トレンドは減速傾向に、ファッションはよりパーソナルで自由を求めるムードが高まり続ける昨今。活発化するデザイナーシャッフル、他業界とのタッグ、ブランド同士のコラボレーションなど、ニュースもめまぐるしい。「ファッション」がさらに多言語になった2025春夏シーズン、知っておきたいキーワードから業界の流れ、気になるマイクロトレンドまで一挙に総ざらい。
1.デコラティブ時代到来
ここ数シーズン、トレンドをにぎわせていたワードと言えば「クワイエットラグジュアリー」。その反動とも取れるかのように、2025春夏はカラフルで華やかなムードが加速している。そのイメージを決定づけるのが、ビジューやフリル、フリンジなどの装飾技、そして'70s的スタイルの台頭。クワイエットラグジュアリー時代の名残を感じるモノトーンルックも、ドラマチックに進化した。一見、オフィスコーデにぴったりのシンプルなスタイリングは、色使いやシルエットで遊ぶなど各ブランドの大胆な発想によって、エネルギッシュなコレクションとなった。
2.パステルにときめいて
春夏シーズンにぴったりの、軽やかでポジティブなムードを印象づけたのがパステルカラーのルック。ブルーにグリーン、イエロー、ピンクと色のバリエーションも豊富で、各ブランドが自分たちらしい“カラー”を打ち出した。圧倒的に多かったスタイルは、柔らかい素材使いとワントーンコーディネート。パステルの王道イメージであるロマンチシズムを最大限に引き出しつつ、女性像はナチュラル志向なところに、現代ならではの感性が光る。
主役級から小物まで、パステルを自在に取り入れて
3.スポーツと近づくファッション業界
各ブランドによるアンバサダー争奪戦
パリオリンピック開催の影響で、最前線で活躍するアスリートをブランドアンバサダーに迎える動きが活発化。新トッズ フレンズに就任したバレーボール選手の石川祐希は、2024年秋冬メンズコレクションのシーズンビジュアルに登場。テニス選手のヤニック・シナーは、「グッチ」のカスタムメイドバッグとともにマイアミ・オープン2024に出場。各ブランドの魅力を伝える代弁者の一人として、スポーツとモードが共に高め合う時代へ。
LVMHとF1が10年間のパートナーシップを締結
2025年に75周年を迎えるモータースポーツの最高峰、フォーミュラ 1®(F1)と巨大コングロマリット、LVMHが10年間のグローバルパートナーシップの締結を発表。同社が擁する複数のメゾンが参加し、F1の世界を盛り上げる。パートナーシップの詳細は2025年初頭に発表予定。根強い人気と熱狂的ファン、驚異の動員を誇るF1とラグジュアリートップ企業であるLVMH。意外性あるこの組み合わせが、スポーツとファッションの懸け橋としてどう作用していくのか? 動向に要注目。
「ディオール」と共鳴するトップアスリートたち
パリオリンピック開催を記念して、合計17名の女性スポーツ選手をアンバサダーに起用した「ディオール」。常に挑戦し続ける精神と才能にあふれたスポーツウーマンの姿は、女性の力を信じ、鼓舞し、肯定してきたメゾンの姿勢そのもの。4年に1度のスポーツの祭典で奮闘した女性アスリートの活躍をファッションの視点から応援する。
4.インスピレーションはいつだって音楽
アートや建築、ユースカルチャーにSNSトレンド。さまざまな分野から影響を受け、ときには影響を与え多角的な要素を併せ持つファッションだが、今季は特に、音楽から影響を受けたデザイナーが多いよう。視覚と聴覚、両方から刺激して印象づけた、各ブランドの個性が際立つ取り組みを追う。ファッションと音楽、表現の方法は違えどその結び付きは永遠 !
