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京都名建築
Forward Stroke Inc.

【京都】建築好きが行くべき、フォトジェニックな名建築20

新旧の建築を通して、京都の奥深さに触れる街歩きを楽しもう。

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千年の都・京都は、古くからの伝統建築と現代の感性が融合した建築が共存する、世界でも稀有な都市。本記事では、「清水寺」や「桂離宮」といった歴史的名建築や、リノベーションによってよみがえった建物、京都らしさを受け継ぎながら新たな美を表現したホテルなど、京都に行ったら必ず訪れたいスポット20を厳選してご紹介。

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【全国】建築好きが行くべき、フォトジェニックな名建築

1

京都駅ビル/京都市

京都駅

西日本の玄関口として連日多くの人が集まる「京都駅ビル」は、駅機能に加えて「京都劇場」や「ホテルグランヴィア京都」、「ジェイアール京都伊勢丹」なども内包する大型商業施設だ。現在の駅舎は4代目で、1997年に現在の姿となった。

東西470mに延びるこの建築を設計したのは、「梅田スカイビル」や「札幌ドーム」などを手掛けた建築家の原広司。新駅舎建設に際して国際指名コンペが行われ、黒川紀章 、ジェームス・スターリング 、安藤忠雄など名だたる建築家のなかから原の案が採用された。

京都駅

原は「京都は歴史への門である」というコンセプトを掲げ、平安京の特徴である条坊制(碁盤の目の都市区画)を空間分割のシステムとして採用。中央コンコースを核として、段丘状の空間が東西に広がり、ダイナミックな空間をつくり出した。上部には地上高45m、長さ185mの空中径路が設けられている。中央のアトリウムはガラスと金属でカバーされており、内部にいながら空を見上げることができる。

京都駅ビル
京都府京都市下京区東塩小町

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2

清水寺/京都市

清水寺
画像提供:清水寺

奈良時代の778年に開創された「清水寺」は、日本建築史においてもきわめて貴重な存在だ。火災や戦乱による焼失を繰り返しながらも、そのたびに再建が行われ、約1250年にわたって歴史を重ねてきた。

13万㎡にも及ぶ広大な境内には、国宝や重要文化財に指定された30以上の堂塔伽藍が、音羽山の起伏を巧みに取り込みながら配置されている。正門にあたる「仁王門」をくぐり、参道を進むと、「西門」や「三重塔」を経て、やがて国宝の「本堂」へと至る構成だ。

<写真>平安時代の宮殿を思わせる寄棟造の屋根が美しい本堂と、そこから張り出すように設けられた有名な舞台。

清水寺
画像提供:清水寺

「本堂」(舞台)の最大の特徴は、「懸造(かけづくり)」と呼ばれる日本古来の伝統工法にある。周囲およそ2mの太いケヤキ柱が立ち、横材である「貫(ぬき)」がそれらを貫通。継ぎ手によって固定されており、釘を一切使わない木組み構造がこの巨大建築を支えている。こうした工法により、断崖という通常は建築に不向きな場所に、壮大なスケールの本堂が成立している。

現在の舞台は1633年に再建されたもの。長い年月を経ても変わらない姿は、江戸初期の建築技術の確かさを物語っている。

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清水寺
画像提供:清水寺

京都の街並みからも望むことができる「三重塔」は、「清水寺」のシンボル。高さは約30mで、国内最大級の三重塔としても知られるとともに、重要文化財にも指定されている。朱塗りの外壁が鮮やかに際立つこの塔の内部には「大日如来像」が祀られており、天井や柱には密教仏画や龍が極彩色で描かれている。(塔内は非公開)






清水寺
画像提供:清水寺

春、夏、秋の年3回実施される夜間特別拝観の期間中は、開門時間が21時30分まで(受け付けは21時)延長される。境内の主要な建築物がライトアップされ、昼間とは異なる幻想的な雰囲気を感じることができるだろう。

