記事に移動

筋肉をつけるのに必要なたんぱく質はどのくらい? 栄養士が説明

年齢とともに変化する可能性もあるそう

By
fit mature woman doing dumbbell workout in gym
Luis Alvarez//Getty Images

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。>>『Prevention』のオリジナル記事はこちら
 
筋肉をつける、というのはよくある目標だけど、とくに栄養に関して多くの疑問が伴う。栄養士として「筋肉をつけるのにはどれくらいのたんぱく質が必要ですか?」という質問を耳にする機会は多い。
 
たんぱく質への関心は、当然のことではある。たんぱく質は筋肉組織の修復と構築に欠かせない栄養素であり、鍛えていく過程で重要な役割を果たしている。しかし、自分に合った摂取量を把握することは、誰にでも通用する一つのルールに従うような簡単なものではない。個人個人のたんぱく質のニーズを左右する重要な要素はいくつかあるけれど、今回は自分に合う量を見つける手助けをするためにいろいろな情報を整理してみた。

一日に必要なたんぱく質の量は?

young asian female athlete runner drinking protein shake after exercise workout in urban park. diet and healthy food workout exercise.
MTStock Studio//Getty Images

たんぱく質は、組織の構築と修復、免疫機能のサポート、健康全体の維持に不可欠な存在なので、適切な量を摂取することが重要になる。平均的な成人について、たんぱく質の推奨摂取量は体重1kgあたり約0.8gだそう。たとえば、体重が68kgの場合、一日あたりのたんぱく質摂取量の目安は55g程度。ただし実際の必要量は、活動レベル、年齢、健康目標によって異なる場合がある。
 
妊娠中または授乳中の女性、高齢者、病気から回復中の人も、より多くのたんぱく質が必要になる可能性がある。一部のデータによると、授乳中の女性は、完全母乳育児の場合、体重1kgあたり一日につき1.7~1.9gのたんぱく質の摂取を目標とすることが推奨されている。

筋肉をつけるには、どのくらいのたんぱく質が必要?

woman training with weight in cross training gym.
Curly_photo//Getty Images

アスリートや激しい運動を定期的に行う人は、筋肉の維持と回復を支えるためにより多くのたんぱく質が必要になる可能性がある。活発な人に必要なたんぱく質量は、体重1kgあたり1.2~2.0gだそう。国際スポーツ栄養学会によると、運動を行うほとんどの人にとって十分と言える一日のたんぱく質摂取量は体重1kgあたり1.4~2.0gであり、一部の条件下ではより多くの摂取量(体重1kgあたり一日最大3.1g)が必要となる場合もあるという。
 
たんぱく質の摂取量が過剰または不足すると、健康に重大な影響を及ぼす危険性がある。たんぱく質が不足すると、体組織の修復、筋肉量の維持、免疫システムのサポートが困難になる可能性がある。長期的なたんぱく質不足は、疲労や傷の治癒の遅延につながったり、筋肉の萎縮といったより深刻な症状を引き起こす場合がある。一方で、過剰な量のたんぱく質を継続的に摂取すると、腎臓に負担をかけたり、脱水症状を引き起こす可能性がある。これは、体が余分なたんぱく質を処理するためにより多くの水分を必要とするため。重要なのは、自分の体と健康ニーズに合ったバランスを見つけること。

ADの後に記事が続きます

たんぱく質は筋肉の構築をどのようにサポートする?

woman eating lunch
Burcu Atalay Tankut//Getty Images

たんぱく質は人体において、筋肉を含むほぼすべての構造の構成要素として機能する。とくにレジスタンストレーニングなどの運動を行うと、筋繊維に小さな損傷が生じる。これは有害に聞こえるけれど、筋肉の成長に必要な自然のプロセスだ。
 
運動後に食事から摂取されたたんぱく質は、筋肉繊維の修復と再構築に必要なアミノ酸を供給し、この過程は筋たんぱく質合成(MPS)と呼ばれる。時間が経つにつれ、筋肉が適応し、以前よりも強靭に再構築されることで、筋肉の大きさと強度が増していく。この理由から、筋肉をつけたい人にとって十分なたんぱく質を摂取することは極めて重要になる。

たんぱく質をより多く摂取するべきタイミングとは?