2025春夏コレクションに見る多彩なアプローチ
手法は違えど、音楽を起点にさまざまなブランドが独自のアイデアをコレクションに反映した2025春夏シーズン。ノイズをそぎ落とした先の軽さと人生を彩る音楽に重点を置いた「ロエベ」、鳥かごの中でライリー・キーオが歌唱し、自由への物語を奏でた「シャネル」、ヘッドホンを装着したルックがたびたび登場した「ヴィヴィアン・ウエストウッド」……軽やかなクリエーションの裏でストーリーテラーとして深みを与える音楽の存在が、今季はいつにも増して大きい。
5.注目のコラボレーションを総ざらい
今や定番と化してきたブランド同士のコラボレーション。2025年春夏コレクションのランウェイでも、意外性ある新鮮なタッグや、人気コラボの再登場など話題をさらったアイテムが続々。各ブランドの持ち味を生かしたいいとこどりのスペックや限定デザインこそコラボの醍醐味。今シーズンしか手に入らないレアアイテムを、いざハント。
フェンディ×レッドウィング
新鮮なタッグによる新たなキラーシューズ
ショー終了直後から話題沸騰となった「フェンディ」と「レッドウィング」のコラボレーション。「レッドウィング」の定番、“クラシックモック”をベースに「フェンディ」の最高級カーフレザーを用い、オーセンティックなブーツをラグジュアリーに昇華。老舗ならではの履き心地はそのままに、“セレリア”ステッチやオーガンジーの靴下合わせなど、「フェンディ」らしいリュクスなアイデアで新たな表情を見せる。
バレンシアガ×アンダーアーマー
フーディがバッグに変形 !
25年スプリングコレクションでお披露目された、「バレンシアガ」と「アンダーアーマー」によるコラボレーション。スポーツウエアのダイナミックさと機能性、「バレンシアガ」のサヴォアフェールとシルエットを融合し、コラボアイテムには両ブランドのロゴを組み合わせたスペシャルなロゴがあしらわれた。
ミュウミュウ×プチバトー
ストック買いしたくなるデイリーウエア
ヒラリー・スワンクやウィレム・デフォーらをはじめ、幅広いキャスティングも話題になった「ミュウミュウ」。中でも注目を集めたのは、「プチバトー」とのコラボレーション。ベーシックでクラシックなアイテムを再解釈し、あらゆる年代に向けての自由なワードローブを提案した。春夏シーズン大活躍間違いなしのロンパースは、何枚でも欲しくなる!
ノワール ケイ ニノミヤ×リーボック
大人気コラボが再び
2024-25年秋冬コレクションに続き、2025年春夏コレクションでも再びコラボレーションを発表。「リーボック」のアイコン“インスタポンプフューリー”にパールをあしらい、ボリュームたっぷりのデザインに仕上げた。発売前から話題を呼んだ前回に続き、今回も即完売してしまう予感。
グラウンズ×シネイド・オドワイヤー
アイコンシューズがグラフィカルに進化
東京ブランド、「ミキオサカベ」が監修する「グラウンズ」とロンドンを拠点とする新鋭デザイナー、シネイド・オドワイヤーによるコラボレーション。ブランドを象徴する球体のアウトソールが特徴のモデル“ムーピー”に、表情豊かなニットのアッパーを装着した“スパイキーブーツ”は、コーディネートの主役になるほどの存在感。
ユェチ・チ×アディダスオリジナルス
気鋭の中国ブランドと「アディダス」が出合ったら?
