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選択肢が多すぎる? 健康の専門家が牛乳と代替ミルクを解説

「ミルク」の種類はたくさんあるけれど、どれを選べばいいの?

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glass bottles of various vegan milks.
Maria Korneeva//Getty Images

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。>>『delish』のオリジナル記事はこちら
 
1990年代、アメリカで有名な「Got Milk?」キャンペーンが流行った頃、「ミルク」という言葉は牛乳と同義語だった。家族に豆乳好きの人がいたり、消化の問題で乳糖不耐症用の商品を選ばないといけなかったとしても、基本的に「ミルク」といえば冷蔵庫にある牛乳を指していた。
 
現在、多くのスーパーの冷蔵コーナーには、ナッツ、シード、穀物など、さまざまな原料から作られた乳飲料が並んでいる。また、カフェでカプチーノを注文するのも簡単ではない。ミルクの種類を聞かれたとき、選択肢が多すぎる場合すらある。
 
ミルクの種類だけでなく、ブランドの種類も数多く存在し、それぞれ独自の調合や製法を採用している。牛乳とは違って、あるブランドのアーモンドミルクの栄養表示は別のブランドの表示と大幅に異なることがある。
 
たくさんの栄養士が、栄養豊富な牛乳を「もっとも信頼できる基準」とみなし、ほかのミルクの栄養価を比較する際のベンチマークとして使用している。けれど、倫理的または健康上の理由から牛乳を避ける人もいるし、牛乳の味が苦手でシリアルやエスプレッソで味を隠さないと飲めない人もいる。とはいえ、植物性ミルクは牛乳と比べて、栄養面で同じ水準に達していない場合が多く、これはFDAが植物性ミルクと代替食品の表示に関するガイドラインを策定した理由の一つだという。
 
では、どのように選べばいいの? 「KLL・ニュートリション」の創設者で登録栄養士のクリスティン・ローレンツさんと、牛乳支援団体「MilkPEP」のコンサルタントで登録栄養士のローレン・マナカーさんが、ミルクを購入する際に知っておくべきことと、一般的な「非乳製品ミルク」と牛乳の比較を説明してくれた。

「ミルク」を購入する際の注意点

rear view shot of a female customer looking and choosing fresh bottled milk while standing in front of a display fridge full of diary products in supermarket. the concept of choice.
Images By Tang Ming Tung//Getty Images

スーパーでミルクを選ぶ際、栄養価が気になるかもしれないけれど、味やテクスチャー、そして最終的に何に使うかも重要になる。たんぱく源としてグラスからそのまま飲むのか、またはスムージーに入れるためのニュートラルで低カロリーの液体を探しているのか。はたまた、コーヒードリンク用に泡立ちが良いほうがいいのか。もしくは、全部でないにしても、多くの要件を満たす多目的ミルクが必要かもしれない。
 
「植物性ミルクを、パントリーの基本アイテムのようなものと考えましょう。油や小麦粉と同じように、それぞれの種類が異なる役割を果たします」とローレンツさんは語る。最適なミルクを選ぶ際、彼女は「すべてに使えるものは存在しません」と述べている。
 
たんぱく質と全体的な栄養価を求める場合、彼女は牛乳や豆乳を推奨している。低カロリーなものを探している場合は、無糖のアーモンドミルクやカシューミルクを検討してみてよう。カプチーノには、牛乳の泡立ちの良さは捨てがたいけれど、ローレンツさんはそのクリーミーさからオーツミルクやココナッツミルクを推奨している。

非乳製品ミルクの成分を知る

vegan, plant based, non dairy milk milk bottles with scattered ingredients over white marble
jenifoto//Getty Images

スーパーの「ミルク」コーナーを見てみると、複数のブランドが並んでおり、さまざまな植物性ミルクの異なる種類やバリエーション(微糖、無糖、味付き、「バリスタエディション」など)が販売されている。オーツミルクやアーモンドミルクなどに関する標準的な基準がないため、栄養価の比較は難しい。
 
