トレンドは減速傾向に、ファッションはよりパーソナルで自由を求めるムードが高まり続ける昨今。活発化するデザイナーシャッフル、他業界とのタッグ、ブランド同士のコラボレーションなど、ニュースもめまぐるしい。「ファッション」がさらに多言語になった2025春夏シーズン、知っておきたいキーワードから業界の流れ、気になるマイクロトレンドまで一挙に総ざらい。


1.デコラティブ時代到来

fashion editorial featuring diverse models in bold avantgarde outfits alongside a headline
(左から)シャネル、JW アンダーソン、グッチ、ルイ・ヴィトン、サンローラン

ここ数シーズン、トレンドをにぎわせていたワードと言えば「クワイエットラグジュアリー」。その反動とも取れるかのように、2025春夏はカラフルで華やかなムードが加速している。そのイメージを決定づけるのが、ビジューやフリル、フリンジなどの装飾技、そして'70s的スタイルの台頭。クワイエットラグジュアリー時代の名残を感じるモノトーンルックも、ドラマチックに進化した。一見、オフィスコーデにぴったりのシンプルなスタイリングは、色使いやシルエットで遊ぶなど各ブランドの大胆な発想によって、エネルギッシュなコレクションとなった。

2.パステルにときめいて

collection of fashion designs themed around pastel colors
(左から)シモーネ ロシャ、プラダ、キムヘキム、クロエ、ステラ マッカートニー

春夏シーズンにぴったりの、軽やかでポジティブなムードを印象づけたのがパステルカラーのルック。ブルーにグリーン、イエロー、ピンクと色のバリエーションも豊富で、各ブランドが自分たちらしい“カラー”を打ち出した。圧倒的に多かったスタイルは、柔らかい素材使いとワントーンコーディネート。パステルの王道イメージであるロマンチシズムを最大限に引き出しつつ、女性像はナチュラル志向なところに、現代ならではの感性が光る。

主役級から小物まで、パステルを自在に取り入れて

spring fashion

光沢とギャザーで華やかに。スカート¥75,900/ヌメロ ヴェントゥーノ(イザ

light blue blouse with a tie neck and long sleeves featuring a subtle pattern

ペイズリー柄を全面に描いて。ブラウス¥245,300/エトロ(エトロ ジャパン

a light blue lace slip dress with adjustable straps

リボンやレースが愛らしい。ドレス¥66,000/コーチ(コーチ・カスタマーサービス・ジャパン

a mint green athletic sneaker designed for performance

アスレジャースニーカーを再解釈。スニーカー¥18,700(2月発売予定)/ラコステ(ラコステお客様センター

mint green jacket with various features for functionality

金ボタンがレトロ。ジャケット¥225,500/ニナ リッチ(イザ

soft pink ruffled top with thin straps and a bow detail

繊細なシルクを使用。トップス¥167,200/クロエ(クロエ カスタマーリレーションズ

trousers in a light yellow color with a tailored design

タックで縦ラインを強調。パンツ¥125,400/プラン シー(ブルーベル・ジャパン

yellow floralpatterned dress with short sleeves and a ruffled neckline

アクセ要らずの装飾美。ドレス¥97,900/エムエスジーエム(アオイ

cropped light green cardigan with buttons

シアー感のあるモヘアニット。カーディガン¥41,800/オーラリー

spring fashion

ユニークな形が目を引く。バッグ¥50,600/ディーゼル(ディーゼル ジャパン

sleeveless pink dress with a belt at the waist

ガーリーなボックス型。ドレス¥242,000/パトゥ(イザ

longsleeve pastel pink dress with gathered neckline

ジャージ素材で体にフィット。ドレス¥392,700/ジバンシィ(ジバンシィ ジャパン

buttonup shirt with a stand collar in a light pink color

美しい立体感をキープ。シャツ¥62,700/エンポリオ アルマーニ(ジョルジオ アルマーニ ジャパン

spring fashion

ラフィアを編んで。ミュール(H5㎝)¥156,200/マノロ ブラニク(ブルーベル・ジャパン

3.スポーツと近づくファッション業界

collage representing sports culture with dynamic figures and a race car
(左上)アメリカのサッカー選手、アレックス・モーガン、(左下)フランスのボクシング選手、エステル・モッセリー、(中央)11月末に開催されたラスベガスグランプリを記念して、「タグ・ホイヤー」から最新作モデル“タグ・ホイヤー モナコ クロノグラフ”が発表。眠らない街、ラスベガスにオマージュをささげた。(右)石川祐希(「トッズ」のアンバサダー)