2018年にセントラル・セント・マーチンズを卒業、「シャネル」の刺しゅうアトリエで経験を積んだ「ユェチ・チ」。グラフィカルで躍動的なコレクションを展開する今注目の若手が、2025年春夏コレクションで「アディダス」とのコラボアイテムを発表。クチュールライクなピースの数々が、コーディネートに新鮮なパンチを利かせてくれるはず。
ケンゾー×VERDY
サブカルチャーを率いるアイコンたちの共演
NIGO®率いる「ケンゾー」が、アーティスト、VERDYとのパートナーシップによるコラボレーションを2025年春夏コレクションで発表。展開するアイテムはすべてユニセックスで着用可。グラフィカルに描かれたアイコニックなウィンキー・ザ・タイガーやビンピー・ザ・エレファントのチャーミングな表情に思わず笑顔を誘われる。
マリーン・セル×レペット
バレエシューズがエッジィに変化
サステナブルとモードの共存を追求する「マリーン・セル」と、フランスの老舗ダンスブランド、「レペット」が斬新にコラボ! 足になじむレペットならではの履き心地はそのままに、「マリーン・セル」を象徴するムーン柄が全体にあしらわれたモードなバレエシューズが誕生。両ブランドのアイコンが見事に融合した、レアな一足は要マーク。
6.小物はデコって、個性を出す
デコレーション合戦が続くバッグに加え、ついにはヘアやシューズまで、ファッショニスタの盛りたい欲は日に日に増すばかり。装飾主義が、新たなアイデンティティの表現方法として定着。
今やチャームが、バッグの存在感を凌駕
最近の「カワイイ」カルチャーに欠かせないハートやビーズストラップ。チャームの総数は控えめに、レザーなど上質素材と組み合わせ、程よいギャル味とマチュアの好バランスを目指して。
靴も飾りつけ、足元のおしゃれを盛り上げる
「コーチ」が、リサイクル、再利用、再生可能な素材に焦点を当てた、完全循環型の新ブランドより。70%がリサイクル アクリル プラスチック製のカラフルなモチーフが登場。シューレースに装着すれば、白スニーカーがポップにイメチェン。
ヘアピンのレイヤード着けで顔まわりを華やかに
7.サンリオに熱視線!
世界からサンリオへのラブコールが止まらない。特に、2024年に生誕50周年を迎えたハローキティは、ファッション界でも引っ張りだこ。レアなアイテムが続々と発表されキャラクター神話が確立。
ジー シー ディー エス
デュア・リパがリアルに愛用
ハローキティ好きを公言するデュア・リパのインスタで話題を呼んだのが、キティのブラ。イタリアの「ジー シー ディー エス」が、ドレスやシアートップスに合わせたコーデを毎シーズン提案する。最新ルックには、バッドばつ丸の姿も。
エムシーエム
クラフツマンシップとポップカルチャーが融合
ドイツ発ブランド、「エムシーエム」がハローキティとの日本限定コレクションを発売中。アイコンバッグを彩るのは、大好きなりんごに囲まれたハローキティと、MCMのグラフィックによる特別デザイン。パウダーピンクの色とも好相性。
ケイト・スペード ニューヨーク
タイムレスなかわいさを表現
「ケイト・スペード ニューヨーク」とハローキティによる、鮮やかでハッピーマインドに満ちたアイテムが登場。ウエアから小物まで全22点を、今年11月にリニューアルした銀座旗艦店や、オンライン(2025年1月7日~)で販売する。
アンダーカバー
メイド・イン・ジャパン同士の化学反応
これまでも、度々サンリオキャラクターとコラボしてきた「アンダーカバー」。最新作はハローキティとパティ&ジミー、そしてマイメロディが主役だ。誕生当時のイラストを採用したレトロな雰囲気が、昨今のリバイバルブームにぴったり。
フェンダー
ギター初心者も興味を抱くこと必至
「フェンダー」とハローキティという、世界的に愛される楽器メーカーとアイコンのコラボが実現。ギターはもちろん、ケーブルやピックなどの関連アイテム、アパレルも展開する。キュートなビジュアルから目が離せない。
8.フェミニティの行方