「パッケージの前部分だけでミルクを判断しないでください。裏返して栄養成分表示を確認しましょう」とローレンツさんは語る。「とくに毎日飲む場合は、強化成分と最低限の添加物を含む原材料が少ないものを選びましょう」。彼女が注目する3つのポイントは、たんぱく質、添加糖、カルシウムとビタミンDの強化だという。
 
たんぱく質:主要なたんぱく質源となる場合、彼女は一食あたり7~8gを含む商品を選ぶように話している。
・添加糖
:一食あたり5g未満に抑えるために、無糖または微糖の商品を選ぼう。
・カルシウムとビタミンDを含む。
 
さらに、FDAは飽和脂肪酸が低いミルクを選ぶよう推奨している。マナカーさんは、21ブランドの植物性ミルク219種類と牛乳の栄養成分を比較した、『ジャーナル・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・ニュートリション・アンド・ダイエティクス』に掲載された最近の研究を引用。「豆乳(とくに栄養が強化された種類)は牛乳の栄養成分にもっとも近いことが分かりましたが、植物性ミルクのなかで、たんぱく質、カルシウム、ビタミンDなどの栄養素に大きな違いが見つかりました」
 
植物性ミルクの多くは、アーモンド、オーツ、または大豆以外の添加物で知られている。一般的な添加物は、安定剤や乳化剤として使用されるガム、カラギーナン、レシチン、油など。「成分表示ラベルがシンプルであるほど良いでしょう」と話すローレンツさんは、添加物が少ないほど消化不良やアレルギーのリスクが低いと説明している。
 
一般的に安全とされている一方で、ガムの過剰摂取は炎症や刺激を引き起こす恐れがあり、カラギーナンは一部の人に胃腸の不快感を引き起こす可能性があります、と彼女は付け加える。一部のブランドは、これらの添加物を使用していない植物性ミルクを提供している。続けて、牛乳と一般的な非乳製品ミルクの栄養比較、それぞれの長所と短所、最適な用途をご紹介。
 
注意:栄養成分はブランドによって大きく異なります。栄養分析を簡素化するために、おもにUSDAの「フードデータ・セントラル」の「サーベイ・フーズ」のデータを使用し、値を四捨五入して整数にしています。これらの数値はブランドによって異なる可能性があるため、かならずラベルを確認してください。

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牛乳

milk
Catherine Falls Commercial//Getty Images

人気の植物性ミルクが数多く販売されている一方で、9つの必須アミノ酸をすべて含み、完全たんぱく質として知られる牛乳の人気が再燃している。「牛乳は元来栄養価が高く、高品質なたんぱく質、カルシウム、カリウム、ビタミンB12を豊富に含んでいます」とローレンツさんは説明する。
 
ただし、含まれる糖分(乳糖)は天然のものだけど、糖質を制限する必要がある人は注意するのがベスト。(とはいえ、グラスで飲むのではなく、コーヒーに少量加える程度であれば、牛乳の幅広い栄養成分はそれほど問題にならないかもしれない。)
 
長所
:完全たんぱく質、加工が最小限、砂糖無添加
短所
:糖分を含む、ヴィーガンや乳製品アレルギーのある人は避けなければならない、飽和脂肪酸
最適な用途
:そのまま飲む、コーヒー、料理、ベーキング
USDAによる、全乳1カップあたりの栄養成

・カロリー:149kcal
・脂質:8g
・炭水化物:11g
・食物繊維:0g
・糖質:12g
・たんぱく質:8g

豆乳

soymilk is a plant based drink produced by soybeans
kuppa_rock//Getty Images

ビタミンAとD、そしてカルシウムを強化した豆乳は、牛乳と栄養成分が類似していることから、「アメリカ人のための食事ガイドライン」の乳製品セクションに唯一含まれる植物性ミルク。豆乳は9種類の必須アミノ酸をすべて含むため、完全たんぱく質とされている。
「栄養面から見て、豆乳は牛乳にもっとも近い植物性ミルクです」とローレンツさんは話している。
 