各ブランドによるアンバサダー争奪戦

fashion campaign featuring individuals representing a brand
(左から)アレクサンドル・サー(ヴェルサーチェ)、ジェイソン・テイタム(コーチ)、ヤニック・シナ―(グッチ)

パリオリンピック開催の影響で、最前線で活躍するアスリートをブランドアンバサダーに迎える動きが活発化。新トッズ フレンズに就任したバレーボール選手の石川祐希は、2024年秋冬メンズコレクションのシーズンビジュアルに登場。テニス選手のヤニック・シナーは、「グッチ」のカスタムメイドバッグとともにマイアミ・オープン2024に出場。各ブランドの魅力を伝える代弁者の一人として、スポーツとモードが共に高め合う時代へ。

LVMHとF1が10年間のパートナーシップを締結

signing ceremony for collaboration between f1 and lvmh with a racing event setting
(上)左から ステファノ・ドメニカリ(F1社長兼CEO)、グレッグ・マッフェイ(リバティ・メディア社長兼CEO)、ベルナール・アルノー(LVMH グループ社長兼CEO)、フレデリック・アルノー(LVMH ウォッチ部門CEO)。 (下)マイアミグランプリでは、「ルイ・ヴィトン」のアンバサダーを務めるBLACKPINKのLISAがチェッカーフラッグを振った。

2025年に75周年を迎えるモータースポーツの最高峰、フォーミュラ 1®(F1)と巨大コングロマリット、LVMHが10年間のグローバルパートナーシップの締結を発表。同社が擁する複数のメゾンが参加し、F1の世界を盛り上げる。パートナーシップの詳細は2025年初頭に発表予定。根強い人気と熱狂的ファン、驚異の動員を誇るF1とラグジュアリートップ企業であるLVMH。意外性あるこの組み合わせが、スポーツとファッションの懸け橋としてどう作用していくのか? 動向に要注目。

「ディオール」と共鳴するトップアスリートたち

fashion presentation depicting athletes in distinctive outfits
(上)フランスのスケートボード選手、ルイーズ=アイナ・タブーレ。(下)日本からはフェンシング選手の江村美咲が抜てき。

パリオリンピック開催を記念して、合計17名の女性スポーツ選手をアンバサダーに起用した「ディオール」。常に挑戦し続ける精神と才能にあふれたスポーツウーマンの姿は、女性の力を信じ、鼓舞し、肯定してきたメゾンの姿勢そのもの。4年に1度のスポーツの祭典で奮闘した女性アスリートの活躍をファッションの視点から応援する。

4.インスピレーションはいつだって音楽

artistic display featuring fashion and music themes
(上)「ロエベ」の会場入り口は一面楽譜。(右下)同じく「ロエベ」より。バッハやベートーベンの肖像画をフェザーであしらったルックも登場。(左下)「ヴァレンティノ」のショーインビテーション。中古店で見つけた古い楽譜をイメージしてデザインされたという。

アートや建築、ユースカルチャーにSNSトレンド。さまざまな分野から影響を受け、ときには影響を与え多角的な要素を併せ持つファッションだが、今季は特に、音楽から影響を受けたデザイナーが多いよう。視覚と聴覚、両方から刺激して印象づけた、各ブランドの個性が際立つ取り組みを追う。ファッションと音楽、表現の方法は違えどその結び付きは永遠 !

2025春夏コレクションに見る多彩なアプローチ

fashion showcase highlighting designs from various designers featuring an artist on stage
「シャネル」のショーフィナーレでは、ライリー・キーオが生パフォーマンス。

手法は違えど、音楽を起点にさまざまなブランドが独自のアイデアをコレクションに反映した2025春夏シーズン。ノイズをそぎ落とした先の軽さと人生を彩る音楽に重点を置いた「ロエベ」、鳥かごの中でライリー・キーオが歌唱し、自由への物語を奏でた「シャネル」、ヘッドホンを装着したルックがたびたび登場した「ヴィヴィアン・ウエストウッド」……軽やかなクリエーションの裏でストーリーテラーとして深みを与える音楽の存在が、今季はいつにも増して大きい。

5.注目のコラボレーションを総ざらい

announcement of an upcoming fashion collaboration featuring diverse models in unique outfits
(左から)「ノワール ケイ ニノミヤ×リーボック」、「ケンゾー×ヴェルディ」、「フェンディ×レッドウィング」、「ミュウミュウ×プチバトー」、「バレンシアガ×アンダーアーマー」

