A 包まれているけれど開かれている。森は、これからの建築の在り方を示唆していると考えています。
北海道で生まれ育ち、子どもの頃は家の裏の森でよく遊びました。森には草花や木々があり、包まれているので居心地がよく、閉じられてはいないので移動して探検もできる。未知のものがあるからずっと遊んでいられたんです。けれど東京の雑多な感じも好き。不思議だったけれど建築を学び始めて気付いたのは、自転車や植木鉢が置かれた裏道やいろいろなモノが売られている小さな商店街など、東京の街にはさまざまな要素があって閉ざされていないということ。つまり「森」的な成り立ちに近いんです。
森は多様な動植物の存在に加え、明るい場所と暗い場所、開けた場所と狭い場所、さまざまな場があり、環境が豊かです。柔らかく共存しながら調和している森の在り方が、これからの建築の理想ではないかと考えています。
<写真>「たくさんの ひとつの 森」と題した展示。仙台市で計画が進んでいる「(仮称)国際センター駅北地区複合施設」の15分の1サイズの一部を展示。設計に「バラバラであると同時に一つである、多様なものが響き合う」という考え方が盛り込まれている。