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ナオミ、ジジ、ヘイリーまで!スーパーモデルの最強ウォーキング解剖学

みんな違ってみんな素敵! 第一線で輝き続けるレジェンドから2世セレブまで、それぞれのウォーキングを特徴とともにプロが解説。

By and Panashe Nyadundu
ナオミ ヘイリー ジゼル スーパーモデル ウォーキング スタイル
Getty Images

ファッション界で最も成功を収めたスーパーモデルたちは、それぞれに卓越したウォーキングで知られている。

彼女たちは、肉食獣を彷彿させるような勇ましい歩き方から、ゆったりとヒップをスイングさせる歩き方まで、それぞれ独自のウォーキングを確立し、世界的な知名度と、キャットウォークにおける名声を獲得している。

ここでは、モデル事務所エリート・モデル・マネジメントのロンドン支社でエグゼクティブ・ニューフェイス・エージェントを務めていたアンナ・マスターズ氏と、同社のスカウト責任者のジョエル・ボウ氏が、スーパーモデルたちのウォーキングを分析。

Translation: Masayo Fukaya From ELLE UK

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ナオミ・キャンベル:大胆不敵

balmain homme runway paris fashion week menswear fallwinter 2024 2025
Stephane Cardinale - Corbis//Getty Images

ナオミ・キャンベルは、唯一無二の存在感を放つスーパーモデル。1986年にUK版『エル』でキャリアをスタートさせて以来、ファッション界で不動の地位を確立している。

これまで500以上の雑誌の表紙を飾り、「プラダ」や「シャネル」、「ディオール」「ヴァレンティノ」など、あらゆるブランドのショーで活躍してきた。

ビヨンセがジェイ・Zとコラボした楽曲『クレイジー・イン・ラブ』のミュージックビデオで見せた自信に満ちた歩き方は、洗練さと自由奔放な雰囲気を完璧なレベルで融合させたナオミのウォーキングからインスピレーションを得たと言われている。

マスターズ氏はこの例を挙げつつ、「ナオミのウォーキングについて、まだ語られていないことなどあるのでしょうか」と冗談めかして話している。

写真:「バルマン」2024-25年秋冬メンズコレクション

torisheju runway paris fashion week womenswear springsummer 2024
Antoine Flament//Getty Images

今もなおファッション界の第一線で活躍し、新世代デザイナーたちからのオファーも絶えず、最近では「オフ-ホワイト」や「トリシジュ」などのランウェイに登場している。

マスターズ氏は、「今や彼女は自分がランウェイを支配していることを自覚しており、昔ながらの特別なスキルや予想外の演出、スピンや挑発的な態度などでそれを証明する必要はありません。彼女はすでに自身の地位を確立しているため、ウォーキングはただ『どうぞご覧ください』と応じるだけでいいのです」と付け加えている。

写真:「トリシジュ」2024年春夏コレクション

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2

カーリー・クロス:しなやかな肉食獣

schiaparelli couture spring 2024 runway
WWD//Getty Images

“パンサー(ヒョウ)”や“プレデター(肉食獣)”とも称されるカーリーの歩き方は、自信と威厳を感じさせることで知られている。

出身のミズーリ州セントルイスで開催されたチャリティファッションショーでスカウトされたことをきっかけに、ランウェイモデルへの道を切り拓いたカーリー。本格的に活動をスタートさせた「カルバン・クライン」からスターダムにのしあがり、世界的なトップスターへと成長を遂げた。ファッションウィークデビューとなった2008年には、合計で64のショーに出演している。

写真:「スキャパレリ」2024年春夏コレクション

off white runway paris fashion week womenswear fallwinter 20192020
Peter White//Getty Images

また、彼女は他の事業でも注目を浴びている。若い女性にSTEM教育の機会を提供するNPO団体「コード・ウィズ・クロッシー(Kode With Klossy)」の運営や、リアリティ番組『プロジェクト・ランウェイ』の司会者など、あらゆる方面でのチャレンジを続けているのだ。

身長188センチメートルのカーリーは、ヒールを履いた状態で大きく腕を動かし、腰を使って気取った歩き方をすることで、人々の視線を釘付けにする。ボウ氏は彼女のウォーキングについて、「カーリーはヒョウのようにランウェイを闊歩しますが、それ以上にアイコニックなのは、彼女の力強い視線と体をくねらせる動きです」と説明する。

写真:「オフ-ホワイト」2019-20年秋冬コレクション

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3

ジジ・ハディッド:威厳と官能

miu miu runway springsummer 2024 paris fashion week
Victor Virgile//Getty Images

ジジはモデルデビュー当初、カリフォルニアの「ガール・ネクスト・ドア(隣に住んでいそうな女の子)」として知られていたが、現在はファッション界の重鎮的存在として君臨している。なお最近では、“テイラー軍団”の一員として、テイラー・スウィフトとともに夜のお出かけを楽しんだり、新恋人のブラッドリー・クーパーとデートをしたり、プライベートの生活も話題になっている。