今や定番と化してきたブランド同士のコラボレーション。2025年春夏コレクションのランウェイでも、意外性ある新鮮なタッグや、人気コラボの再登場など話題をさらったアイテムが続々。各ブランドの持ち味を生かしたいいとこどりのスペックや限定デザインこそコラボの醍醐味。今シーズンしか手に入らないレアアイテムを、いざハント。

フェンディ×レッドウィング

upcoming collabs photos
Hitoshi Fujimaki / flame
シューズ ¥225,500(参考色)(参考価格、2月発売予定)/フェンディ(フェンディ ジャパン

新鮮なタッグによる新たなキラーシューズ

ショー終了直後から話題沸騰となった「フェンディ」と「レッドウィング」のコラボレーション。「レッドウィング」の定番、“クラシックモック”をベースに「フェンディ」の最高級カーフレザーを用い、オーセンティックなブーツをラグジュアリーに昇華。老舗ならではの履き心地はそのままに、“セレリア”ステッチやオーガンジーの靴下合わせなど、「フェンディ」らしいリュクスなアイデアで新たな表情を見せる。

バレンシアガ×アンダーアーマー

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Hitoshi Fujimaki / flame
バッグ(H60×W50×D10㎝)¥547,800(予定価格)/バレンシアガ×アンダーアーマー(バレンシアガクライアントサービス

フーディがバッグに変形 !

25年スプリングコレクションでお披露目された、「バレンシアガ」と「アンダーアーマー」によるコラボレーション。スポーツウエアのダイナミックさと機能性、「バレンシアガ」のサヴォアフェールとシルエットを融合し、コラボアイテムには両ブランドのロゴを組み合わせたスペシャルなロゴがあしらわれた。

ミュウミュウ×プチバトー

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Hitoshi Fujimaki / flame
ロンパース¥111,100(予定価格、2月発売予定)/ミュウミュウ(ミュウミュウクライアントサービス

ストック買いしたくなるデイリーウエア

ヒラリー・スワンクやウィレム・デフォーらをはじめ、幅広いキャスティングも話題になった「ミュウミュウ」。中でも注目を集めたのは、「プチバトー」とのコラボレーション。ベーシックでクラシックなアイテムを再解釈し、あらゆる年代に向けての自由なワードローブを提案した。春夏シーズン大活躍間違いなしのロンパースは、何枚でも欲しくなる!

ノワール ケイ ニノミヤ×リーボック

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Hitoshi Fujimaki / flame
スニーカー(H7.5㎝、4月発売予定)¥74,800/ノワール ケイ ニノミヤ×リーボック(コム デ ギャルソン

大人気コラボが再び

2024-25年秋冬コレクションに続き、2025年春夏コレクションでも再びコラボレーションを発表。「リーボック」のアイコン“インスタポンプフューリー”にパールをあしらい、ボリュームたっぷりのデザインに仕上げた。発売前から話題を呼んだ前回に続き、今回も即完売してしまう予感。

グラウンズ×シネイド・オドワイヤー

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Hitoshi Fujimaki / flame
ブーツ(H7㎝、4月発売予定)¥71,500/グラウンズ×シネイド・オドワイヤー(グラウンズ

アイコンシューズがグラフィカルに進化

東京ブランド、「ミキオサカベ」が監修する「グラウンズ」とロンドンを拠点とする新鋭デザイナー、シネイド・オドワイヤーによるコラボレーション。ブランドを象徴する球体のアウトソールが特徴のモデル“ムーピー”に、表情豊かなニットのアッパーを装着した“スパイキーブーツ”は、コーディネートの主役になるほどの存在感。

ユェチ・チ×アディダスオリジナルス

sporty green and black dress with a tutu skirt and adidas logo
ドレス 参考商品/ユェチ・チ×アディダスオリジナルス(エムエイティティ

気鋭の中国ブランドと「アディダス」が出合ったら?

