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京都モダン建築祭
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「京都モダン建築祭」で見逃せない、一般非公開の名建築15

昨年高倍率だった「先斗町歌舞練場」や建築祭として初めて夜間公開される「京都国立博物館 明治古都館」、知られざる槇文彦の傑作「祇園くろちくビル」など見逃せない建築ばかり!

2024年11月1日(金)からスタートする「京都モダン建築祭」。普段は立ち入ることができない建築が、所有者や関係者の厚意と協力で特別に公開されるのが本イベントの魅力。パスポートを購入することで自由に見学できる「パスポート公開」の対象となる建築が決定! 本記事では、特に注目の15件をご紹介。

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1

京都市役所本庁舎

京都モダン建築祭 京都市役所本庁舎

一般非公開エリア:市会議場、正庁の間

「関西建築界の父」と呼ばれる武田五一が監修した「京都市役所本庁舎」は、バロック、ロマネスク、イスラムなど、さまざまな様式を巧みに融合した、昭和初期ならではの堂々たる庁舎建築。今回公開される「市会議場」は、重厚な玄関ホール、劇的なバロック階段とステンドグラス、曲線が印象的だ。「正庁の間」は、戦後の庁舎には見られない空間。屋上には、戦時中の高射砲台座も残されている。

2

京都国立博物館 

京都モダン建築祭 京都国立博物館

一般非公開エリア:技術資料参考館

「京都国立博物館」内の「技術資料参考館」は、陳列品の収蔵庫として使われてきた重要な建築。レンガづくりの「明治古都館」に対して、こちらは鉄筋コンクリートにタイル貼り。湿気対策として、床が高くなっているのが特徴だ。「茶室堪庵」は、宗和流茶道の祖・金森宗和好みの茶室「庭玉軒」をモデルとした。茶を楽しむ草庵らしく、野趣味あふれる材料が使われている。ともに初参加。

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3

京都市京セラ美術館

京都モダン建築祭 京都市京セラ美術館

一般非公開エリア:貴賓室

日本最古の公立美術館である「京都市京セラ美術館」は、洋式建築に和風の屋根を冠した、いわゆる帝冠様式を代表する建築だ。青木淳による設計のもとで大規模リノベーションし、2020年にリニューアルオープン。地下へ続くスロープが新設されて内部と外部をゆるやかにつなぎ、新時代の美術館を体現している。和風の欄干や木鼻と、アールデコやライト式が混ざり合う玄関ホールに、折上格天井をもつ、格式高い「貴賓室」など、機能と格式が調和した、歴史建築×リノベーションの妙を味わおう。

4

京都府立図書館

京都モダン建築祭 京都府立図書館

一般非公開エリア:外階段

武田五一の設計により、1909年に開館。1995年の阪神淡路大震災で大きな被害を受け、2001年に外壁保存の形で改築、現在の新館がオープンした。外壁の一部として現存する貴重な往時の階段は通常立入禁止となっているが「パスポート公開」でこの外階段への立ち入りが実現した。館内3階では、改築時から大切に保管されてきた家具の特別展示も行われ、貴重な資料を間近に見ることができる。

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5

茂庵

京都モダン建築祭 茂庵

一般非公開エリア:旧点心席、静閑亭、田舎席

大正時代、数寄者として知られた谷川茂次郎が山中に造営した一大茶苑。山頂の「旧点心席(食堂)」に加え、茶室「静閑亭」「田舎席」を特別に公開する。野趣あふれる巨大な梁に地下室のタイル、せり出す露台に注目したい。眼前には、大文字を望む見事な眺望が広がる。森の中を歩いていると、思いがけず姿を現す茶室群を訪れ、その非日常空間に身を委ねよう。

6

TSUGU 京都三条 by THE SHARE HOTELS(旧日本生命京都三条ビル)

京都モダン建築祭 tsugu 京都三条 by the share hotels(旧日本生命京都三条ビル)

一般非公開エリア:シェアキッチン・ラウンジ

現在、ホテル「TSUGU 京都三条」として活用されているこの建物は、大正時代に生命保険会社のビルとして建設された。特徴的なのは、角地にそびえ立つ尖塔。「角地を強調して都市景観をつくる」という手法を西洋から学んだ明治・大正時代の名残りを感じさせる。4階に入るシェアキッチン・ラウンジの窓からは、青銅製の尖塔の屋根を間近に見ることができる。

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7

龍谷大学大宮学舎

京都モダン建築祭 龍谷大学大宮学舎

一般非公開エリア:本館、南黌及び北黌の一部、旧守衛所、渡り廊下、正門

日本でも屈指の古い校舎群が残る貴重なキャンパスが、1日限りで特別公開される。「本館」を中心に「北黌」「南黌」「正門」「旧守衛所」と、明治初期の洋風建築の代表例として国の重要文化財に指定された、5棟の建築が連なる。いずれの建物も、ヨーロッパ由来の本格的な建築学が定着する前に日本人の大工らによって建設された、独創的で品格ある佇まい。洋風建築の黎明期を代表する建築群に足を踏み入れることのできる、貴重な機会をお見逃しなく。