公式サイトでは、伝統行事の案内や、桜・紅葉の見頃情報も掲載されているので、訪れるタイミングを計画するときに参考にしてみて。

清水寺
京都市東山区清水1-294
公式サイト

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3

桂離宮/京都市

桂離宮

「桂離宮」は江戸時代初期の1615年頃に、初代・智仁親王と2代・智忠親王の父子によって別荘として造営が始まり、約50年にわたって3度の増改築を経て現在の姿となった。特筆すべきは、創建から400年以上経った今も、火災などの被害を一度も受けていないということ。ほぼ当時の姿のまま日本文化の真髄を今に伝える、貴重な場所の一つだ。

<写真>八条宮初代智仁親王が最初の書院として建てた「古書院」。建物は東南に向けて建てられ、美しい眺望を意識した造りとなっている。庭園を望む吹き抜けの広縁には、池に突き出すように月見台が設けられており、空に浮かぶ月と池に映る月、その両方を楽しめる。

桂離宮

約2万坪もの広大な敷地には、御茶屋や書院などの建築が点在しており、それらは庭園との調和を考慮して巧みに配置されている。皇族たちは御茶屋をめぐったり、池に舟を浮かべて和歌や月見に興じたという。池を中心に配置された御茶屋は4軒。本格的な茶室がある「松琴亭」、見晴らしのよい「賞花亭」、月を楽しむ「月波楼」、田舎屋風の「笑意軒」などそれぞれに特徴をもつ。

<写真>最も格式が高い御茶屋と言われる「松琴亭」。室内には藍色が随所に用いられており、特に当時としては斬新なデザインであった市松模様の襖が目を引く。


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桂離宮

日本庭園の最高峰と称される池泉回遊式庭園では、美しい四季の移ろいを感じられるだけでなく、歩を進めるごとに異なる風景が連続して現れるよう、緻密に景観が設計されている。一つ一つの要素に発見があり、それらの調和に心を奪われる...そんな唯一無二の体験ができる「桂離宮」は、一生に一度は訪れたいスポットだ。

桂離宮
京都府京都市西京区桂御園
公式サイト

※参観は中学生以上で、18歳以上の方は1名につき1回 1,000円。インターネットまたは郵送・窓口にて申し込みが必要です。詳しくは公式サイトから確認を。

4

京都府立陶板名画の庭/京都市

京都府立陶板名画の庭

地下鉄・北山駅からほど近く、「京都市府立植物園」に隣接する「京都府立陶板名画の庭」。1994年、世界で初めて屋外で鑑賞できる絵画庭園として開園した。安藤忠雄が設計したこの建物は、屋外に展開される3層の回廊が入り組み、ゆるやかなスロープで立体的に繋がる構造が特徴だ。園内には水盤や滝が効果的に配置されており、光や水、風といった自然の要素が、無機質なコンクリートのなかで調和している。

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京都府立陶板名画の庭

展示されている陶板画は、原画を撮影したポジフィルムを陶製の板に転写し、焼成して仕上げたもの。雨風にさらされる屋外でも変色や腐食が起こらず、名画の美しさを半永久的に保存することができる。

園内には、鳥羽僧正による《鳥獣人物戯画》やレオナルド・ダ・ヴィンチの《最後の晩餐》など、世界の名画8点が点在している。うち4点は、1990年に開催された「国際花と緑の博覧会」のために制作され、当時、安藤忠雄によるパヴィリオン《名画の庭》に展示されたもの。残る4点は、この施設のために新たに制作された。

<写真>クロード・モネの《睡蓮・朝》は、水面のなかに埋め込まれた形で展示されており、他では見ることのできない独自の演出となっている。

京都府立陶板名画の庭

ミケランジェロ作の《最後の審判》は、ほぼ原寸大のサイズ(1430cm×1309cm)で展示。その迫力あるスケール感に圧倒されることだろう。

京都府立陶板名画の庭
京都府京都市左京区下鴨半木町
公式サイト







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5

京都国立博物館/京都市

京都国立博物館

1897年に「帝国京都博物館」として開館した「京都国立博物館」は、国宝、重要文化財を含む貴重な文化財を約9000、社寺などからの寄託品、約6500を収蔵する。資料の収集保管・保存修復を基盤としながら、調査研究に裏付けされた展覧会を開催し、さらにイベントや講座といった教育事業にも取り組み、日本の歴史や文化とその魅力を国内外に広く伝えている。