2018年にセントラル・セント・マーチンズを卒業、「シャネル」の刺しゅうアトリエで経験を積んだ「ユェチ・チ」。グラフィカルで躍動的なコレクションを展開する今注目の若手が、2025年春夏コレクションで「アディダス」とのコラボアイテムを発表。クチュールライクなピースの数々が、コーディネートに新鮮なパンチを利かせてくれるはず。

ケンゾー×VERDY

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Hitoshi Fujimaki / flame
ジャケット¥275,000/ケンゾー(ケンゾーパリ ジャパン

サブカルチャーを率いるアイコンたちの共演

NIGO®率いる「ケンゾー」が、アーティスト、VERDYとのパートナーシップによるコラボレーションを2025年春夏コレクションで発表。展開するアイテムはすべてユニセックスで着用可。グラフィカルに描かれたアイコニックなウィンキー・ザ・タイガーやビンピー・ザ・エレファントのチャーミングな表情に思わず笑顔を誘われる。

マリーン・セル×レペット

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Hitoshi Fujimaki / flame
シューズ(H3㎝、1月発売予定)¥68,200(参考価格)/マリーン・セル×レペット(エムエイティティ

バレエシューズがエッジィに変化

サステナブルとモードの共存を追求する「マリーン・セル」と、フランスの老舗ダンスブランド、「レペット」が斬新にコラボ! 足になじむレペットならではの履き心地はそのままに、「マリーン・セル」を象徴するムーン柄が全体にあしらわれたモードなバレエシューズが誕生。両ブランドのアイコンが見事に融合した、レアな一足は要マーク。

6.小物はデコって、個性を出す

collection of fashion accessories including bags decorative charms and hair clips

デコレーション合戦が続くバッグに加え、ついにはヘアやシューズまで、ファッショニスタの盛りたい欲は日に日に増すばかり。装飾主義が、新たなアイデンティティの表現方法として定着。

今やチャームが、バッグの存在感を凌駕

bags with charms
Hitoshi Fujimaki / flame
ハート形のミラー付きチャーム¥92,400(予定価格)/バレンシアガ(バレンシアガ クライアントサービス)  レザーの「トリオンフ」チャーム¥34,100(予定価格)/セリーヌ バイ エディ・スリマン(セリーヌ ジャパン)  ビーズチャーム¥26,400/ヴェルサーチェ(ヴェルサーチェ ジャパン)  バッグ(H21.5×W25.5×D4㎝)¥45,100/パペッツ アンド パペッツ(リディア

最近の「カワイイ」カルチャーに欠かせないハートやビーズストラップ。チャームの総数は控えめに、レザーなど上質素材と組み合わせ、程よいギャル味とマチュアの好バランスを目指して。

靴も飾りつけ、足元のおしゃれを盛り上げる

shoes and accessories
Hitoshi Fujimaki / flame
スニーカー¥25,300/コーチ チャーム各¥3,300/以上コーチトピア(共にコーチ・カスタマーサービス・ジャパン

「コーチ」が、リサイクル、再利用、再生可能な素材に焦点を当てた、完全循環型の新ブランドより。70%がリサイクル アクリル プラスチック製のカラフルなモチーフが登場。シューレースに装着すれば、白スニーカーがポップにイメチェン。

ヘアピンのレイヤード着けで顔まわりを華やかに

hair accessories
クロエ

クロエのシグネチャーがさり気なく主張。ピン(2個セット)¥42,900/クロエ(クロエ カスタマーリレーションズ

hair accessories
ルイ・ヴィトン

黒髪やブラウンヘアとも好相性の「モノグラム・キャンバス」。ピン(2個セット)¥72,600/ルイ・ヴィトン(ルイ・ヴィトン クライアントサービス

hair accessories
サンローラン バイ アンソニー・ヴァカレロ

遊び心のあるモチーフが印象的。ピン(2個セット)¥52,800/サンローラン バイ アンソニー・ヴァカレロ(サンローラン クライアントサービス

hair accessories
ジミーチュウ

大粒のクリスタルが輝いて。バレッタ¥42,900/ジミー チュウ

7.サンリオに熱視線!

fashion items featuring sanrio characters including clothing and accessories

世界からサンリオへのラブコールが止まらない。特に、2024年に生誕50周年を迎えたハローキティは、ファッション界でも引っ張りだこ。レアなアイテムが続々と発表されキャラクター神話が確立。

ジー シー ディー エス

selfie with visible fashion elements and a message poster in the background

デュア・リパがリアルに愛用

ハローキティ好きを公言するデュア・リパのインスタで話題を呼んだのが、キティのブラ。イタリアの「ジー シー ディー エス」が、ドレスやシアートップスに合わせたコーデを毎シーズン提案する。最新ルックには、バッドばつ丸の姿も。

エムシーエム

kitty
「Aren トートバッグ」(約H22×W19×D8.5㎝)¥104,500/エムシーエム(エムシーエム ギンザ ハウス アイン) © 2024 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. L653887

クラフツマンシップとポップカルチャーが融合

ドイツ発ブランド、「エムシーエム」がハローキティとの日本限定コレクションを発売中。アイコンバッグを彩るのは、大好きなりんごに囲まれたハローキティと、MCMのグラフィックによる特別デザイン。パウダーピンクの色とも好相性。

ケイト・スペード ニューヨーク

kitty
財布に描かれたピアノは、ブランドカラーの緑。在庫は要問い合わせ/以上ケイト・スペード ニューヨーク(ケイト・スペード カスタマーサービス) © 2024 SANRIO CO., LTD. Used Under License.