メンズ並みにキメたテーラードスーツがランウェイで異彩を放ち、パワフルでかっこいい女性像が、明確に打ち出された今季。強さはキーワードのひとつであり、エレガント、だけど戦士のようにタフで挑発的な要素を携えたスタイルが目立った。その一方で、レースやチュールを惜しみなく使った、ロマンチックなドレスも数多く登場。両極のムードが共存することはフェミニニティの多様化を意味し、ファッションにおける表現も自由度が増している。ロングとショート丈をミックスしたボトムスも、二面性を主張する斬新なアイテム。
9.目覚める少女の心
ボディラインを拾わないチュニックドレスや、ホワイトコットンの無垢なワンピースを見ると、まるで子供時代にタイムスリップしたかのよう。いくつになってもかわいいと感じるモチーフの象徴、リボンやフラワープリントも人気で、その多くはわかりやすく、大胆にあしらわれたデザイン。そうしたストレートなアプローチも含めて、ピュアで偽りのない少女的な愛らしさに通ずるものがある。スタイリングポイントとして、アクセサリーは控えめで、全体的に捻りすぎず、単純明快。足元はソックス×フラットシューズの王道系から、マチュアな要素をプラスするスティレットヒールまで幅広い。
10.ポジティブな色気を放って
ブラトップにレース、ブルマなど、ランジェリーライクなムーブメントに直結するアイテムが豊富だった今季。さらにシアー素材は、テイストに関わらずデザインのアクセントとして多用され、トレンドの域を超えて定番となりつつある。決して「艶っぽさ」だけでなく、ヘルシーで知的なアティチュードも共存するスタイルが、ファッション界におけるセンシュアルの最適解。
11.ファッションの粋を超えた挑戦
カルチャーやインテリア、フードなど、専門分野以外のジャンルへ活躍の場を広げるファッションブランド。単に着飾ることを楽しむだけでなく、生活を豊かにプロデュースすることこそ、おしゃれの本質だと教えてくれる。
ロエベ
職人へのリスペクトと文化的な推進を狙う
受け継がれるべきクラフツマンシップを、現代人の好奇心に寄り添う方法で提示する「ロエベ」。最大級の展示規模となった2024年ミラノ サローネでは、24名の世界的アーティストと24のランプを作ったことも話題に。常に手仕事の可能性を追求する。
サンローラン
審美眼が光る複合的なカルチャースポット
パリのサンローラン バビロンは、ライフスタイルプロダクトライン“サンローラン リヴ・ドロワ”の新たな取り組みとして誕生。知見を生かした、さまざまな表現方法でコンテンツを発信し、時に書店、時に文化交流の場として確実に存在感を増している。
住所:9 RUE DE GRENELLE, 75007 PARIS
バレンシアガ
ローカルな食に敬意を表したコラボレーション
「バレンシアガ」は、2024年5月に“スプリング25”を上海で開催した際、期間限定の点心と菓子を現地のレストラン“Nu Xiang Mu Dou”で提供。アジアの食文化を理解しながら、西洋の感性も加えオリジナリティを出した。
12.まだまだ続くデザイナーの交代劇
混沌の世相を反映するかのように、ファッション業界も空前絶後のデザイナーシャッフルが行われている。各ブランドのアイデンティティと、時代を切り拓く感性を持った新ディレクターの出合いは、一体どのような変化をもたらすのか ? 来季に向けて知っておきたい、激動のデザイナー退任&就任劇をおさらい。
セリーヌ
エディ・スリマンが退任。後任はマイケル・ライダー
2018年2月より「セリーヌ」のクリエイティブ・ディレクターを務めていたエディ・スリマンが2024年10月に退任を発表。そのわずか数時間後に後任を発表するというサプライズもあり、大きな話題を呼んだ。エディからのバトンを受け取ったのはマイケル・ライダー。フィービー・ファイロ時代の「セリーヌ」でプレタポルテ部門のデザイン・ディレクターを務めていた実力者で、直近では「ポロ ラルフ ローレン」のクリエイティブ・ディレクターとしてブランドを率いていた。今でも熱狂的な支持者をもつフィービーの“教え子”としてはもちろん、古巣での手腕発揮に注目が集まる。
ジバンシィ
サラ・バートン率いる新生「ジバンシィ」に期待