長所
:完全たんぱく質、高たんぱく質、栄養価が高い
短所
:一部の商品は増粘剤を含む
最適な用途
:牛乳の代用、グラスで飲む
USDAによる、豆乳1カップあたりの栄養成分

・カロリー:93kcal
・脂質:5g
・炭水化物:3g
・食物繊維:0g
・糖質:1g
・たんぱく質:9g

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アーモンドミルク

almond milk in a glass and almond nuts
YelenaYemchuk//Getty Images

「アーモンドミルクは低カロリーでたんぱく質の含有量が低く、一部の栄養ニーズや好みにマッチするでしょう」とローレンツさんは話す。牛乳や豆乳ほど栄養価は高くないものの、控えめな風味と低カロリーのため、水よりも少し濃厚なスムージーにしたいときに使いやすい。オーバーナイトオーツにもおすすめ。
 
長所
:一般的にカロリーと炭水化物が低い
短所
:一般的にたんぱく質が少ない、高たんぱく質ブレンドは高価な場合がある
最適な用途
:スムージー、オーバーナイトオーツ
USDAによる、アーモンドミルク1カップあたりの栄養成分

・カロリー:37kcal
・脂質:3g
・炭水化物:1g
・食物繊維:0g
・糖質:0g
・たんぱく質:1g

オーツミルク

oat flakes, out milk on a table. plant based healthy and vegetarian eating and drink. selective focus, close up
Eleonora Grigorjeva//Getty Images

ここ数年で人気が急上昇しているオーツミルク。「天然のクリーミーなテクスチャーをもつオーツミルクは、ほかの植物性ミルクよりも多くの炭水化物を含みます。迅速なエネルギー補給を必要とする人や、ナッツベースのミルクを避けたい人にいいでしょう」とローレンツさんは語る。
 
ただし、オーツミルクは栄養面、とくに糖質の量とグリセミック指数に関する指摘もある。無糖のオーツミルクの製造過程では、オーツに含まれる天然のグルコースがより小さい分子に分解され、単純糖が生成される。これにより、オーツミルクのグリセミック指数は通常のオーツ麦よりも高い。グリセミック指数とは、血糖値を上昇させる速さを示す指標。
しかし、より重要なのはグリセミックロードに注目することです、とドレクセル大学カリナリーアート&食品科学のプログラムディレクターおよび臨床准教授を務めるローズマリー・トラウト博士以前『Delish』に語っていた。グリセミックロードとは、食事の量と脂肪や食物繊維といった栄養素の組み合わせを考慮し、血糖値に与える総合的な影響を評価する指標。これらの要素は血糖値の急上昇を緩和する可能性がある。

長所
:クリーミー、炭水化物の含有量でエネルギーを得られる可能性、ナッツミルクの代用
短所
:炭水化物と糖質が多い、血糖値を急上昇させる可能性がある、油や増粘剤を含む可能性がある
最適な用途
:コーヒードリンク、牛乳のようなテクスチャーが欲しいとき
USDAによる、オーツミルク1カップあたりの栄養成分

・カロリー:110kcal
・脂質:6g
・炭水化物:13g
・食物繊維:1g
・糖質:5g
・たんぱく質:2g

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ココナッツミルク

ripe coconuts and organic vegan coconut milk in glass on blue background. lactose free milks in minimal flat lay style. top view, copy space
Tanja Ivanova//Getty Images

ここで紹介するココナッツミルクと、クリーミーなカレーやソースに用いられる缶詰タイプを混同しないでほしい。ミルクコーナーで販売されているココナッツミルクは、脂肪分が大幅に少なく、濃厚さも劣るため、「ココナッツミルク飲料」と呼ばれている。それでもクリーミーなテクスチャーは残っているので、ローレンツさんいわく調理やコーヒーに最適であり、たんぱく質の摂取には向かないそう。
 