タイムレスなかわいさを表現

「ケイト・スペード ニューヨーク」とハローキティによる、鮮やかでハッピーマインドに満ちたアイテムが登場。ウエアから小物まで全22点を、今年11月にリニューアルした銀座旗艦店や、オンライン(2025年1月7日~)で販売する。

アンダーカバー

kitty
マイメロディにスパンコール&ビーズを刺しゅう。※販売終了/アンダーカバー © 2024 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. L654706

メイド・イン・ジャパン同士の化学反応

これまでも、度々サンリオキャラクターとコラボしてきた「アンダーカバー」。最新作はハローキティとパティ&ジミー、そしてマイメロディが主役だ。誕生当時のイラストを採用したレトロな雰囲気が、昨今のリバイバルブームにぴったり。

フェンダー

kitty
ピックにリボンが。Tシャツ¥5,500/フェンダー © 2024 SANRIO CO., LTD. APPROVAL NO. L655265

ギター初心者も興味を抱くこと必至

「フェンダー」とハローキティという、世界的に愛される楽器メーカーとアイコンのコラボが実現。ギターはもちろん、ケーブルやピックなどの関連アイテム、アパレルも展開する。キュートなビジュアルから目が離せない。

8.フェミニティの行方

fashion showcase featuring diverse styles of womens clothing
(左から)ボッテガ・ヴェネタ、シャネル、ステラ マッカートニー、アクネ ストゥディオズ、サンローラン

メンズ並みにキメたテーラードスーツがランウェイで異彩を放ち、パワフルでかっこいい女性像が、明確に打ち出された今季。強さはキーワードのひとつであり、エレガント、だけど戦士のようにタフで挑発的な要素を携えたスタイルが目立った。その一方で、レースやチュールを惜しみなく使った、ロマンチックなドレスも数多く登場。両極のムードが共存することはフェミニニティの多様化を意味し、ファッションにおける表現も自由度が増している。ロングとショート丈をミックスしたボトムスも、二面性を主張する斬新なアイテム。

9.目覚める少女の心

fashion showcase featuring multiple models in diverse girly outfits
(左から)キムヘキム、ミュウミュウ、ニナ リッチ、ヴァレンティノ、ジャンバティスタ・ヴァリ

ボディラインを拾わないチュニックドレスや、ホワイトコットンの無垢なワンピースを見ると、まるで子供時代にタイムスリップしたかのよう。いくつになってもかわいいと感じるモチーフの象徴、リボンやフラワープリントも人気で、その多くはわかりやすく、大胆にあしらわれたデザイン。そうしたストレートなアプローチも含めて、ピュアで偽りのない少女的な愛らしさに通ずるものがある。スタイリングポイントとして、アクセサリーは控えめで、全体的に捻りすぎず、単純明快。足元はソックス×フラットシューズの王道系から、マチュアな要素をプラスするスティレットヒールまで幅広い。

10.ポジティブな色気を放って

a fashion collage showcasing various outfits represented by models
(左から)ラバンヌ、エルメス、オニツカタイガー、バレンシアガ、コペルニ、ミュウミュウ

ブラトップにレース、ブルマなど、ランジェリーライクなムーブメントに直結するアイテムが豊富だった今季。さらにシアー素材は、テイストに関わらずデザインのアクセントとして多用され、トレンドの域を超えて定番となりつつある。決して「艶っぽさ」だけでなく、ヘルシーで知的なアティチュードも共存するスタイルが、ファッション界におけるセンシュアルの最適解。

11.ファッションの粋を超えた挑戦

showroom design emphasizing lighting fixtures and a curated book display
(写真左)サンローラン バビロン。(右)ミラノ サローネで発表された“ロエベ ランプ”。

カルチャーやインテリア、フードなど、専門分野以外のジャンルへ活躍の場を広げるファッションブランド。単に着飾ることを楽しむだけでなく、生活を豊かにプロデュースすることこそ、おしゃれの本質だと教えてくれる。

