2025年春夏コレクションのランウェイでは、数シーズン続いた潮流、「クワイエットラグジュアリー」の反動ともいえるエネルギーがさく裂。クリエイティビティは無限に膨らみ、色使いは鮮やかに、素材は軽く、装飾も盛りだくさん。自分の「好き」を正直に、自由に表現するファッションの喜びをもう一度と言わんばかりに、各ブランドののびのびとした実験的なクリエイションがさえわたった。
混沌とした時代だからこそ、自分らしく生き抜く楽しさを模索したいのは誰だって同じ。そしてそれはきっと、常にファッションとともにあるはず。相次ぐデザイナー交代に加え、リバイバルブームが続くファッション業界。変化を楽しむ余裕をもちながら、どんなムーブメントも乗りこなすしなやかさも鍵となる。「喜び」と「楽しさ」を軸に、この春のトレンドをトランスペアレント、カラー、インナーチャイルド、デコラティブの4つの要素でひもとく。『エル・ジャポン』4月号より。
トランスペアレント
春夏を象徴する“透け”は、今季もトレンドに健在。あくまでヘルシーなアティチュードと心意気で自信たっぷりに着こなして。
「透け」こそ色を取り入れて。一枚でも決まるシースルーアイテム
レースやシフォン、チュールにオーガンジーなど、シースルーと一口にいっても素材はいろいろ。肌が透けるディテールをうまく活用しながら、コーディネートをフレッシュに見せるなら、柔らかなカラーで取り入れるのが◎。着こなしを華やげるパステルトーンは、やっぱり春の定番。モード派はセンシュアルなモノトーンでもクールに決まる!
カラーブロック
しばらく息をひそめていた鮮やかな色使いが目立つ今シーズン。とりわけこの春は、彩度の高い色を組み合わせたカラーブロックスタイルが頻出。
ハッピームード満点のカラーブロックは思い切りと色彩学を味方に
ベーシックカラーに頼らないコーディネートは難易度が高いと思いがち。でも、マッチングしやすい色同士を理解していればあとは自分に似合うスタイルを見つけるだけ。「挑戦するなら、濃淡や異素材使いで立体的に仕上げるのがGOOD」と話すスタイリストの鈴木理恵さんが攻略法を伝授。
コートを主役に呼応する三原色の妙
淡い色味の分量を多くして、抜け感を出すのがポイント。レースやチュールなど
フェミニンな素材を取り入れると、主張がある色でも柔らかい印象になります。
目線が集まる首、手首、足首に青を利かせ統一感UP。
今季らしいスポーツミックスで楽しむバイカラー
ピンクとグリーンは互いを引き立て合う補色なので相性抜群。アウターに締め色を
もってくると、メリハリが出るうえ、落ち着いた雰囲気になるので一気に着やすくなります。スカートの重ね技も奥行きを出すこだわり。
変化球トラッドで魅せるデザインコンシャスなIライン
メインのカラーを決めつつ、コントラストがつくサブカラー、存在感が出るワンポイントカラーを配色する定番の方程式。インナーはヌードカラーを選び顔周りはミニマムに。インパクトはボトムや小物で出すと、まとまりやすい。
インナーチャイルド
童心をくすぐるアイテムと、ファッションを楽しむ純真さが共存するトレンドとして定義されるインナーチャイルド。ガーリーやレトロとも違う新スタイル。
“あの頃”のピュアなマインドを大人目線で再解釈
真っ白な肌着やチュニック型のワンピース、かぼちゃパンツなど、子どもが着るからこそかわいいデザインに焦点を当てたトレンド、インナーチャイルド。少女的ではなく、あくまでも自然体かつモードに取り入れるため、色数はベーシックカラーをはじめ、ミニマルにするのが理想。誇張された装飾や上質素材を選び、存在感にもこだわりたい。
デコラティブ
クワイエットラグジュアリーとは対極のデコラティブが再び戻ってきた! 全身を飾り、とことん「盛る」装飾主義がモダンなアプローチでカムバック。
夢いっぱいの装飾主義に浸る
ビーズやスパンコール刺しゅう、フリンジ、ギャザーにフリル……立体的なディテールがとことんムードを盛り上げる、ステートメントピースをデイリーに。服そのものに力のある一着は自信をもたらし、自分を内側からも満たしてくれるはず。
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