「バレンシアガ」の新クリエイティブ ディレクターにピエールパオロ・ピッチョーリが就任

「バレンシアガ」が新クリエイティブ・ディレクターにピエールパオロ・ピッチョーリを迎えた。ピッチョーリは、「グッチ」の指揮を執るために2025年3月にメゾンを離れたデムナの後任として、7月10日付で「バレンシアガ」に参画する。ピッチョーリによるファーストコレクションは10月のパリ・ファッションウィーク（2026年春夏シーズン）にて披露される予定だ。

公式レターの中で、ピッチョーリは「バレンシアガ」のレガシーについて次のように自身の考えをつづっている。

「クリストバル・バレンシアガによるアーカイブは、ファッション界で最も影響力のある遺産です。創造性という文化を文字通り創出し、彼のキャリアのあらゆる側面でクチュールの概念を吹き込みました。クリストバルは誰よりも先に全てを成し遂げた人物です。彼はクリエーションを通じて、進化と革新の力を証明してきたのです。私は今、この無限の可能性を秘めた素晴らしいブランドのバトンを受け継ぐことになりました」

2019年ゴールデングローブ賞でのレディー・ガガ。ピエールパオロ・ピッチョーリが手掛けた「ヴァレンティノ」のドレスをまとって。Lady Gaga at the 2019 Golden Globes in Valentino by Pierpaolo Piccioli

ピッチョーリは、マリア・グラツィア・キウリと共に8年間、「ヴァレンティノ」の共同クリエイティブ・ディレクターを務め、2016年にキウリが「ディオール」へ移籍した後は単独でメゾンのクリエーションを先導した。ボリュームと色彩を実験的に組み合わせた美しいクチュール作品で名をはせたピッチョーリは、レディー・ガガからフローレンス・ピューといった多くの著名人をレッドカーペットで着飾るなど、「ヴァレンティノ」を再びモード界の最前線に押し上げた。大きな功績を残したのち、ピッチョーリは2024年3月にメゾンを後にしている。

「ヴァレンティノ」のドレスを着用したフローレンス・ピュー。2022年ロンドン映画祭にて。

「バレンシアガ」を擁するケリングの副CEO、フランチェスカ・ベレッティーニは、ピッチョーリの実力を高く評価している。「彼は今日最も才能にあふれ称賛されるデザイナーのひとりです。オートクチュールに対する精緻（せいち）な技術、創造的なビジョン、そしてサヴォアフェール（匠の技）への情熱は、『バレンシアガ』にとって理想的な選出と言えるでしょう」

前任のデムナの時代には、ストリートの要素を取り入れてインターネットミームを生み出すなど、常に話題を集めていた「バレンシアガ」。ピッチョーリの就任は、メゾンの大きな転換期となるだろう。

ピッチョーリも、自身がメゾンに加わることでメゾンが大きく刷新されると考え、就任の意気込みを力強く語っている。「まず第一に、デムナに感謝しなければなりません。私はデムナの才能とビジョンを常に称賛してきました。彼の後任を務めることは、私にとってこれ以上ない名誉です。メゾンの新たな姿を形作り、新章を書き加えるチャンスを与えられました。これは私によるバレンシアガの章なのです」