2014年に「デシグアル」のショーでランウェイデビューを果たし、それ以来、数えきれないほどのショーに出演してきたジジ。2021年には、当時交際していた恋人のゼイン・マリクとの子どもを妊娠中に、「ジャックムス」のランウェイを歩き、2024年の「ミュウミュウ」のショーでは、ボーイッシュでカジュアルなルックで会場を圧倒した。

写真:「ミュウミュウ」2024年春夏コレクション

tommy hilfiger show, runway, spring summer 2018, milan fashion week, italy 25 feb 2018
WWD//Getty Images

2024年現在、29歳のジジのウォーキングは、わずかに前に傾いた肩とソフトな動きが特徴的で、ランウェイでもその存在感を確立している。

「ジジの持ち味は、なんといっても官能的な視線です」「彼女の歩き方は驚くほどリラックスしていて、こわばった首により少し前に傾いています。ヘザー・マークスのようなベテランモデルたちを彷彿させるウォーキングです」とボウ氏。

「ジジはカリフォルニアの夕日をまとったような、ブロンズ色の肌と、ビーチにぴったりのヘアが魅力的です。彼女のベストモーメントは、『トミー ヒルフィガー』とのコラボレーションで見ることができます。彼女自身も、この瞬間こそが自分の真骨頂だと認識しているでしょう」

写真:「トミー ヒルフィガー」2018年春夏コレクション

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ココ・ロシャ:シャープなアングル

lgn louis gabriel nouchi runway paris fashion week menswear fallwinter 2024 2025
Justin Shin//Getty Images

類まれなる骨格を持つココは、一歩歩くたびにうっすら頭を動かす、まるで演劇のようなウォーキングで観客を魅了する。

長年ファッション界で引っ張りだこの彼女は、2018年に当時2歳だった娘のアイオニと「ジャンポール・ゴルチエ」のショーに出演し、会場に華を添えた。2021年には「クリスチャン シリアーノ」のランウェイで復帰し、人々を魅了し続けている。

現在は、自身の名を冠したモデルキャンプを設立し、これまで以上に多忙を極めている。なお、ケンダル&カイリー・ジェンナーといった後輩モデルたちを個人的に指導しているなかで、2018年にキャンプ設立の案が浮かんだそう。

写真:「LGN」2024-25年秋冬コレクション

fashion show runway
WWD//Getty Images

マスターズ氏の分析によると、「ココは、ランウェイで純粋にファッションドールの様相を呈しています。彼女の角張ったウォーキングには、少しだけ挑発的な雰囲気もあります」とのこと。また、「ランウェイでダンスすることはなくても、彼女の引き締まったふくらはぎを見れば、クラシックダンスのトレーニングを受けてきたことがわかるでしょう」と補足する。

「ココは、モデルたちがみなキャットウォークの先端で立ち止まってポーズを決めていた時代のモデルです。最近ではこの形式はあまり見られなくなりましたが、ポージングをするときの彼女は、見事なオーラを放っています」

写真:「ル・デフィレ・ロレアル・パリ」ランウェイショー、2023年10月

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ジョーダン・ダン:落ち着きと抑制

richard quinn runway lfw september 2023
Mike Marsland//Getty Images

同世代のモデルたちとは違い、ジョーダンのウォーキングはヒップや脚の動きをミニマムに留めているのが特徴。脚をしっかりと閉じたまま、ウエストの動きを最小限に抑えているが、このスタイルはナオミやカーリーよりもはるかに控えめ。

最近では、2023年9月に行われたロンドン・ファッションウィークで「リチャード クイン」のランウェイに登場し、まさに“抑制”のお手本のようなウォーキングを披露した。

写真:「リチャード クイン」2024年春夏コレクション

prada mfw womenswear springsummer 2009
Chris Moore/Catwalking//Getty Images

ボウ氏はこのウォーキングについて、次のように説明する。「彼女のウォーキングは、南ロンドン出身らしい大胆なアティテュードとは裏腹に、優雅で落ち着きがあり、繊細で颯爽としたものです」

「注目すべきは、2008年9月の『プラダ』のランウェイで、シワ加工が施されたアイコニックなゴールドのセットアップを着用したときのこと。他のモデルがストッキングにストラップサンダルという難しい組み合わせによって次々と転倒するなか、彼女は転倒しなかったのです」

写真:「プラダ」2009年春夏コレクション

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ヘイリー・ビーバー:スピードスター

off white runway paris fashion week womenswear fallwinter 20182019
Francois G. Durand//Getty Images

ヘイリーは、2016年の「トミー ヒルフィガー」と「ラルフ ローレン」のコレクションに登場して脚光を浴び、その後「ドルチェ&ガッバーナ」や「ヴェルサーチェ」、「エリー サーブ」といった名だたるメゾンのランウェイの常連となった。

彼女のウォーキングは、ジジよりも少し大股でテンポがいいそう。マスターズ氏は、「歩幅の広さと速さが特徴です」と語っている。

写真:「オフ-ホワイト」2018-19年秋冬コレクション

versace fall 2019 runway
JP Yim//Getty Images

2018年にキャスティングディレクターから言われた言葉で、「自信が揺らぐ経験」をした彼女は、ランウェイモデルを引退。しかし、スーパーモデルのウォーキングを分析するうえで、ヘイリーなしには語れない。