モードラバーの誰もが涙をのんだ、サラ・バートンによる「アレキサンダー・マックイーン(現マックイーン)」のラストショーからおよそ1年。彼女が新たな一歩を踏み出すことが発表された。クリエイティブ・ディレクターとして、「ジバンシィ」のウィメンズおよびメンズの全コレクションのクリエイティブ・ディレクションを担当し、デビューコレクションは2025年3月に発表予定。サラが紡ぐ、ポエティカルでこの上なく美しいストーリーがまた見られる日が待ち遠しい。
フェンディ
モード界のバランサーがブランドを去る
カール・ラガーフェルドの後任として「フェンディ」のウィメンズ アーティスティック・ディレクターを務めていたキム・ジョーンズが退任を発表。今後は、並行していた「ディオール」のメンズ・アーティスティック・ディレクターに専念するという。2025年は「フェンディ」にとって創業100周年という記念すべき年。新ディレクターはまだ発表されていないが、2025年2月に開催される2025-26秋冬コレクションはメンズ&アクセサリー・アーティスティック・ディレクターのシルヴィア・フェンディが統括する予定。
ヴァレンティノ
ミケーレのビジョンを示した新章
2024年3月に「ヴァレンティノ」の新クリエイティブ・ディレクターに就任、9月のパリ ファッションウィークで2025春夏コレクション(写真左)を発表したアレッサンドロ・ミケーレ。メゾンの歴史に立ち返りながらも、自身の得意とするマキシマムなロマンティシズムは健在。ミケーレ節を利かせた新たなスタートは好発進のよう。次なるオートクチュールコレクションもこれに続くか?
ヘルムート ラング
ピーター・ドゥが電撃退任。次は誰に?
2023年5月に「ヘルムート ラング」のクリエイティブディレクターに就任したピーター・ドゥが退任。在籍期間はわずか1年半ほどだったが、退任に際して発表されたコメントはチームへの愛と感謝にあふれていた。後任は現在のところ未定。2025年春夏コレクションは発表をスキップし、2025年プレフォールコレクション(写真右)が、彼が手がけたラストコレクションとなった。
トム フォード
新ディレクターにハイダー・アッカーマンが就任
2024年7月に退任した前任ピーター・ホーキングスに続く、「トム フォード」の新クリエイティブ・ディレクターにハイダー・アッカーマンが就任。2025年3月に開催される2025-26年秋冬パリ ファッション・ウィークでデビューコレクションを発表する。エッジィなシルエットと芸術的な美しさをもつ彼のセンスが存分に発揮されるであろう新コレクションは、間違いなく来季のハイライト。
ランバン
新ディレクターと2年ぶりにランウェイへ復帰
2024年9月、新アーティスティックディレクターにピーター・コッピングを迎えた「ランバン」が本格的に始動する。2025年1月下旬に開催されるパリ・オートクチュールファッションウィーク前夜に、2年ぶりのランウェイショーを実施。「ソニア リキエル」、「ルイ・ヴィトン」、「バレンシアガ」など、数多くのメゾンで経験を積んできたベテランが表現する新生「ランバン」に期待大。
ドリス ヴァン ノッテン
次世代がつなぐドリスの物語
1986年のデビュー以来、長らくブランドを率いてきたドリス・ヴァン・ノッテンが2025春夏メンズコレクションを最後に引退。その後任として、2018年の入社以来ドリスとともにウィメンズコレクションのデザインと開発に携わってきたジュリアン・クロスナーが就任した。今後はメンズとウィメンズ両方のコレクションを統率する。2025年1月に2025-26年秋冬コレクションをルックブックで、3月にショー形式にて初のウィメンズコレクションを発表予定。
3.1 フィリップ リム
創業デザイナー退任し、転換期へ
2005年の設立以来、20年もの期間クリエイティブ ディレクターとして指揮を執ってきたフィリップ・リムがブランドを去ることを発表した。2024年9月に発表した2025春夏コレクション(写真下)が、自身が手がけたラストコレクションとなった。ニューヨークのファッションシーンを率いてきたブランドのこれからに注目が集まる。
13.狙い目はセミラグジュアリーブランド