<写真>「赤坂離宮」などを手掛けた宮廷建築家・片山東熊が設計を担当した「明治古都館」。フランス・ルネサンス―バロック様式を取り入れつつ、日本的な繊細な感覚が随所に見られる気品ある建築は、重要文化財に指定されている。2015年より、耐震性の向上などを目指して、大規模な改修工事が行われている。

京都国立博物館

2014年には、谷口吉生の設計により「平成知新館」がオープン。装飾的でクラシカルな「明治古都館」に対し、直線を基本としたモダンなデザインが特徴の建築だが、障子を彷彿とさせるすりガラス、格子や庇など、伝統建築にみられる要素が随所に散りばめられている。








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京都国立博物館

現在は、平常展示である「名品ギャラリー」と特別展の両方が、作品を入れ替えながら交互に開催されており、京博の中心施設として活用されている。館内には、展示室のほか、明るく開放的なロビーや最新の映像設備を誇る講堂などを備える。

京都国立博物館
京都府京都市東山区茶屋町527
公式サイト





6

京都市京セラ美術館/京都市

京都市京セラ美術館
撮影:来田猛

1933年に「大礼記念京都美術館」として創建された、現存する日本の公立美術館建築の中で最も古い建築。2020年、「京都市京セラ美術館」の通称を得てリニューアルオープンを果たした。

<写真>リニューアルに際して、美術館正面にはスロープ状の広場「京セラスクエア」が新たに整備された。本館の地下1階部分には、ガラスのファサード「ガラス・リボン」が設けられ、メインエントランスやミュージアムショップ、カフェが配置されている。来館者と街、美術館の内と外をなめらかに繋ぐ設計だ。

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京都市京セラ美術館
撮影:来田猛

大規模な改修設計を手掛けたのは、建築家の青木淳と西澤徹夫設計共同体。帝冠様式の歴史的な本館を保存・活用すると同時に、現代アートを中心に多様な展覧会を行う「東山キューブ」や、新進作家の展示スペース、カフェやミュージアムショップなども新設され、機能性と多様性を兼ね備えた美術館へと生まれ変わった。

<写真>本館北回廊に位置する中庭「光の広間」。リニューアル前は非公開エリアだったが、ガラス天井とバルコニーが新たに設置され、明るく開放的な空間に。イベント展示スペースなど、多目的に活用できるエリアとなった。

京都市京セラ美術館
撮影:来田猛

館内には、ステンドグラスが美しく光る天井や、大理石の壁、モザイクタイルの床など、創建当初の意匠が随所に残されている。アート鑑賞だけでなく、建築的な歴史を感じるディテールを見て回るという楽しみ方ができるのも「京都市京セラ美術館」の大きな特徴だ。

京都市京セラ美術館
京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124
公式サイト




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7

京都府立図書館/京都市

京都府立図書館

「平安神宮」の大鳥居がそびえる岡崎の街に位置する「京都府立図書館」は、明治初期に京都府が開設した日本初の公立図書館「集書院」を源流とする、歴史ある図書館だ。

1909年、関西近代建築の父と称される武田五一の設計により現在地に開館。1995年の阪神淡路大震災で甚大な被害を受けたことから、2001年に建て替えが行われ、現在の姿となった。建て替えにあたっては、武田によるフランス・ルネサンス風のクラシックな様式の外観が保存され、明治期の面影を今に伝えている。

<写真>開館時のデザインを継承した外観。正面の半月型の吹き抜けには、階段状のガーデンが広がる。

京都府立図書館

約137万冊の資料数を誇る館内は、地下の閲覧室へと続く螺旋階段を中心とした空間。1階では、日本文学や京都にまつわる資料が揃い、2階には映像資料やインターネット閲覧が可能なマルチメディア閲覧室を備える。

また、エントランスには旧館時代に使われていた建築部材や調度品が常設展示されており、19世紀末の西洋芸術の粋を感じさせる扉や階段、手すり、天井飾り、家具などが並ぶ。

京都府立図書館
京都市左京区岡崎成勝寺町
公式サイト

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