新世代モデルとしての彼女のスター性は、若いファッションラバーを引き寄せる新たな潮流を生んだ。だが、写真の「ヴェルサーチェ」のコレクションを最後にショーには出演しておらず、彼女がキャットウォークに戻ってくることを願うばかりだ。

写真:「ヴェルサーチェ」2019年プレフォールコレクション

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ジゼル・ブンチェン:バウンスの女王

chanel runway paris fashion week womenswear springsummer 2015
Antonio de Moraes Barros Filho//Getty Images

「シャネル」や「セリーヌ」のランウェイで、ジゼルはいつもエフォートレスにヘアをなびかせ、普通の人なら倒れてしまいそうなほど脚をクロスさせて歩くテクニックを披露している。

ボウ氏は、「ジゼルはただ歩くのではなく、ランウェイをくねり歩きます」「ヘアが風になびくように弾んで(バウンスして)見えるのは、この歩き方によるものです。また、最後に向きを変えるときに腕を大きく振るのも特徴で、まるで『私は身長180センチメートルの美しい手足を持つブラジルの女神ですが、何か?』と言っているかのようです」と解説。

写真:「シャネル」2015年春夏コレクション

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Mauricio Santana//Getty Images

2015年にサンパウロで行われたファッションウィークで、ブラジルのファッションブランド「コルチ」のキャットウォークを最後に、一線を退いたジゼル。けれども、ランウェイのレジェンドともいえる彼女の姿は、今でも私たちの心をつかんで離さない。

ランウェイから引退して以降は、料理の才能を開花させ、体と心を満たす簡単な食事づくりを解説した著書『Nourish』を出版している。

ボウ氏が「見て学びましょう」と話すとおり、これからも数多くのモデルたちが彼女を見て、学び続けるだろう。

写真:「コルチ」2016年春夏コレクション

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モナ・トゥガード:エレガントなバレリーナ

prada show, runway, fall winter 2019, milan fashion week, italy 21 feb 2019
WWD//Getty Images

「プラダ」の2019年秋冬コレクションでランウェイデビューを果たしたモナは、キャットウォークを軽々と滑るように歩くウォーキングが評価され、あらゆる著名デザイナーのショーに出演するようになった。今では、ファッション界でおなじみの人気モデルのひとりとなっている。

写真:「プラダ」2019-20年秋冬コレクション

chanel runway paris fashion week womenswear springsummer 2024
Kristy Sparow//Getty Images

「あらゆる著名デザイナーのショーに出演していることからもわかるように、彼女の特徴はどんなデザイナーのビジョンも体現できる能力です」「彼女のウォーキングは、クールで、エフォートレスで、頑張りすぎていません。キャットウォークを歩くときの繊細でエレガントな動きは、彼女の素晴らしい美しさを引き立てています」とボウ氏は語る。

モナが自身のインスタグラムに投稿した、「アライア」のショーでのワンシーンを見れば、そのウォーキングの美しさを実感できること間違いなし。

写真:「シャネル」2024年春夏コレクション

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美佳(ミカ・シュナイダー):ロイヤル顔負けの風格

fendi couture runway springsummer 2023 paris haute couture week
Victor Virgile//Getty Images

マスターズ氏によると、美佳は「美しく繊細な容貌と優雅な存在感で、キャットウォークを滑らかに歩きます」とのこと。

また、「彼女はラグジュアリーな歩き方が特徴で、一流ブランドからのオファーが絶えません」と補足。写真の「フェンディ」のショーでも、そのウォーキングの美しさは一目瞭然。

写真:「フェンディ」2023年春夏コレクション

vuitton runway fallwinter 2024 2025 paris fashion week
Victor Virgile//Getty Images

最近では、「ルイ・ヴィトン」や「トーテム」、「スキャパレリ」、「ディオール」、「アライア」などのショーに登場し、ますます活躍の場を広げている。

写真:「ルイ・ヴィトン」2024-25年秋冬コレクション

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クリニ・エルナンデス:にじみ出る自信

balmain runway springsummer 2024 paris fashion week
Victor Virgile//Getty Images

「クールでモダンな美しさを持つクリニは、少しだけ弾むような歩き方で、落ち着きのある、自信に満ちた雰囲気を醸し出しています」とボウ氏。

わずか19歳でスポットライトを浴びた彼女は一躍有名になり、「プラダ」や「ミュウミュウ」、「ディオール」などの一流ブランドのランウェイを歩いている。

写真:「バルマン」2024年春夏コレクション

wooyoungmi runway paris fashion week menswear fallwinter 2024 2025
Justin Shin//Getty Images

最近では、「ウーヨンミ」の2024年秋冬のショーで、アンドロジナスなウォーキングを披露して強い印象を残した。

写真:「ウーヨンミ」2024-25年秋冬コレクション

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