8

京都府立医科大学

京都モダン建築祭 京都府立医科大学 本部棟

一般非公開エリア:本部棟

京都随一のネオゴシック建築。左右対称の堂々たる構えや反復される尖頭アーチが目を引く。内部には、当時流行したアールデコ風のステンドグラスも。特別公開される階段教室は、つくりつけの机椅子も含め、竣工当時のままの状態を保っている。今回の公開では急な階段の“裏側”も見学できる。設計は、紫明会館、旧京都府警察本部(現・文化庁)など数々の名建築を残している京都府営繕課技師の十河安雄。

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9

京都復活教会

京都モダン建築祭 京都復活教会

一般非公開エリア:建物全体

建築家のウィリアム・メレル・ヴォーリズが手掛けた白亜の教会は、高くそびえる鐘楼が存在感を放つ、堀川北大路のランドマーク。ゴシック様式の特徴である尖頭アーチや、窓にほどこされたトレーサリーと呼ばれる複雑な透し彫りが印象的だ。内部の礼拝堂では、木の小屋組みが見どころ。幼稚園を併設する京都復活協会は、現在も地域の集いの場所として機能している。

10

日本福音ルーテル賀茂川教会

京都モダン建築祭 日本福音ルーテル賀茂川教会

一般非公開エリア:建物全体

ヴォーリズが戦後に手掛けた貴重な教会建築のひとつ。赤い瓦屋根にクリーム色の壁、角には塔、建物正面には小さなバラ窓と、まるで中世イタリアの教会のようだ。親しみを感じさせる素朴な趣もヴォーリズらしく、街並みによく馴染む。内部は、トラス構造の小屋組みが屋根を支え、小さいながらも力強さのある、リズミカルな空間に仕上げられている。聖書を重んじるルター派らしい、簡素で静かな佇まいの教会の空気を肌で感じたい。

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11

ロームシアター京都

京都モダン建築祭 ロームシアター京都
写真:小川重雄 写真提供:ロームシアター京都(公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団)

一般非公開エリア:サウスホール

京都を代表する劇場建築。巨匠・前川國男が手掛けた戦後モダニズムの傑作、「京都会館」を、2016年にリノベーション。水平庇を多用した設計は、寺社建築のような日本的要素を強く感じさせる。建築の内外が同素材でデザインされた、統一感のある世界観にも注目。今回公開される「サウスホール」でも、もともと外にあった打ち放しコンクリートの手すりが内部に入りこんでいる様子を確認できる。新旧折り重なる、生まれ変わった名建築を体感しよう。

12

重信会館

京都モダン建築祭 重信会館

一般非公開エリア:建物全体

東本願寺と渉成園の間に位置し、前を通る誰もが目を留める「重信会館」。昭和初期の建築らしいアールデコの特徴とともに、中央に入口、両脇に丸窓のある左右対称のつくりを基本としながら、右にある横長の線は正面から側面に回り込むなどスピード感を強調するデザインにも着目してほしい。印象的な窓飾りや階段の意匠、蔦の絡まる外観、西洋と東洋が融合したエキゾチックな内部も見どころだ。「京都モダン建築祭」初参加。

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13

先斗町歌舞練場

京都モダン建築祭 先斗町歌舞練場

一般非公開エリア:建物全体

芸妓や舞妓が歌舞を披露する、花街のシンボル。劇場建築の名手、木村得三郎が設計を手掛けた。水平線を強調した壁面や蹴上部分のレリーフタイル、引っ掻き模様のスクラッチタイルなど、フランク・ロイド・ライトの影響が随所に感じられる。装飾陶板やボーダータイルを用いた「なまこ壁」のような意匠が独特。当時「東洋趣味を加味した近代建築」と賞賛された花街建築をディテールまで味わおう。

14

京都国立博物館

京都モダン建築祭 京都国立博物館 明治古都館

一般非公開エリア:明治古都館

赤坂離宮などを手がけた宮廷建築家・片山東熊の名作、「京都国立博物館」は、11月3日(日)の18時から20時までに限り、公開される。17世紀ヨーロッパ宮廷建築の華麗なバロック様式をベースにしながらも、日本的な抒情性や繊細な感覚を見事に融合。古代ギリシャに始まる建築要素である円柱が立ち並ぶ、気品ある空間だ。「京都モダン建築祭」初参加。

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15

祇園くろちくビル

京都モダン建築祭 祇園くろちくビル

一般非公開エリア:2階部分

2024年まで活躍した世界的建築家、槇文彦の知られざる傑作。モダニズムデザインでありながら、建物上部には日本酒の樽をイメージした円筒形が、1階床には日本の石を思わせるしつらえがあるなど、随所に日本的な要素も見られる。まずは中庭、続いて吹き抜けと、奥にむかって別の世界が現れていく空間の重層性を体感できる。初参加。

「パスポート公開」の対象となる建築は、土日のみの公開。中には1日限りの特別公開となるものもあるので、気になる建築がある場合は公式サイトで事前に詳細をチェックしておこう。


2024年京都モダン建築祭
会期/2024年11月1日(金)〜10日(日)

公式サイト

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