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2024~2025年も、新しいホテルやリニューアルした旅館が全国で次々と開業中。そこで、今泊まりに行きたいおしゃれなスポットを厳選してリサーチ!
地産地消の美食が自慢のオーベルジュから、ウェルビーイングに着目した外資系ラグジュアリー、レアな温泉やサウナが楽しめる宿まで、気になったらすぐに予約して出かけよう。
撚る屋/岡山・倉敷

年間およそ461万人もの観光客が訪れる、岡山県倉敷市。そのなかでも特に日本らしい情景が楽しめることで高い人気を誇る美観(びかん)地区に、新たな宿「撚る屋(よるや)」が2024年11月に開業した。
もともとここは、呉服屋の別邸として110年以上前に建てられたのちに、30年以上旅館として運営されていた伝統的な建造物。近年は未活用となっていたところ、このエリアにある貴重な地域資源を活用して地域価値を向上させようというプロジェクトのもと、改修&増築を経て、“料理宿”として美しく生まれ変わった。

空間デザインと内装は、HIGASHIYAやイソップ京都店、アンダーズ 東京などを手がけてきたSIMPLICITYが担当し、建築設計は今井健雄建築設計事務所が担当。黒漆喰や土壁、梁といった既存素材を残す部分と、新築部分の調和を大切にしながら造られた空間は、どこか懐かしさを感じながらも無駄を削ぎ落したモダニティと洗練が漂う。
客室内のグラスや館内の工芸品の多くも地域の作家によるもので、その審美眼にうっとりしながら過ごしたい。

専用庭と半露天風呂付きのスイートやジュニアスイート、メゾネット、そしてスタンダードの全13室というラインナップで、広さは30~76平方メートルあるので、用途に合わせてチョイスを。
また館内には、14席のカウンターのダイニングとワインバーも併設。土地の旬食材をふんだんに使って和の技法で丁寧に仕上げた、季節の移ろいを感じられる美しいメニューを提供しているので、宿泊時は必ず味わっておこう。ダイニング、バーともに宿泊客以外も利用可能で、ダイニングは事前予約が必要。
撚る屋
住所/岡山県倉敷市東町2-7
tel. 050-5799-4721
HACIENDA VISON/三重・多気

三重県のほぼ中心に位置する多気町には、日本の「ザ・コンランショップ」が初めてデザイン監修したホテル「HACIENDA VISON(ハシェンダ ヴィソン)」が、商業施設「VISON」内に2024年夏に誕生。
東京ドーム24個分(約119ヘクタール)という広大な敷地の中でもひときわ緑に恵まれたエリアに位置しており、木や石など自然素材をふんだんに取り入れた、温もりと洗練に満ちあふれているホテルだ。

ミッドセンチュリーモダン、南仏、バウハウスなどそれぞれコンセプトが異なる計6つの部屋は、すべて77平方メートル以上でキッチンも完備。「ザ・コンランショップ」の生みの親であるテレンス・コンラン卿をはじめ、パブロ・ピカソ、ジョージア・オキーフなどの著名デザイナーやアーティストが暮らした土地がテーマになっており、名作家具やアートがゲストを出迎えてくれる。
また1階の部屋にはすべて専用ガーデンが付き、ペットと一緒に宿泊できる部屋もあり。

心地よい目覚めを迎えたら、新鮮なオーガニック野菜をたっぷり使った朝食を部屋で味わい、フレッシュな一日をスタートさせて。
なおVISONには、レストランやパティスリー、三重周辺の旬食材が集まるマルシェ、三重大学とロート製薬の共同研究により開発された薬草を活用した温浴施設など、9エリアに約70のショップが存在。ここだけでも一日中楽しめるが、伊勢神宮や熊野古道にもアクセスしやすく、観光の拠点としても使える。
HACIENDA VISON
住所/三重県多気郡多気町ヴィソン672-1 農園4
tel. 059-867-0698
YAWN YARD Kouri Island/沖縄・古宇利島

2024年9月、沖縄の古宇利島にオープンした「YAWN YARD(ヨーン・ヤード) Kouri Island」も、建築好きやデザインにこだわる人たちから熱い視線を集めている気になる宿。
自然と人が仲良くなるくつろぎ方を具体化し、土地の気候風土や生活美学をいかしたユニークな宿泊体験を提供する「YAWN YARD」プロジェクトの第1弾となるホテルで、“泊まれる庭”をコンセプトに掲げている。

