュジエによるモダニズム建築の理念を強く反映している。

前川國男邸

<写真>建物内部。大きなガラス格子戸の窓や4.5mにも及ぶ吹き抜けによって開放感のある空間となっている。

「江戸東京たてもの園」にはこのほか、貴重な建造物が数多く移築・復元されている。建築は建てられたその時代を色濃く映し出すもの。建築を通して日本の歴史の変遷をたどってみては?

江戸東京たてもの園
東京都小金井市桜町3-7-1
公式サイト



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