healthy young female weight training in gym.
Mike Harrington//Getty Images

筋肉をつけようとしているとき、たんぱく質の必要量が増加する特定の時期や状況がある。それは、以下の通り。
 
・新しいトレーニングプログラムを始めるとき

筋力トレーニングを始めたばかりのとき、筋力増強に伴う急速な適応と筋肉の成長をサポートするために、いつも以上のたんぱく質が体に必要となる。
 
・トレーニングの強度を高めるとき

より重い重量を上げる、またはより頻繁に運動するなど、トレーニングの強度や量を増やす場合、筋肉の回復を助けるためにたんぱく質の必要量もアップする。
 
・ダイエット中やカロリーを減らしているとき

筋肉を維持しながら脂肪を減らしたい場合、たんぱく質の摂取量を増やすことで筋肉の分解を防ぐことができる。たんぱく質は満足感を高め、カロリー制限中でも満腹感をより長く持続させるのに役立つ。
 
・年齢を重ねていくとき
年齢が上がるにつれて、サルコペニアと呼ばれる筋肉の自然減少が発生する。そのため、とくに筋力トレーニングを行っている高齢者は、より多くのたんぱく質が必要となる傾向がある。

ADの後に記事が続きます

たんぱく質の摂り過ぎはどれくらい?

protein isolate powder. unflavored whey protein in measuring scoop and drinking glass in bright sunlight
Anna Blazhuk//Getty Images

たんぱく質は筋肉の構築に不可欠である一方で、過剰に摂取する必要はない。体が使用できる以上のたんぱく質を摂取しても、筋肉の増加にはつながらない。むしろ、余分なたんぱく質は腎臓に負担をかけ(とくに腎臓病のある人にとって)、そのほかのマイナスの影響を及ぼす可能性がある。一部のデータでは、余分なたんぱく質が脂肪として蓄積される可能性が示されたけれど、これは運動をしない人だけに当てはまるかもしれない。
 
ほとんどの場合、体重1kgにつき2.5g以上のたんぱく質を摂取すると、筋肉の成長に必要な量を十分に満たすことになる。とはいえもちろん、プロのボディビルダーやトップクラスのアスリートなど、激しいトレーニングをサポートするためにより多くの摂取量が必要となる例外もある。さらに、重度の怪我や火傷から回復中の人など、特定の症状を持つ人は、回復および治癒の促進にたんぱく質の摂取量増加がプラスの効果を与える可能性がある。
 
たんぱく質が必要不可欠である一方で、バランスの取れた食事にはそのほかのマクロ栄養素(炭水化物と脂質)が含まれることも忘れないようにしよう。炭水化物は体の主要なエネルギー源であり、日常生活や運動を行う活力となる。健康的な脂質は、脳機能、ホルモン分泌、細胞の健康をサポートする。

たんぱく質源

plant based protein
Sam Barnes//Getty Images

すべてのたんぱく質源が同じようにできているわけではないので、幅広い高品質のたんぱく質源を食事に取り入れることが重要になる。優れたたんぱく質源は以下の通り。
 
動物性たんぱく質源

・鶏肉
・赤身牛肉
・七面鳥
・卵/卵白
・魚
・ギリシャヨーグルト
・カッテージチーズ
・牛乳
 
植物性たんぱく質源
・レンズ豆
・ひよこ豆
・黒豆
・キヌア
・テフ
・豆腐
・テンペ
・枝豆
・植物性たんぱく質パウダー
 
一般的に動物性たんぱく質源はすべての必須アミノ酸を供給できるけれど、植物性たんぱく質は単体だと完全たんぱく質を供給できない場合が多い。植物性たんぱく質源から9つの必須アミノ酸をすべて摂取するには、幅広いたんぱく質を組み合わせることで補完することを心掛けよう。たとえば、レンズ豆や黒豆のような豆類と、キヌアやテフといった全粒穀物を組み合わせることで、アミノ酸の種類をコンプリートできる。さらに、ピスタチオのような一部の植物性食品は天然の状態で完全たんぱく質を含むので、植物による栄養を重要視する人にとって優れた選択肢となる。

ADの後に記事が続きます

まとめ

healthy and nutritious lunch box. takeaway food on marble background. cardboard reusable box with healthy food. directly above with copy space
Alexandr Kolesnikov//Getty Images

筋肉増加に向けた適切なたんぱく質量を判断することは、なにも複雑である必要はない。個別のニーズを理解し、多様で高品質のたんぱく質源を食事や間食に取り入れることで、健康目標の達成に近付くことができる。
 
筋肉の構築には、時間、継続、そして適切な栄養素の組み合わせが必要であることを覚えておこう。自信がなかったり、自分に合ったプランが必要な場合は、個別のアドバイスを提供できる登録栄養士に相談するのがおすすめ。


translation : Yumi Kawamura photo : Getty Images

ADの後に記事が続きます
Page was generated in 3.0719828605652