5部屋ある「(sea)」と3部屋ある「(hill)」のエリアに分かれており、2つの小屋をひとつの大屋根で繋げたような半屋外タイプのプライベートヴィラと広い庭が、なんともおおらかで開放的な雰囲気。建築設計は、「ル ラボ 京都町家」や東京・錦糸町の「黄金湯」を手がけてきた「スキーマ建築計画」の長坂常が担当した。
8室のうち7室にプールが、また1室には専有の庭があり、最大の部屋で6名まで泊まれるので、ひとりでもグループでも、南国ムードを全身で感じながら過ごせる。地元の作家によるここにしかない琉球家具が、ステイをさらに美しく機能的に彩ってくれる。

「みんなで囲む」「いつか身体になる(クスイムン)」の精神を重んじるヘルシーフードも自慢なので、予約時に気になるプランを選んでみて。島の菜園で育てた島野菜や沖縄産の食材をふんだんに使った彩り豊かな食事を、部屋でゆっくりいただけば、体の中からリフレッシュできそう。
心地よい潮風を浴びながら海を眺めていれば、クジラを見つけることもできるかも?
YAWN YARD Kouri Island
住所/sea:沖縄県国頭郡今帰仁村古宇利1837
hill:沖縄県国頭郡今帰仁村古宇利1792-1
tel. 0980-56-1128
歓宿縁 ESHIKOTO/福井・永平寺町

北陸新幹線の開通により、旅好きからの注目をいっそう浴びている福井県。曹洞宗の大本山・永平寺のある永平寺町に、2024年11月末にグランドオープンした「歓宿縁(かんしゅくえん) ESHIKOTO」は、3タイプ全8棟のヴィラから成る大人のための宿だ。
「えしこと=良い事」を意味する食と文化の発信施設「ESHIKOTO」の隣に立ち、福井の豊かな食と銘酒「黒龍」のマリアージュを楽しめるオーベルジュとして、食通を中心にじわじわと人気を集めている。

全客室が100平方メートル近い広々とした造りで、監修とアートキュレーションは陶芸家で造形作家の内田鋼一が、バーエリアのデザイン監修は橋本夕紀夫デザインスタジオが担当し、さらに家具は「ザ・コンランショップ」がセレクト。
越前焼や越前塗といった福井を代表する古美術から近現代アーティストの作品、世界各地の民芸品まで、古今東西のアートがシンプルで上質な空間をさりげなく彩っている。
全室に天然温泉の半露天風呂を完備しており、目の前を流れる九頭竜川や山々の移ろう景色を眺めながら、好きなだけ温泉を堪能できるのもありがたい。

夕食は、日本料理とフレンチが入れ替わり(不定期)で営業。「日本料理 えん」では、冬は越前蟹をはじめとする海の幸、夏は天然鮎など、四季折々の地元食材とこの地の郷土食文化を取り入れたコースを、フレンチ「cadre(カードル)」では、モダンにアレンジした越前でとれるジビエや、福井の伝統食を取り入れたコースを堪能できる。お腹を満たしたあとは、黒龍酒造の貴重な樽酒やフルーツカクテルが楽しめる「Bar 刻」で〆るのがおすすめだ。
翌朝は、土鍋で炊いた福井県産コシヒカリなど、地元の食材をふんだんに使い、「調身」「調息」「調心」をテーマにした健康的な朝食をお楽しみに。
歓宿縁 ESHIKOTO
住所/福井県吉田郡永平寺町下浄法寺10-15-1
tel. 0776-50-1323
柳川藩主⽴花邸 御花/福岡・柳川

2025年1月11日にリニューアルオープンした料亭旅館「柳川藩主⽴花邸 御花(おはな)」は、“泊まれる文化財”として覚えておきたいスポット。かつて筑後の柳川藩主だった⽴花家の屋敷を今もその末裔が守り続けている、400年の歴史と⽂化を受け継ぐ宿で、現存する日本の国の文化財である「国指定名勝」の中に唯一宿泊が可能な、稀有な存在だ。
7000坪の敷地すべてが「立花氏庭園」として国の名勝に指定されており、福岡を代表する観光名所のひとつとして知られ、見学のほか、料亭のみの利用やウエディング利用もできる。

