「ティファニー ハードウェア」　名品ピアスが与えてくれる自信

“ティファニー ハードウェア ミディアムリンク”ピアス（K18YG）￥484,000／ティファニー

ウィッシュリストはお買い物を計画的に進める脳内メモであり、「なりたい自分」「かなえたい願い」といった潜在的な希望の現れ。本連載では、「欲しいものはだいたい買いがち」なpepperさんが、自身のウィッシュリストで順番待ちをしている名品を、その魅力とともに紹介する。

Photo：AKEMI KUROSAKA

初めて「ティファニー」のブティックに足を踏み入れたのは、高校2年生の時だった。クリスマスに父親からもらった5000円札と自分のおこづかいを握りしめて、私は新宿のデパートへ向かった。購入したのはエルサ・ペレッティの小さなクロスのシルバーペンダント。ぷっくりとした愛らしいモチーフと白く輝くシルバーチェーンが自分の首で揺れている様子を鏡で見るたびに、なんとも言えない高揚感に包まれたことを覚えている。

社会人になってからも、会社のエレベーターでボタンを押した人の“メトロ”リングに目を奪われたり、先輩の薬指で光るエンゲージメント リングにうっとりしたり、「ティファニー」はずっと憧れの存在だった。数年間欲しいと思い続けていた“エルサ・ペレッティ™ ダイヤモンド バイ ザ ヤード™”のペンダントは、ドラマで女優さんが着けているのを見た翌日に買いに走った。働いて手に入れたお金で欲しいものを買えるってなんて素晴らしいんだろう。ティファニー ブルーのショッパーを手に日曜日の歩行者天国の真ん中を歩きながら、しみじみと喜びをかみしめた。

思い出のクロスペンダントと、昨年セカンドハンドで購入したビーン。普段は直線的なデザインが好きだけど、エルサ・ペレッティの曲線に惹かれる。※共に本人私物

10代は清楚（せいそ）なかわいらしさ、20代は等身大のラグジュアリー、30代は洗練されたエレガンス……「ティファニー」にはその年代ごとのなりたい自分を叶えてくれるジュエリーがあり、手を伸ばせば届く夢の世界だった。そして40代半ばのいま、最も心惹かれるのはティファニー ハードウェアコレクションだ。

発売当時、これまで「ティファニー」に抱いていたイメージとは異なる大胆でパワフルなデザインに衝撃を受けたのを覚えている。最初はとまどったものの、しだいにハードウェアの体現する自由でエネルギッシュな世界に惹かれるようになり、シルバーのブレスレットを購入した。

休日カジュアルのお供、「ニューエラ」のキャップはクラシックなグリーンが気に入って。ハードウェアはカジュアルを上品に、フォーマルをモードに見せてくれる。※本人私物

直線と曲線を融合させたグラフィカルなデザインは、静と動、クラシックとモダン、自由と秩序などいくつもの相反する要素を内包していると感じる。ストレスフリーな着用感や留め具が目立たない構造など、「ティファニー」のクラフトマンシップとユーザー目線のものづくりには頭が下がる。下がった状態で手元のブレスレットを眺めていると、ある考えが頭に浮かんだ。「ハードウェアのアイテム、もうひとつくらい欲しいな」

こんなに好きなハードウェアに課金したい。ブレスレットは持っているし、リングは飽和状態で、ネックレスはほとんどしない。となると残るはピアスだ。ピアスは人の印象を左右するアイテムだから、これまで無口でオーセンティックなデザインのものを着けることが多かった。だけどそろそろハードウェアのような唯一無二の存在感を顔の横に掲げても、臆せずに堂々としていられるんじゃないだろうか。重ねた年齢の分だけ自分らしさもわかってきたはずだから。

ハードウェアのピアスをかっこよく着けるなら、顔と髪にツヤが欲しい。愛用しているオイルは、どちらもベタつかずにほのかなツヤが出る。※本人私物

ハードウェアのピアスを揺らして都会のビルの間を大股で歩く自分を思い浮かべてみる。脳内の自分はだいぶ美化されていて手足も長いけれど、マンハッタンver.だからよしとする。ピアスが耳元でチリンと鳴るたびに、ハードウェアの着想源となったマンハッタンの街のエネルギーを感じて強くなれる気がする。アメリカにも行ったことがない陸（おか）ニューヨーカーだけど、想像の中の私はハードウェアと共にさっそうと歩いている。

“ティファニー ハードウェア ミディアム リンク” ピアス（K18YG）￥484,000／ティファニー

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