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採れ立てをその場で! 野菜のおいしさに圧倒される新感覚のグルメ宿3選

掘り立て、摘み立て、作り立て。すべてが新鮮な食体験に感動必至!

By and TOMOKO OISHI
採れ立てをその場で! 野菜のおいしさに圧倒される新感覚のグルメ宿3選

シェフ自ら野菜を育て、その日採れるものからメニューを考案する。採れ立ての先をいくクリエイティビティに魅せられる宿をご紹介。

『エル・グルメ』No.46掲載

注目シェフがおもてなし! 土地の恵みを味わう最前線のグルメ宿3選

2025年に行くべき、日本国内のグルメなニューオープンホテル10


Text:TOMOKO OISHI, MAYUKO YAMAGUCHI

1

ENOWA YUFUIN(エノワ ユフイン)/ 大分・由布

enowa yufuin(エノワ ユフイン)

チベット出身のシェフが畑とキッチンで才能を発揮

今、国内外のフーディーたちがこの宿の食事を目当てに湯布院を目指している。その吸引力の中心にいるのが、チベット出身で、過去にニューヨーク郊外「ブルーヒル アット ストーンバーンズ」で副料理長も務めた、シェフのタシ・ジャムツォさん。

自社ファームの野菜を料理に生かす哲学を掲げるこのレストランに感銘を受けたオーナーは、湯布院で自分たちの畑を起点にした温泉宿を開業する構想を描いた。

その主役として迎え入れられたタシさんもまた、湯布院の肥沃(ひよく)な土地にほれ込んだ。現在、タシさん率いるチームは約250種の野菜を栽培している。


タシさんは18 歳で父が赴任していた米国に渡り、大学時代から料理の道に入った。畑では近隣からの牛糞や鶏糞を使い、土壌をさらに改良。

enowa yufuin(エノワ ユフイン)

ディナーの始まりには、ゲストは温室に案内され、草花に囲まれながら野菜のアミューズを味わう。

その後はレストラン「JIMGU(ジングー)」へ。店名の意味はチベット語で〝帰って来る場所〟。タシさんがこの地で畑を耕すのも、自身がチベットの農耕民族の生まれで、家族が作る野菜を食べて育った原点があるから。また帰って来たいと思える一皿、ゲストが再訪を望む宿を目指している。

夏のある日のコースには、畑で8種を栽培するズッキーニから選んだ2種を花ごと使い、フェンネルと共にアーモンドソースで仕立てたサラダが登場。鹿児島産サドルバックの豚肉にはシャドークイーン(じゃがいも)とつるむらさき、ルバーブのソースを添えて。野菜の滋味と肉のうま味がマッチする一皿は、ゲストだけが知る至福の味わいだ。


(左)ジュースなどに使われるビーツ。タイミングが合えば畑の見学も可能。問い合わせを。

(右上)自社ファームで採れたズッキーニのサラダ 最適なタイミングで収穫したズッキーニのサラダにアーモンドソースを添えて。野菜やスパイス、ナッツで作るソースが食べ心地をふくよかにする。 

(右下)サドルバックとつるむらさき、シャドークイーン 欧州で“幻の豚”と呼ばれるサドルバックを鹿児島「ふくどめ小牧場」から取り寄せてグリルに。自社ファームで取れたつるむらさき、シャドークイーンを添え、大分県九重産ルバーブのソースで仕上げる。

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enowa yufuin(エノワ ユフイン)

朝食もこの宿ならではの魅力。まずは3種の野菜ジュースに始まり、近隣の酪農家の牛乳で作られたヨーグルトや、自家製パンなどが並ぶ。

そして主役は、産み立て卵の目玉焼きと野菜のグリル。濃厚な卵黄をくずし、野菜に絡めて頰張れば、イチから手作りされた贅沢が口いっぱいに広がる。

食後、チェックアウトの頃には、きっと「ジングー」という名の意味を心で味わっているはずだ。


自社でアローカナともみじ鶏の2 種を平飼いで養鶏し、朝食ではゲストに卵を見せて選んでもらう。写真の目玉焼きにはアローカナを使用。

enowa yufuin(エノワ ユフイン)

インフィニティプールを備え、湯布院の街を一望できる客室「ヒル トップ スカイ パビリオン サンセット シティ ビュー」(165㎡)。

ENOWA YUFUIN
大分県由布市湯布院町川上 丸尾544
tel. 0977-28-8310(代表)
料金/1泊2日(2食付き、1室2名利用)1名¥139,000〜
無休
Instagram/@enowa.yufuin



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2

SHIGUCHI(シグチ)/北海道・ニセコ

shiguchi(シグチ)

北海道の歴史に思いをはせ、自然の恵みを敬う

森に古民家を移築し、開業した「シグチ」は、同地の「坐忘林」でも知られる英国人クリエイティブディレクターのショウヤ・グリッグさんが手がけた宿。

〝ギャラリーステイ〟をテーマに、館内には北海道を中心に時代の異なるアートや文化財が配される。なかには縄文土器もあり、時代が交錯するような空間が広がる。


3フロアからなる客室「火」(351㎡)。冷蔵庫内のお酒もインクルーシブ。 

shiguchi(シグチ)