ロエベ

advertisement for a collaboration between loewe and craft featuring a unique pendant light and architectural entrance
(左)ミラノ サローネで発表された“ロエベ ランプ”。 (右)漆作家、石塚源太さんのランプは、塗り重ねては剥がしてできた漆の層から漏れる光が印象的。

職人へのリスペクトと文化的な推進を狙う

受け継がれるべきクラフツマンシップを、現代人の好奇心に寄り添う方法で提示する「ロエベ」。最大級の展示規模となった2024年ミラノ サローネでは、24名の世界的アーティストと24のランプを作ったことも話題に。常に手仕事の可能性を追求する。

サンローラン

display of books and artistic objects in a stylish setting
希少な出版物やオリジナル書籍、絶版された音源など、ラインナップは、クリエイティブ・ディレクターのアンソニー・ヴァカレロが監修。

審美眼が光る複合的なカルチャースポット

パリのサンローラン バビロンは、ライフスタイルプロダクトライン“サンローラン リヴ・ドロワ”の新たな取り組みとして誕生。知見を生かした、さまざまな表現方法でコンテンツを発信し、時に書店、時に文化交流の場として確実に存在感を増している。

住所:9 RUE DE GRENELLE, 75007 PARIS

バレンシアガ

stylized food presentation featuring a bamboo steamer and unique food items
(左)メゾンを象徴する色、グレーの皮に包まれた小籠包は、黒トリュフ入の餡でビーガン仕様。 (右)幸運の象徴とされ、お祝い場に欠かせない伝統菓子には、 「ダブルBロゴ」が刻印されて。

ローカルな食に敬意を表したコラボレーション

「バレンシアガ」は、2024年5月に“スプリング25”を上海で開催した際、期間限定の点心と菓子を現地のレストラン“Nu Xiang Mu Dou”で提供。アジアの食文化を理解しながら、西洋の感性も加えオリジナリティを出した。

12.まだまだ続くデザイナーの交代劇

designers
(左上)ハイダー・アッカーマン(右上)サラ・バートン(左下)ジュリアン・クロスナー(右上)マイケル・ライダー。

混沌の世相を反映するかのように、ファッション業界も空前絶後のデザイナーシャッフルが行われている。各ブランドのアイデンティティと、時代を切り拓く感性を持った新ディレクターの出合いは、一体どのような変化をもたらすのか ? 来季に向けて知っておきたい、激動のデザイナー退任&就任劇をおさらい。

セリーヌ

fashion show scene featuring performance and model in elegant attire
(上)退任発表後は沈黙中のエディ・スリマン。 (下)ラストコレクションとなった2025年サマーコレクション「UN ÉTÉ FRANÇAIS」のキャンペーンイメージ。

エディ・スリマンが退任。後任はマイケル・ライダー

2018年2月より「セリーヌ」のクリエイティブ・ディレクターを務めていたエディ・スリマンが2024年10月に退任を発表。そのわずか数時間後に後任を発表するというサプライズもあり、大きな話題を呼んだ。エディからのバトンを受け取ったのはマイケル・ライダー。フィービー・ファイロ時代の「セリーヌ」でプレタポルテ部門のデザイン・ディレクターを務めていた実力者で、直近では「ポロ ラルフ ローレン」のクリエイティブ・ディレクターとしてブランドを率いていた。今でも熱狂的な支持者をもつフィービーの“教え子”としてはもちろん、古巣での手腕発揮に注目が集まる。

ジバンシィ

portrait of a person with arms crossed wearing a black sweater and trousers

サラ・バートン率いる新生「ジバンシィ」に期待

モードラバーの誰もが涙をのんだ、サラ・バートンによる「アレキサンダー・マックイーン(現マックイーン)」のラストショーからおよそ1年。彼女が新たな一歩を踏み出すことが発表された。クリエイティブ・ディレクターとして、「ジバンシィ」のウィメンズおよびメンズの全コレクションのクリエイティブ・ディレクションを担当し、デビューコレクションは2025年3月に発表予定。サラが紡ぐ、ポエティカルでこの上なく美しいストーリーがまた見られる日が待ち遠しい。

フェンディ

two individuals sitting on a sofa posing for the camera
Getty Images
キム・ジョーンズとケイト・モス。名だたるアイコンとも仲が良かった。

モード界のバランサーがブランドを去る

カール・ラガーフェルドの後任として「フェンディ」のウィメンズ アーティスティック・ディレクターを務めていたキム・ジョーンズが退任を発表。今後は、並行していた「ディオール」のメンズ・アーティスティック・ディレクターに専念するという。2025年は「フェンディ」にとって創業100周年という記念すべき年。新ディレクターはまだ発表されていないが、2025年2月に開催される2025-26秋冬コレクションはメンズ&アクセサリー・アーティスティック・ディレクターのシルヴィア・フェンディが統括する予定。

