【黒ジュエリー】が大人の輪郭を引き締める。「ブシュロン」“ヴァンドーム リズレ ”リング

ダイヤモンドを縁取るブラックラッカーのラインが、アールデコ調のデザインを引き立てる。“ヴァンドーム リズレ ソリテール リング”￥1,227,600（予定価格）／ブシュロン

ウィッシュリストはお買い物を計画的に進める脳内メモであり、「なりたい自分」「かなえたい願い」といった潜在的な希望の現れ。本連載では、「欲しいものはだいたい買いがち」なpepperさんが、自身のウィッシュリストで順番待ちをしている名品を、その魅力とともに紹介する。

Photo：AKEMI KUROSAKA

黒と上手に付き合いたい。「ブシュロン」“ヴァンドーム リズレ ソリテール リング”

「花の色は 移りにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに」

これは百人一首で有名な小野小町の歌。長雨のせいですっかり色あせてしまった桜の花に、衰えてしまった自分の容姿を重ねている。世界三大美女に名を連ねる小野小町に共感するなんておこがましいが、いいね！を連打したくなるのは私だけだろうか。

買ってきた花を部屋に飾る。毎朝水を換えるたびに鮮やかだった花びらがみずみずしさを失い、少しずつぼんやりした色になっていくのを見ると、人間も同じだと思う。年を重ねるごとに唇や頰の赤さは薄く、目や歯の白さは暗く、毛髪の黒さはつやをなくして、まるで水墨画のように背景に溶けこんでいく。そんな外見の変化と反比例して、内面の濃さや深みを増していくのが人間の成熟というものだとわかってはいるけれど、鏡をのぞくたびに少しだけがっかりするのもまた事実だ。

このまま徐々に色あせていくわが身世をながめているだけでいいのか。そんなことを考えていたら、あることを思い出した。

いまから10年以上前、長男の1歳半検診のため区の保健所へ行った時のことだ。1歳半の子どもとその親が集まり、自分の順番が来るのをじっと待っていた。好奇心旺盛な息子は保健所の中を端から端へと走り回り、階段を上っては下り、私はその後ろから汗だくで追いかけ続けた。「みんなおとなしくおもちゃで遊んだり絵本を読んだりしてるのに、どうしてうちの子だけ……」とだんだんネガティブな気持ちになってきた時、保健所の女性が「歩けるようになっていろんなことに興味津々なのね」と声をかけてくれた。

「メゾンを代表する4つのコードをリングにしてしまうなんて、と衝撃を受けた『ブシュロン』の“キャトル”。手に入れてから10年以上経っても緊張してしまう圧倒的な存在感」※本人私物

その言葉でさっきまでの疲弊した心がすっと軽くなるのを感じた。日中子どもとふたりきりの生活は、ときに孤独と不安に陥ってしまう。そんな時、人生の少し先を行く女性たちの優しく思いやりのある言葉に何度救われただろう。その職員の方は、きちんと整えられたグレーのショートヘアに黒縁のメガネをかけていた。

少しドライな質感のヘアと清潔感のある肌に黒くつややかなメガネが際立っていて、思わず見ほれてしまうほどかっこよかった。若者が同じメガネをかけていても、なんとも思わなかったかもしれない。それぐらい、カラーレスな大人の肌と黒縁メガネの対比は、強烈で凛とした美しさを放っていた。

「黒いアイテムを加えるとコーディネートが引き締まる。『ハム（hum）』のシグネットリングと『サークル オブ ホープ（Circle of Hope）』のブレスレットは私の定番」※本人私物

そうだ、ぼんやりしてきたら自分で黒い輪郭を描けばいい。その手段はメガネでも服でもメイクでもいいはずだ。

もしジュエリーで叶えるなら「ブシュロン」の“ヴァンドーム リズレ”がいい。パリのヴァンドーム広場に着想を得た八角形のフォルムを、エメラルドカットのセンターストーンと、ラウンドカットのダイヤモンドでぜいたくに表現した“ヴァンドーム リズレ”は、ダイヤモンドを縁取るブラックラッカーのラインがモダンで洗練されたスパイスになっている。初めて見た時、ダイヤモンドジュエリーの常識を破るブラックラインに、「ブシュロン」らしい革新性と創造性を感じてワクワクしたことを覚えている。

「モテなくても結構。黒ボーダーは顔をハッキリ見せてくれるので、１枚は持っていたい」※本人私物

色あせてしまったならば描けばいい　黒いラインで際立つ輪郭　

残念ながら短歌にたしなみはないので、でたらめな自由律で小野小町に返歌してみる。色あせないジュエリーの力を借りて、人生の後半戦を味わいつくしたい。

“ヴァンドーム リズレ ソリテール リング”￥1,227,600（予定価格）／ブシュロン

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