客室や共用部には、屋敷とともに時代を経てきた石材や大切に保管・使用されてきた調度品、伝統⼯芸や地場産業のプロダクトなどが巧みに取り入れられており、モダンななかにも確かな歴史の息づかいを感じさせる。
客室は全8タイプ20。泊まるならぜひ、⽇本庭園「松濤園」と文化財建築のビューを楽しめる部屋を選びたいところ。風光明媚な庭を眺めながら広縁でゆったり過ごせば、癒やされること間違いなしだ。

料亭旅館と名乗るだけあって、もちろん料理もここでは外せない要素。立花伯爵一家が明治時代に過ごした居室を当時のまま再利用している料亭「集景亭」で、地元の旬の食材を使った会席料理を優雅な気分で味わいたい。柳川名物、うなぎのせいろ蒸しも人気の品だ。
スタッフが館内を案内してくれるガイドツアーが毎夕行われるので、そちらも参加しておこう。また2025年2月8日(土)~2月25日(火)には、『FRITZ HANSEN EXHIBITION in 御花』も開催される。
柳川藩主⽴花邸 御花
住所/福岡県柳川市新外町1
tel. 0120-336-092
VILLA COMMUNICO/奈良・奈良公園

2019年から4年連続でゴ・エ・ミヨにて2トック、2022&2023年にミシュラン奈良特別版にて1ツ星を獲得した奈良のリストランテ「communico」。そのオーナーシェフ堀田大樹によるガストロノミー・オーベルジュ「VILLA COMMUNICO(ヴィラ コムニコ)」が、奈良の古民家と土地の食文化の魅力を発信する「narrative gastronomyプロジェクト」の一環として、2024年9月に開業している。
2018年より営業していた東生駒から場所を変えて今回選んだのは、若草山のふもと、奈良公園内の一角。大正時代から続くお土産物屋だった歴史的な建物をリノベートし、ヴィラという新たなスタイルでゲストを温かく出迎える。

自然を構成する火・水・土・風・木の5要素をコンセプトとした全5室の客室は、ベージュやブラウン、オフホワイトといったニュートラルカラーでまとめられ、くつろぎのステイを約束。内装のほかファブリックやアメニティも堀田シェフ本人がプロデュースしており、こだわりと美意識が感じられる。
窓から見える、奈良公園や若草山の美しい緑にも癒やされてみて。

そして何よりステイに欠かせないのが、オープンキッチンが主役になったレストランでの食事。若草山の山焼きに着想を得たオーダーメイドの薪台で、得意とする薪火料理を手際よく仕上げていく様子は、見ているだけでも楽しいもの。
奈良の食材に発酵や熟成の技法を組み合わせた、力強くも繊細なイタリアンのコース料理を五感で堪能すれば、忘れられない食体験として心に刻まれるはず。
VILLA COMMUNICO
住所/奈良県奈良市雑司町486-5
tel. 050-3176-1787
Hotel宇多野京都別墅/京都・右京区

平安期、宇多天皇が後年を過ごしたとされる京都市右京区・宇多野には、「Hotel宇多野京都別墅(うたのきょうとべっしょ)」が2024年11月にオープンを果たした。
市の「上質宿泊施設誘致制度」を活用し、1939年に建てられた歴史的建造物「旧鳴滝寮」をホテルとして再生したもので、書院造や数寄屋建築が特徴の本館、アールデコ風の意匠を取り入れた洋館、和モダンな新客室など、8タイプ10室の客室がラインナップ。作庭家の重森三玲が設計・管理した庭を再現した、約1000坪の風流な日本庭園も見ものだ。

なかでも本館と離れにある部屋は、青石造りの和風呂や縁側があり、広々として情緒もたっぷり。レトロな往年の建築の面影を残しつつ快適性や機能性もきちんとカバーしているため、心地よい滞在ができる。
客室はもれなく温泉風呂付きで、グループホテル「清水小路 坂のホテル京都」の敷地に湧き出る自家源泉を引きこんでおり、好きなだけ湯浴みを堪能できるのもありがたいところ。