デイリーに愛用できるベーシックなデザイン、モダンなシルエット、上質な素材と着心地の良さに加え、買いやすい価格帯。今着たいのは、そのすべてがそろったセミラグジュアリーブランド。今のムードをくみながらも決して華美ではなく、たしかなものづくりで信頼を集める注目のブランドをリストアップ。
トーテム
北欧ならではのモダンな感性に恋して
スウェーデン出身のブロガー、エリン・クリングとその夫のカール・リンドマンがニューヨークでスタートさせた「トーテム」。北欧ならではの温かみと、ニューヨークのスタイリッシュさが重なり合い、シンプルながらも奥深いコレクションを展開。徹底的に着やすさにこだわり、着回し力も抜群な秀逸アイテムがそろう。
ケイト
唯一無二のバランス感
2016年にキャサリン・ホルスタインによって設立され、瞬く間に世界中のファッショニスタをとりこにした最旬ブランド、「ケイト」。フェミニンとマスキュリン、両方の要素を併せ持つコントラストが新鮮で、リアーナやヘイリー・ビーバーといったおしゃれセレブアイコンも愛用。カジュアルなのにフェティッシュ、ハンサムなのにエレガント。ありそうでなかなかない絶妙なバランス感はケイトならでは。一度着ればきっとあなたも、その魅力にうなずくはず。
コー
リュクスな大人のベーシックがここに
2011年よりスタートした、ロサンゼルスとパリを拠点とする「コー」。今を生きる多忙な女性たちのために、こだわりの素材と心地良いシルエット、毎日着られるデイリーワードローブを提案する。クラシックでラグジュアリー、スポーティーで洗練されたコレクションは、昼から夜までアクティブに動く私たちの頼れるパートナーのよう。素材の良さを生かしたミニマルなレザーアイテムはもちろんのこと、ボディラインを美しく見せるデニムも狙い目。
ラ コレクション
ベルギー発注目ブランド
クリーンでタイムレス、毎日着やすく心地良いワードローブを展開するベルギー発の「ラ コレクション」。現地のファッションアイコンとして親しまれるフローレンス・クールスがクリエイティブディレクターとしてブランドを率い、上質ながらも環境に配慮したものづくりを進めている。控えめなカラートーンとミニマルなデザインで構成されるコレクションは、どれをとっても一枚あればどんなコーディネートにも使える実力派アイテムぞろい。
セアン
自分のためのデイリーラグジュアリー
韓国の人気ブランド「アーチ ザ」を率いるウンシル・ジュをクリエイティブ・ディレクターに迎え、韓国と日本の感性を融合した新たな視点で発信される「セアン」。“自分自身のためのデイリーラグジュアリー”を掲げ、日本の伝統美をモダンに再解釈。2024年秋冬のデビューコレクションでは、シンプルながらもひねりを利かせたデザイン性のあるアイテムがそろう。上質な素材が使われているアイテムが手の届きやすい価格帯であることもバリューポイント。
ローカルスポーツブランド
人とかぶらないスポーツブランドが熱い
スポーツミックスも引き続き流行しそうな2025春夏シーズン。狙いたいのは日本ではあまりなじみのない、海外のローカルなスポーツブランド !
『エル・ジャポン』2月号好評発売中!
- 新時代のムードを読む!
- 2025年春夏、ファッションはどうなる?
- 2025年上半期のパワーフラワー占い
- 友達との“破局”について話そう
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- カイリー・ジェンナー、大胆かつクリエイティブに
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…and more!
photo:LAUNCHMETRICS SPOTLIGHT, HITOSHI FUJIMAKI/flame(cutout), GETTY IMAGES, Courtesy of Balenciaga, ©REGINE DAVID, ©LINDSAY ELLARY, ©MARILI ANDRE, HEDI SLIMANE, RICCARDO OLERHEAD, SARAH PIANTADOSI,
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