ヴァレンティノ

fashion showcase featuring diverse clothing styles and models

ミケーレのビジョンを示した新章

2024年3月に「ヴァレンティノ」の新クリエイティブ・ディレクターに就任、9月のパリ ファッションウィークで2025春夏コレクション(写真左)を発表したアレッサンドロ・ミケーレ。メゾンの歴史に立ち返りながらも、自身の得意とするマキシマムなロマンティシズムは健在。ミケーレ節を利かせた新たなスタートは好発進のよう。次なるオートクチュールコレクションもこれに続くか?

ヘルムート ラング

fashion showcase featuring helmut lang designs

ピーター・ドゥが電撃退任。次は誰に?

2023年5月に「ヘルムート ラング」のクリエイティブディレクターに就任したピーター・ドゥが退任。在籍期間はわずか1年半ほどだったが、退任に際して発表されたコメントはチームへの愛と感謝にあふれていた。後任は現在のところ未定。2025年春夏コレクションは発表をスキップし、2025年プレフォールコレクション(写真右)が、彼が手がけたラストコレクションとなった。

トム フォード

a person in a formal black suit with a neutral background

新ディレクターにハイダー・アッカーマンが就任

2024年7月に退任した前任ピーター・ホーキングスに続く、「トム フォード」の新クリエイティブ・ディレクターにハイダー・アッカーマンが就任。2025年3月に開催される2025-26年秋冬パリ ファッション・ウィークでデビューコレクションを発表する。エッジィなシルエットと芸術的な美しさをもつ彼のセンスが存分に発揮されるであろう新コレクションは、間違いなく来季のハイライト。

ランバン

a person seated at a black glass table with hands clasped wearing a dark jacket
Riccardo Olerhead

新ディレクターと2年ぶりにランウェイへ復帰

2024年9月、新アーティスティックディレクターにピーター・コッピングを迎えた「ランバン」が本格的に始動する。2025年1月下旬に開催されるパリ・オートクチュールファッションウィーク前夜に、2年ぶりのランウェイショーを実施。「ソニア リキエル」、「ルイ・ヴィトン」、「バレンシアガ」など、数多くのメゾンで経験を積んできたベテランが表現する新生「ランバン」に期待大。

ドリス ヴァン ノッテン

a seated individual wearing a black outfit with hands crossed over a knee
Sarah Piantadosi

次世代がつなぐドリスの物語

1986年のデビュー以来、長らくブランドを率いてきたドリス・ヴァン・ノッテンが2025春夏メンズコレクションを最後に引退。その後任として、2018年の入社以来ドリスとともにウィメンズコレクションのデザインと開発に携わってきたジュリアン・クロスナーが就任した。今後はメンズとウィメンズ両方のコレクションを統率する。2025年1月に2025-26年秋冬コレクションをルックブックで、3月にショー形式にて初のウィメンズコレクションを発表予定。

3.1 フィリップ リム

model walking down the runway during a fashion show with an audience applauding
Getty Images

創業デザイナー退任し、転換期へ

2005年の設立以来、20年もの期間クリエイティブ ディレクターとして指揮を執ってきたフィリップ・リムがブランドを去ることを発表した。2024年9月に発表した2025春夏コレクション(写真下)が、自身が手がけたラストコレクションとなった。ニューヨークのファッションシーンを率いてきたブランドのこれからに注目が集まる。

13.狙い目はセミラグジュアリーブランド

fashion items from semiluxury brands including clothing and shoes

デイリーに愛用できるベーシックなデザイン、モダンなシルエット、上質な素材と着心地の良さに加え、買いやすい価格帯。今着たいのは、そのすべてがそろったセミラグジュアリーブランド。今のムードをくみながらも決して華美ではなく、たしかなものづくりで信頼を集める注目のブランドをリストアップ。