長所
:クリーミーな食感、豊かな風味
短所:飽和脂肪酸が多い、たんぱく質が少ない
最適な用途
:コーヒー、料理
USDAによる、1カップあたりのココナッツミルクの栄養成分

・カロリー:76kcal
・脂質:5g
・炭水化物:7g
・食物繊維:0g
・糖質:6g
・たんぱく質:1g

ピスタチオミルク

pistachio milk in glass, lactose free. vegan plant based milk.
Svetlana-Cherruty//Getty Images

ピスタチオミルクは新しい代替ミルクであり、ほかの商品ほど広く入手可能ではないけれど、ピスタチオの風味が好きな人は好きかもしれない。「ピスタチオミルクは比較的新しい商品で、抗酸化物質を含み、バターのような風味がありますが、たんぱく質が少なく、価格が高い場合が多いです」とローレンツさんは話している。
 
長所: 完全たんぱく質(ただし、たんぱく質の含有量は低い)、抗酸化物質、バターのような風味
短所
:たんぱく質が少ない、高価な傾向がある、一部の商品は増粘剤を含む
最適な用途:コーヒー
USDAによる、1カップあたりのピスタチオミルクの栄養成分

・カロリー:37kcal
・脂質:3g
・炭水化物:1g
・食物繊維:0g
・糖質:0g
・たんぱく質:1g

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カシューミルク

heap of raw cashews and a glass of cashew milk, on wooden surface
george tsartsianidis//Getty Images

ピスタチオミルクと同様に、カシューミルクはほかの植物性ミルクほど人気はないけれど、優れたテクスチャーを持っている。「カシューミルクは非常にクリーミーで、料理やコーヒーに最適ですが、アーモンドミルク同様、一般的にたんぱく質の含有量が少ないです」
 
長所
:クリーミーでなめらか
短所
: たんぱく質が少なく、そのほかの栄養価が低い
最適な用途
:コーヒー、スムージー
USDAによる、カシューミルク1カップあたりの栄養成分

・カロリー:37kcal
・脂質:3g
・炭水化物:1g
・食物繊維:0g
・糖質:0g
・たんぱく質:1g

まとめ

various organic vegan plant based milk in glasses and glass bottle and ingredients (nuts, oatmeal) on beige background. non dairy milk substitute drink, healthy eating. lactose free milk in minimal flat lay style. top view
Tanja Ivanova//Getty Images

最終的に、どのミルクを選ぶかは健康状態、食事制限、使用目的によって異なる。
「栄養士としての見解では、天然の栄養バランスが優れた牛乳がもっとも健康的な選択肢です」と、牛乳消費を促進する団体でコンサルタントを務めるマナカーさんは話している。「とはいえ、意識的に選択するのであれば、とくに食事制限のある人にとって、植物性ミルクはバランスの取れた食事の一部として機能する可能性があります」
 
豆乳と牛乳は、その優れた栄養バランスからUSDAの食事ガイドラインに唯一含まれている飲料だ。ただし、好きな「ミルク」を栄養目的で摂取しているわけではない場合(そして、たんぱく質、ビタミン、カルシウムをほかの食品から摂取している場合)、植物性ミルクはバランスの取れた食事のなかで美味しくてアレルギーに優しい選択肢になる可能性がある。
 
「もっとも健康的なミルクは、あなたの体のニーズ、耐性、予算に合ったものでしょう」とローレンツさんは語る。まとめると、具体的なニーズに合わせた最適な選択肢は次の通り。
 
たんぱく質と栄養価:牛乳、豆乳
低カロリー:無糖のアーモンドミルクまたはカシューミルク
コーヒーに合うクリーミーなテクスチャー:オーツミルク、ココナッツミルク、ピスタチオミルク、カシューミルク


translation : Yumi Kawamura photo : Getty Images

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