そのユニークな宿に花を添えるのが、地元・倶知安出身の佐藤朝男シェフの料理。

洞爺「ミシェル・ブラス トーヤ ジャポン」で研鑽を積み、フレンチの手法を基盤に持ちながら、北の自然に従うように畑を耕し、グリッグさんの哲学にも通じる、土地の恵みを映す一皿を生み出す。


(上)レストラン「そもざ」のオープンキッチンに立つ佐藤さん。野菜くずは乾燥させてだしを取るなど、食材を丸ごと食べることも意識。

(下)ふたつの畑とひとつの温室が敷地内にあり、厨房チームが種から栽培。

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shiguchi(シグチ)

料理に使う食材は9割以上が北海道産。メインの一例は知床で捕れたエゾ鹿のロース芯。春夏の食材を加工し、季節を超えて使うことも多い。

チタタプ(アイヌ版たたき)にした鹿肉には、自家製ふきのとう味噌を合わせ、菜園のビーツやエシャロットを加え、くるみオイルでまとめる。鹿肉の滋味にふきのとうのほろ苦さやくるみの甘さが重なり、北の豊かさを一口で感じるはず。


(左)知床産エゾ鹿ロースの芯とふきのとう味噌のチタタプ 「縄文やアイヌ文化の精神を軸に、自然の恵みを敬い、丁寧に頂く思いを込めました」と佐藤さん。エゾ鹿のうま味に、シェフ自らも採取するふきのとうのピクルスの清らかな酸味が全体を引き締める。

(右)北海道中富良野産アスパラガスのボイルをアスパラのエスプーマと合わせて。北海道産のぼたん海老や塩水うに、イクラのしょうゆ漬けと。

shiguchi(シグチ)

客室の窓から見える深い森までが敷地。

SHIGUCHI
北海道虻田郡倶知安町花園78-5
tel. 0136-55-5235
料金/1泊2日(2食付き、1室2名利用)1名¥96,256〜
定休日/月~水曜
https://shiguchi.com/





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3

KURKKU FIELDS cocoon(クルックフィールズ コクーン)/千葉・木更津

kurkku fields cocoon(クルックフィールズ コクーン)

木更津の田園地帯の中、ほぼすべての食材を手作りで

千葉県木更津市にある「クルックフィールズ」は、音楽家の小林武史さんが創設した30ヘクタールにも及ぶ広大な自然の場。

畑やシャルキュトリー、牛舎にチーズ工房、ダイニング、ベーカリー、また図書館や現代アートなどが点在し、デザイナーの皆川明さんがディレクションした宿泊施設「コクーン」も擁している。


敷地は巨大なすり鉢状になっていて高台の“縁”に「コクーン」の宿泊部屋が点在。

kurkku fields cocoon(クルックフィールズ コクーン)

そんなフィールド内にあるカウンターレストラン「ペルース」は、当初は宿泊客限定だったが、開業から2年を経て週末ランチも始まり、日帰りゲストにも開かれた店へと生まれ変わった。


(上)ランチタイムに提供される有機野菜のミネストローネ、名付けて「ベジローネ」は野菜のパワーを感じさせる味。

(下)居心地のよい8 席のみのレストラン。 

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kurkku fields cocoon(クルックフィールズ コクーン)

料理を担うのは山名新貴さんと宮城久志さん。

「ペルース」で提供する料理は、魚介類や酒・調味料などを除き、ほとんどがこの敷地内で採取・栽培される食材によるものだ。だからこそ、シェフたちにとっての仕入れとは、広大なフィールドを歩き、畑や自然を観察し、旬を見極め、自ら収穫に出かける日常そのもの。

そんな日々の営みの話を聞きながら、素材を最大限に生かした薪火料理を味わう。これこそが、「ペルース」の何よりのごちそうだ。


(左上)山名新貴シェフは鳥取県出身。大阪や東京の人気イタリア料理店を経て就任。

(左下)2025 年春から沖縄県出身の宮城久志シェフも加わり、ダブルシェフ体制に。

(右)石臼挽き全粒粉パスタ 毎日、目の前で打ち立てのパスタを提供。敷地内で収穫した小麦と千葉県八街産の小麦を合わせ、自ら石臼で製粉。ホエイバターソースを絡めたパスタに木更津産のり、地魚のからすみを振って。

kurkku fields cocoon(クルックフィールズ コクーン)

宿泊部屋は全部で7室。皆川 明さんの世界観を隅々にまで反映。

KURKKU FIELDS cocoon

千葉県木更津市矢那2503
tel. 0438-53-8776 
料金/1泊2日(2食付き、2名1室利用)1名¥39,600~ ※レストランのみの利用も可
営業時間/昼12:00~14:30( 13:30L.O.、週末・8食限定)、夜18:00~22:00 ランチ¥2,980~、日帰りディナー¥14,000(全10品、要予約) 
定休日/火・水曜
Instagram/@perus_cocoon

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