トーテム

北欧ならではのモダンな感性に恋して

スウェーデン出身のブロガー、エリン・クリングとその夫のカール・リンドマンがニューヨークでスタートさせた「トーテム」。北欧ならではの温かみと、ニューヨークのスタイリッシュさが重なり合い、シンプルながらも奥深いコレクションを展開。徹底的に着やすさにこだわり、着回し力も抜群な秀逸アイテムがそろう。

toteme products

プルオーバー¥53,450 /トーテム(トーテム クライアントサービス

toteme products

パンツ¥70,740 /トーテム(トーテム クライアントサービス

toteme products

シャツ¥70,740(参考価格)/トーテム(トーテム クライアントサービス

ケイト

唯一無二のバランス感

2016年にキャサリン・ホルスタインによって設立され、瞬く間に世界中のファッショニスタをとりこにした最旬ブランド、「ケイト」。フェミニンとマスキュリン、両方の要素を併せ持つコントラストが新鮮で、リアーナやヘイリー・ビーバーといったおしゃれセレブアイコンも愛用。カジュアルなのにフェティッシュ、ハンサムなのにエレガント。ありそうでなかなかない絶妙なバランス感はケイトならでは。一度着ればきっとあなたも、その魅力にうなずくはず。

khaite items

トップス¥221,100 /ケイト(ランド オブ トゥモロー 丸の内店

khaite items

デニムパンツ¥57,200 /ケイト(ランド オブ トゥモロー 丸の内店

khaite items

カーディガン¥317,900/ケイト(ランド オブ トゥモロー 丸の内店

コー

リュクスな大人のベーシックがここに

2011年よりスタートした、ロサンゼルスとパリを拠点とする「コー」。今を生きる多忙な女性たちのために、こだわりの素材と心地良いシルエット、毎日着られるデイリーワードローブを提案する。クラシックでラグジュアリー、スポーティーで洗練されたコレクションは、昼から夜までアクティブに動く私たちの頼れるパートナーのよう。素材の良さを生かしたミニマルなレザーアイテムはもちろんのこと、ボディラインを美しく見せるデニムも狙い目。

co items

ベスト¥273,900 /コー(イーストランド

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デニムパンツ¥88,000 /コー(イーストランド

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ジャケット¥219,000/コー(イーストランド

ラ コレクション

ベルギー発注目ブランド

クリーンでタイムレス、毎日着やすく心地良いワードローブを展開するベルギー発の「ラ コレクション」。現地のファッションアイコンとして親しまれるフローレンス・クールスがクリエイティブディレクターとしてブランドを率い、上質ながらも環境に配慮したものづくりを進めている。控えめなカラートーンとミニマルなデザインで構成されるコレクションは、どれをとっても一枚あればどんなコーディネートにも使える実力派アイテムぞろい。

la collection pieces

シャツ¥106,600 (参考価格)/ラ コレクション(アマン

la collection pieces

パンツ¥163,900 (参考価格)/ラ コレクション(アマン

la collection pieces

ドレス¥187,000(参考価格)/ラ コレクション(アマン

セアン

自分のためのデイリーラグジュアリー

韓国の人気ブランド「アーチ ザ」を率いるウンシル・ジュをクリエイティブ・ディレクターに迎え、韓国と日本の感性を融合した新たな視点で発信される「セアン」。“自分自身のためのデイリーラグジュアリー”を掲げ、日本の伝統美をモダンに再解釈。2024年秋冬のデビューコレクションでは、シンプルながらもひねりを利かせたデザイン性のあるアイテムがそろう。上質な素材が使われているアイテムが手の届きやすい価格帯であることもバリューポイント。

scearn pieces

シャツ¥94,600 /セアン(オンワード樫山 お客様相談室

scearn pieces

ドレス¥68,200 /セアン(オンワード樫山 お客様相談室

scearn pieces

ケープ¥59,400/セアン(オンワード樫山 お客様相談室

ローカルスポーツブランド

人とかぶらないスポーツブランドが熱い

スポーツミックスも引き続き流行しそうな2025春夏シーズン。狙いたいのは日本ではあまりなじみのない、海外のローカルなスポーツブランド !

cropped brown hoodie with a zipper and hood
FROM KOREA

パーカ¥10,840/エイチデックス(HDEX 表参道ショウルーム

local sports brands articles
FROM ENGLAND

ポロシャツ¥9,900/アンブロ(デサントジャパン

local sports brands articles
FROM FINLAND

スニーカー¥15,400/カルフ(カルフトウキョウ

local sports brands articles
FROM ITALY

スニーカー¥42,900/ディアドラ(チンクエ ステッレ


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photo:LAUNCHMETRICS SPOTLIGHT, HITOSHI FUJIMAKI/flame(cutout), GETTY IMAGES, Courtesy of Balenciaga, ©REGINE DAVID, ©LINDSAY ELLARY, ©MARILI ANDRE, HEDI SLIMANE, RICCARDO OLERHEAD, SARAH PIANTADOSI,

styling:RIE SUZUKI