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建築文化の祭典『ひろしま国際建築祭 2025』が2025年10月開催

プリツカー建築賞を受賞した日本人建築家が集結する展覧会や丹下健三自邸復刻プロジェクトなど、届いたばかりの情報を紹介。

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ひろしま国際建築祭

広島県の福山市と尾道市を中心とした瀬戸内エリアを舞台に『ひろしま国際建築祭』が始動する。「“建築”で未来の街をつくり、こどもの感性を磨き、地域を活性化させ、地域の“名建築”を未来に残すこと」をミッションに3年に一度開催される、建築文化を発信するための祭典だ。主催は、建築文化を発信することを目的として福山市に設立された神原・ツネイシ文化財団。

初回は2025年10月4日(土)から11月30日(日)。「つなぐ—“建築”で感じる、私たちの“新しい未来” Architecture: A New Stance for Tomorrow」をテーマとし、総合ディレクターを同財団理事で慶應義塾大学SFC特別招聘教授の白井良邦、チーフキュレーターを同じく主任研究員で京都美術工芸大学特任教授の前田尚武が担当する。

会期中には、『ナイン・ヴィジョンズ: 日本から世界へ 跳躍する9人の建築家』展を行う「尾道市立美術館」をはじめ、福山市と尾道市内の10を超える会場や瀬戸内エリアのサテライト会場にて、建築にまつわる多彩なイベントが企画されている。特に注目したい展覧会や建築をまとめてご紹介しよう。

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『ナイン・ヴィジョンズ: 日本から世界へ 跳躍する9人の建築家』

尾道市立美術館
尾道市立美術館

1980年の開館後、安藤忠雄の設計による改修工事を経て2003年にリニューアルオープンした「尾道市立美術館」では、建築家のノーベル賞と言われるプリツカー建築賞を受賞した8組9名の日本人建築家に焦点を当てた展覧会を開催する。





modern architectural structure with a green roof beside a body of water
桃園児童美術館 設計/山本理顕 ©︎Riken Yamamoto & Field Shop

会場には丹下健三(1987年受賞)、槇文彦(1993年受賞)、安藤忠雄(1995年受賞)、妹島和世・西沢立衛(2010年受賞)、伊東豊雄(2013年受賞)、坂茂(2014年受賞)、磯崎新(2019年受賞)、山本理顕(2024年受賞)がこれまで手掛けてきたプロジェクトの図面や模型が登場するなど、インスタレーションを中心とした展示が企画されている。







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丹下健三自邸復刻プロジェクト

住居(丹下健三自邸)
住居(丹下健三自邸) 設計 / 丹下健三 1953年(現存せず) 模型 / 1:3 2018年 W6790 D3440 H2215 制作監修 / 森美術館、野口直人 制作 / おだわら名工舎 展示風景 /「 建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」 森美術館(東京) 2018年 撮影 / 来田 猛 写真提供 / 森美術館

現在、神原・ツネイシ文化財団にて、丹下健三が東京・成城に設計した自邸(1953年竣工。現存せず)を、丹下の長女である内田道子監修の下、瀬戸内海を見下ろす福山市の海辺に再建するプロジェクトが進行中。『ひろしま国際建築祭 2025』では、同プロジェクトに関する展示を「神勝寺 禅と庭のミュージアム(無明院)」にて行う。





神勝寺 禅と庭のミュージアム

神勝寺 禅と庭のミュージアム(無明院)
神原・ツネイシ文化財団

「丹下健三自邸復刻プロジェクト」にまつわる展示の会場となる神勝寺には、ほかにも藤森照信が設計した寺務所「松堂」や千利休が晩年、京都の聚楽屋敷に建てたとされる一畳台目の茶室(1畳と、その4分の3程度の台目畳を敷いた茶室)を中村昌生の設計で復元した「一来亭」、名和晃平によるアートパビリオン《洸庭》など見どころが満載。200点を超える国内有数の白隠コレクションも必見だ。




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ふくやま美術館

ふくやま美術館
福山観光コンベンション協会

1988年、福山市市制施行70周年記念事業として誕生した美術館。設計は、佐藤総合設計。敷地内に立つ印象的な赤いモニュメントは、広島県出身のアーティスト、高橋秀による《愛のアーチ》だ。「ふくやま美術館」でも、「尾道市立美術館」と同様に、建築祭に合わせた関連企画を実施する。








iti SETOUCHI

iti setouchi
足袋井竜也

中四国地方で最大規模の百貨店として地域に親しまれた福山そごうの後をついだ大型複合商業施設(2020年閉館)の1階を、オープンエー(OpenA)による設計でリノベーションした「iti SETOUCHI(イチ セトウチ)」。6つの街区からなる“小さなまち”として再生した。館内の半分以上は公園のようなパブリックスペース。建築祭の会期中には、ここで建築家たちが考える未来へのビジョンを紹介する。参加作家については、これから発表されるので、お楽しみに。

『ひろしま国際建築祭2025』では、このほかにも、福山市や尾道市を含む瀬戸内エリアで国内外の有名建築家が手掛けた建築をサテライト会場に、さまざまな展示やイベントを行う。注目の会場をいくつか見てみよう。

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ONOMICHI U2

u2
せとうちクルーズ

1943年に建てられた海運倉庫、県営上屋(うわや)2号倉庫をリノベーションし、2014年にオープンした「ONOMICHI U2」。設計は、サポーズデザインオフィスの谷尻誠。「まちの中のちいさなまち」をテーマにした約2,000平方メートルに及ぶ施設内には、ホテルやレストラン、バー、カフェ、ベーカリー、ライフスタイルショップ、自転車のプロショップが入る。





LOG

log
せとうちクルーズ

「LOG(ログ)」は、スタジオ・ムンバイが拠点であるインド国外で取り組んだ初めての建築プロジェクト。1963年に先進的なアパートとして尾道市に誕生した新道アパートが、ガーデンなどを備え、宿泊できる地上3階の多目的空間「LOG –Lantern Onomichi Garden–」として生まれ変わった。





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LLOVE HOUSE ONOMICHI

japanesestyle room with tatami flooring and large windows
“LLOVE HOUSE ONOMICHI” © 高塚 遼

スキーマ建築計画の代表、長坂常が、尾道市の山手に立つ築110年以上の建物を譲り受け、「次の時代に残していけるように」修繕工事を実施し、再生した「LLOVE HOUSE ONOMICHI(ラブハウス オノミチ)」。現在は、世界中から訪れるクリエーターを中長期的に受け入れ、地域との交流を促すアーティスト・イン・レジデンスとして活用されている。





おりづるタワー

おりづるタワー
おりづるタワー

2016年、原爆ドームの東隣にオープンした複合商業施設。屋上展望台からは広島市街や宮島を一望でき、折り鶴をテーマにしたデジタルコンテンツや、専用の折り紙で折った鶴を投入できる「おりづるの壁」などが体験可能。設計は三分一博志。館内には広島の特産品を扱う物産館やカフェなども入り、広島の魅力を多角的に発信している。

『ひろしま国際建築祭 2025』では、通常立ち入ることができない文化財などの一般公開や、瀬戸内エリアに作品がある著名建築家を招いたレクチャーなども予定。2025年春には、さらなる詳細が発表されるので、続報を楽しみに待ちたい。


ひろしま国際建築祭 2025
会期/2025年10月4日(土)〜11月30日(日)
開催地/広島県福山市、尾道市、瀬戸内海周辺のサテライト会場

公式サイト

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